tilt log

本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

読書録10.5: 「気候文明史」田家 康

昔読んだ本を再読。

tiltowait9.hatenablog.com

前読んだのが13年前ともなると、覚えてなさにビビる。人生とは忘れること…知識の拡張を目指すオタクにはつらい現実だ。これが怖くて、最近は論点まとめをブログに上げている。知識の定着と、あとで要点を読み直すのにすごく役立つ。

特に感銘を受けた部分はそれでも覚えたし、自分の中で常識レベルに定着してることが「そういえばこの本で知ったんだった」と思いだしたりもしたし、そうぜんぶ忘れるってわけでもない。知識水準の底上げにはやっぱり読書しまくるしかない。

これはもう忘れたくないところを、まとめて列挙。

 

120,000年前 エーミアン間氷期(温暖)。出アフリカ

90,000年前 短期的な寒冷化。出アフリカ組全滅

85,000年前 出アフリカ2

74,000年前 トバ・カタストロフ。インドネシアのトバ山が大噴火し、火山灰が地球を覆い強烈な寒冷化。その後、暖かくなるでもなく氷河期へ突入。人類が1万人くらいにまで減る。服を着るようになる。

~15,000年前 最終氷河期。ドイツ南部でもツンドラやステップ気候、北米にニューヨークあたりまでの巨大氷床(ローレンタイド氷床)。海水が凍ったぶん海面水位が下がる。ユーラシア大陸とアラスカが地続き。日本も大陸~樺太~北海道~本州~四国~九州が全部地続き。陸を歩いて人類が拡散した。

15,000年前~ 温暖化。ローレンタイド氷床が溶けて北米中央にアガシ湖を形成。

12,900~11,600年前 短期的な寒冷化=ヤンガードリアス・イベント。原因はアガシ湖の決壊かも。北極付近の塩分濃度が低下→海氷面積増→アルベド増。塩分濃度低下が北大西洋の暖流の北上を遮ったかも。
メソポタミアで農業が始まる。寒冷化で食料が減ったことがきっかけかも。

11,500年前~ 現代まで続く長い温暖期へ

8,200年前 8200年前イベント。アガシ湖また決壊による短期的寒冷化(ヤンガードリアスほどではない)

8,200~5,500年前 気候最適期。最近の温暖期の中でも特に温暖な時期。氷河が溶けて水位が上がる。日本では「縄文海進」、親潮日本海流入、モンスーンも吹きだして現代の温暖湿潤な気候に。

7,600年前 海水面上昇で、淡水湖だった黒海に海水が押し寄せ水位が急上昇。湖畔の村を飲み込んだはずで、ノアの洪水の元ネタかも?(この説、超好き)

5,500~5,100年前 寒冷化=ピオラ振動。シュメール人がユーフラテス川下流へ移動。干ばつ対策で灌漑農業を始める→管理者が必要で階級社会に→都市国家を形成。

5,000年前~ 徐々に寒冷化。気温は上下しつつも全体としては現代へ向けて下降を辿る。
氷河期対比ではだいぶ温暖ながら、ときおり100年程度の干ばつを伴う寒冷期が訪れ、歴史を動かす。国が滅ぶ、民族移動など。贅沢な食用家畜の禁忌、思想家の登場、なんかもこのタイミングが多くて面白い。

4,300年前~ 寒冷化。シュメール文明滅亡、エジプトで古王国→第一中間期の混乱。豚の食用禁忌。

3,500年前~ 寒冷化。ミケーネ文明滅亡、ヒッタイトvsエジプト大戦争(カデシュの戦い)の後、ヒッタイト滅亡。

2,800年前~ 寒冷化。 中央アジア遊牧民の拡散→ヨーロッパに馬が広まる、北欧のゲルマン人ライン川まで移動。周→春秋戦国時代、渡来人が日本に稲作を伝える。牛の食用禁忌。バビロン捕囚。釈迦、孔子ソクラテスアリストテレス

2,200年前~ 温暖化。パックス・ロマーナ

AC 200年~ 寒冷化。ゲルマン人の大移動。倭国大乱。

AC 535年 世界中で短期的・急激な寒冷化。巨大噴火があったかもだけど不明。寒冷化するとペストが流行する。餌がなくて動物も減った状態で温暖な気候が突発すると、まずネズミが爆増するので。ヨーロッパでペスト流行→東ローマ帝国弱体化→フランク王国イスラム帝国拡大。

AC 800~1,200年頃 中世温暖期。ヨーロッパの発展。平安時代

AC 1,200~1,800年頃 小氷期太陽活動が低下し黒点減少。特に寒かった時期は以下4つの極小期。
①AC 1350年頃 ウォルフ極小期。ヨーロッパで食人、子捨て→「ヘンゼルとグレーテル」の世相。ペスト世界流行。イングランドvsフランス100年戦争。
②AC 1,500年頃 シュペーラー極小期。魔女狩り。飢えた狼が森を出て街へ→「赤ずきん」の世相。日本は戦国時代。
③AC 1,680年頃 マウンダー極小期
④A.C.1,800年頃 ダルトン極小期。フランス革命、ナポレオンが冬将軍に負ける。

A.C.1,900年頃~現在 CO2による温暖化。