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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

本格的なBBQの実践

前回のあらすじ。

肉は低温でじっくり調理すると美味しいよ。BBQって本場ではそういう調理だよ。BBQの本場アメリカで圧倒的シェアを誇るWeber社のグリルをたまたま持ってたから、本格的なBBQをやってみるよ。

小型の簡易版ですけどね。

基本的に、ようつべのカーメン君BBQチャンネルで聞いたことを実践してます。


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アメリカ人の言うBBQについて要点をまとめますと、こんなかんじ。

・肉は塊肉を使う。日本人が焼肉に使うような薄切り肉ではない。

・肉にラブ(RUB)と呼ばれる塩とかハーブのミックスで下味をつける。

・フタをする。酸素の供給を制限し、弱火にする。

・火元に生木をくべて、ついでに燻す。

・じっくり待つ。

ガチンコだとkg単位の肉を使って10時間以上かけるそうだが、日本ではそんな肉手に入らんし、スーパーでも手に入る500g程度の肉でほどほどにやってきます。上に書いたとおりやればなんとかなりそうな感じですが、実践してみるとこれがなかなか上手く行かないものだった。こういう失敗例こそ人の役に立つと思うので、ご紹介してゆきましょう。

 

第一回。

これはBBQじゃないんですが…このフタを使えばピザも焼けると聞いて、ピザってみました。(ピザストーンはもとより所有)

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従来どおりの焼き肉BBQのつもりで火起こししてやったんですが、これは大失敗でした。フタを閉めたらすぐに火が消えて、一向に加熱できず。使った装備はこちら。

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みきゃんに罪はない。炭にも。着火剤からのうちわで扇ぐクラシックなスタイルでは、炭の一部にしか火がついておらず、フタをする方式に対して火の安定性が足りないと思い知った次第。

 

第二回。

安定した熱源のため、改革を断行。

煙突効果で楽チンな火おこし器を導入。折角なのでWeber純正をチョイスした(なんでもいいと思う)。もっとデカいタイプもあるけど、うちで使ってるスモーキージョーはWeberとしては小型タイプのグリルなので、スターターもコンパクトのタイプで十分。

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炭にはビバホームで買ったオガ炭を使用。以前に適当に買ってキャンプで使って、着火剤+うちわでは火がつかなくて、しまりんみたいに困った逸品だが、スターターがあれば大丈夫。火がつきにくいのは長持ちするということであって、長時間加熱する本格BBQには向いている。

着火剤はひとつぶで5分くらい燃え続けるこれを使えば間違いない。匂いや煙も控えめだし、コストパフォーマンスもとてもいい。Weber純正サマサマ。

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もくもく…

できあがり

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炭火の真上は温度が高すぎるので、炭火は端に寄せておいて、食材は炭を避けて配置する。

肉は手軽に手羽元を使用。燻すということで勢い、ベーコンと味付き卵と6pチーズを混載している。写真は約20分でフタを開けた状態で、火はほぼ消えていた。燻煙を閉じ込めたくて空気穴を上下とも8割がた閉めたのが原因か。

肉は加熱が足りないと病原菌が残るので、味だけでなく安全の意味で、肉の中心の温度は測ったほうがいい。料理用の温度計は色々販売されてて何でもいいけど、忠誠心の元にWeber純正を買った。

今回の肉芯温度は56℃程度だった。50~66℃の最適領域には届いていたのでOKとしたが、生感が残っててもひとつな印象だった。鶏肉はもう少し火を通した方がおいしいようだ。

燻しについては、ほんのり風味が付いてるくらいだった。玉子とか色付いてはいるけど、工夫の余地がありそうだ。燻しにはスモークチップを使用。

30分ほど水につける、アルミホイルで包んで切り目をつけておく、という小細工を加えて燃焼時間の延長を試みたものの、火が消えては仕方がない。燻しの改善については後日まとめて投稿します。

 

第三回。

前回、炭を変えて火の付け方を変えても火力が足りなかった。どうしようと火をいじっていて気づいたことには、スターターで火をつけた炭をコンロに出して積んだあと、5分ほどの間でどんどん火力が上がっているのである。見た目一緒でも火つきの強弱はあり、配置次第で強弱の分布が変わるので、スターターから出した炭が置かれた場所なりの火付き具合に収まるまで待つことが大事なようだ。

待つことを覚えたことで、ようやくフタをしても炭の火が落ちなくなった。しかし火が消えるのを恐れてグリル上下の空気の調節穴を全開にしたため、今度は温度が上がりすぎた。20分ほどで肉芯温度は80℃近くになり、やや固い仕上がりになってしまった。

火の調整は難しい。

 

味付けについてもここで説明しておく。

BBQの下ごしらえは重要だ。RUB(ラブ)と呼ばれる塩とハーブのミックスを下味として肉に刷り込んだ上で、酢とオイルに漬ける。

酢は筋繊維を膨潤させ、柔らかくする。この効果は酸性であればよく、酢のほかに、レモン、酒、ビール、コーラ、etc.で代用が可能。私はポッカレモンを使った。

オイルは保湿の他、熱伝導率を向上させる効果がある。風味づけも兼ねてオリーブオイルを使う人が多そう。

この状態で浸け置いて30分以上置いてからBBQする。もっと大きな肉なら数時間、あるいは前日夜に仕込んでおくくらいの気合が必要だ。

RUBはアメリカ人は自作するが、初心者なのでまずはと、日本バーベキュー協会が出しているRUBを購入した。

UMAMI BARBECUE RUB

UMAMI BARBECUE RUB

  • BBQ FOUNDATION
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赤いのはパプリカの色で、辛くはない。そのままだと、辛くないカラムーチョみたいな味…焼き上がると、不思議とカラムーチョ感はなく、いい感じな下味になる。

同じく日本バーベキュー協会謹製のバーベキューソースもある。こちらも併せて購入。

ざっくり、マクドナルドのナゲットについてくるソースの味。上はバーベキューソース、下はマスタードソース。つまりマクドのあれはどっちも、アメリカのBBQソースの味だったってこと。これを焼き上がり直前に肉に塗って、軽く温めてから食べるのが正式。

RUBたっぷりのスペアリブが焼き上がって、BBQソース(Smoky Sweet)をぬってる様子。

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お味の方は…ソースの味が濃すぎてRUBとか燻しとか関係なくなっちゃうような希ガス。子供には大人気でしたがね。やっぱり事前に塗って出すのではなくて、あと付けソースとして出すのがいいとオモ。

 

第四回以降。

度重なる温度の調整ミスを経て、火力のコントロールが勝負のキモなのにグリル内の温度がわからないのが悪いんだい!ということで、グリルに温度計をつけた。

フタにキリで穴を開けて、ドライバーとかでぐりぐりして穴を大きくしてネジ付けた。

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目論見通り、見た目はバッチリ馴染んだ。元からついてたくらいの馴染みぶりだ。蓋に穴あけないといけないので、だいぶ思い切りがいったけど。最近の型だと、元から温度計は付いてるみたい。キーー!

これさえあれば、温度を見ながら通気穴を調整できる。弱火でコントロールする調理なのに、丁度いい弱火なのか、火が消えきっちゃってるのかが、見た目でわかりにくいことが致命的に問題なのである。温度さえ可視化できれば、見よ。

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これは道の駅でゲットした猪のハツ。絶妙な火加減である。

炭をスターターに8〜9割くらい入れて着火して、コンロに並べた後5分ほど置いてから蓋を閉める。蓋閉めてすぐは200℃近くまで昇温するので、また5分くらい待って火が収まってから食材を乗せる。空気穴は上下半開でで150℃をキープできるイメージ。蓋を開閉すると温度が下がって戻らなくなるので、極力控える。上の猪ハツは200gくらいで、150℃で30分くらい。

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こちらは532gのやっすい豚肩ロース。150℃で始めて90分放置。120℃くらいまでジワジワ温度下がった。20分毎くらいで肉芯温度を確認して60℃で仕上がりとした。サシの入った高級な牛肉でなければ、60℃以下のレアっぽいのは美味しくないと思う。今回は火の入り具合が均一で納得の仕上がり。

炭はオガ炭でなく岩手切炭を使ったが問題なかったので、このくらいの調理時間なら炭は選ばなくてもいいっぽい。

さぁこれでもうだいたいなんでも調理できる。年末になったら、ローストビーフとかローストチキンとか、この方式で豪華にやってやろうと思う。