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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

肉の調理に関する科学、およびBBQ

料理は科学実験だ。特に肉。肉が好きな理系人間は肉料理をすると人生が豊かになるよ。

とっても素敵でお勧めの本です。ここから肉に関する要点を抜粋しましょう。

肉の加熱とは、たんぱく質を熱変性させることである。熱変性すると、立体構造内に包み込んでいた水分が保持できなくなる。肉の主成分は「ミオシン」と「アクチン」の2つで、熱変性する温度は両者異なり、ミオシンは50℃以上、アクチンは66℃以上だ。加熱前の生肉の感触はブヨブヨと噛み切りにくいが、加熱してミオシンが変性すると、歯切れのいい食感になる。更に温度を上げてアクチンまで変性すると、水分を失いすぎて固くパサついた食感になる。よって、肉の最適な調理温度は50~66℃である。意外と低いでしょう。

もうひとつミオグロビンというたんぱく質があって、熱変性は60℃。ヘモグロビンと似た名前から察せられる通り肉の赤さの素になっていて、これが熱変性すると赤さを失い、灰色になる。だから、変色するかしないかぐらいが美味しいという経験的な基準は実に正しい。

どうですか、理系ゴコロをくすぐる話じゃないですか。

それではと実践してゆきたいところですね。しゃぶしゃぶとかの薄い肉なら簡単で、色が変わったら引き上げればいいのです。でもある程度大きさのある肉だと、これはなかなかの難題です。調理では外から熱を加えるしかなく、肉の外と中で温度勾配ができるわけで、たった16℃の狭い適正温度範囲に肉全域を収めないといけないワケですから。大きな塊肉の場合は特にそう。ローストビーフとか、叉焼とかね。この課題を確実にクリアするには、オーブンを150℃以下の低めに設定して待つのが伝統的なやり方。近年ではもっと完璧に所望の温度に仕上げるテクニックとして、湯煎する方法が登場した。60℃にキープしたお湯に漬けてずーっと待ってれば、当然肉全体が60℃になる。巷で話題の低温調理器というやつ。

でもこれ、高いよね。(最近はアイリスオーヤマとかも出してて、だいぶ安く手に入るようになってきたのを、この記事を書いてて知った…けどね!)いかにも大げさだし、今まで手を出さずにきたんだけど、これとは全然別の低温調理系のガジェットを、もう持ってたことに最近気がついた。

それがこちら。

BBQ用のグリルである。日本人はBBQというと屋外で焼き肉をするものだと思ってるけど、本場アメリカ人が言うBBQとは、塊肉を弱火でじっくり長時間加熱する調理なんだそうだ。私は見た目だけでこれを選んでいて、フツーに焼き肉に使っていたのでしたが、Youtubeで正式な使い方を知りました。カーメン君ありがとう。フタ、飾りじゃなかったんだねー


www.youtube.com

 

そんなわけでBBQグリルによる低温調理にチャレンジしました。その様子は、また記事にしていこうと思います。