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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

右翼と左翼

右翼と左翼、区別がわかりにくい。ぐぐればすぐ「革命期フランスの国民議会において、議長席から向かって右側に陣取ってた保守派と、左側に陣取ってた急進派で・・・云々」という語源の説明はでてくるものの、いくら読んでも実際の使われ方にピタっと当てはまらない。使いこなしている人でも大抵は、「コレは右、こっちは左と呼ばれてる」という実例から帰納的にボヤっと把握してるだけではないかと思う。

実例をあげるならこんな感じだ。

・右翼
保守派、穏健派、国粋主義天皇陛下万歳、軍備増強の賛成派、憲法9条改正の賛成派etc.

・左翼
改革派、急進派、平等主義、共産主義、無政府主義、軍キライ、憲法9条改正の反対派、etc.

やっぱりこの言葉だけ比較しても本質は見えんね、対称になってないもの。9条改正は現状変更を試みているわけで保守じゃねーだろとか、天皇陛下万歳の黒い車の人たちは穏健じゃねーだろとか、突っ込みだらけ。ちゃんと理解するのに大事なのは、革命期フランスの保守派が何を守ろうとし、急進派は何を変えようとしていたか、ということ。

当時のフランスはすごく貧富が激しくて、その世界の勝ち組が保守派になって既得権益を守ろうとしたし、負け組がまともな生活を勝ち取ろうとした。貧富の差の源は、「身分制度」と「資本主義」の2つだ。そう2つ、ココが大事。この2つはぜんぜん違う事柄なのに、これらの賛成派と反対派をまとめて右と左に分けるから、混乱の元になるのだ。身分制度か資本主義の、いずれかを守ろうとすれば右翼、いずれかに反対すれば左翼だ。

 

まず「身分制度」。

わざと虐げられる人を作る身分制度はまずい、これは現代の共通認識。現代日本では身分制度は廃止されてるけど、まだ天皇陛下がいる。下はなくとも上はある。だから・・・
天皇陛下を敬うのは右翼。
・軍備増強してお国をお守りしよう!という封建社会的発想は右翼。
・9条改正の賛成派は、天皇陛下万歳系の人と一致するので、そのつもりがなくても右翼。反対派は消去法で左翼。
・無政府主義は身分制度を破壊するための極端な例として左翼。(ノーガードの資本主義に至るので、左翼の思想に沿うとは思えないが・・・

 

次に「資本主義」

昔の資本主義は労働者になんの保証もないノーガードの野蛮な世界で、貧しい労働者は餓死寸前な一方、勝ち組は連日舞踏会。現代の日本は生活保障とか最低賃金とかいろんな制度で最低限の生活が確保されてるし、既に左翼の主張が相当に通った後の世界なんだよね。ともあれ・・・
共産主義は、資本主義を破壊しようとする試みなので左翼。
・労働者の権利を拡大しようとするのは左翼。共産主義でなくとも労働組合は左翼。
・また、社会保障さえあれば資本主義自体は右翼とは呼ばれにくい。

 

あまり合理的な区分じゃないので、右か左かで自分や他人を規定して罵り合うのは意味ないよなー、というのが今日の結論です。

クロスバイクのカスタム紹介2

 

だいぶ前にもクロスバイクのカスタムの記事を書いたけど、その後の推移を追記するっす。

tiltowait9.hatenablog.com

 

前回の記事を描いた当時はこれでもやってた方だったんだけど。今クロスバイクのカスタムで検索すると、凝った記事がたくさん出てきおる。時代の流れを感じるにゃあ。

 

①ハンドル周りを変更f:id:tiltowait9:20170723150928j:plain
グリップ一体型のエンドバーを使ってたけど、より良いポジションを求めて変更。長めのバーを買ってきて、ハンドルバー中程にバーセンターバーとして設置。横向きにグリップする部分は、つけたバーが邪魔して普通のグリップが取り付けられないので、バーテープで処理した。バーセンターバーの方が、ハンドルバーの端につけるバーエンドバー形式より素直な姿勢を取りやすい。
使ったのはこちら ↓↓↓

シマノ  バーテープ Sシリコン ブラック PRTA0001

シマノ バーテープ Sシリコン ブラック PRTA0001

 

この変更で、姿勢の前傾度合いが俄然UP。体重をペダルにダイレクトに乗せる感覚が生まれ、ようやく、スポーツバイクで本来取るべきフォームが取れた気がする。前傾を深めるためにバーセンターバーは長いほうが良くて、この150mmの長めバーがいい感じ。ドロップハンドルの妥当性も実感できるところだケド、クロスのドロハン化は断固拒否。

なおこの構成ではバーセンターバーがブレーキとギアチェンジの邪魔になる。はっきり言って不便。TREK FX7.3は、ブレーキとギアチェンジレバーが一体型であることもあり、配置に自由度がないのが原因。ここも換えてしまうか・・・??

あと、横に持つ長さが短いのでちょい持ちにくい。こうなると、以前ハンドルバーを切り詰めたのが悔やまれる。むぅ。

 

②サドル

長く乗ってると傷んできたので仕方なく。尻のかたちが人それぞれなので、サドルばかりはどれがいいとは一概には言えないらしい。とりあえずデザインと最低限のクッション性と軽さとのバランスを見て選んでみた。

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 採用したのはこちら ↓↓↓

SELLA ITALIA(セライタリア) Q-bik BLACK V09A001AE0007

SELLA ITALIA(セライタリア) Q-bik BLACK V09A001AE0007

 

 重さを実測比較するとこれこのとおり。

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314g→271g。思ってたより、元々のが、軽いな。

バーセンターバーでほとんどサドルに体重の乗らないフォームを獲得した今の俺にとって、乗り心地はどれでも変わらんかもしれん。重さの違いは誤差だな、乗り心地としてはようわからん。

 

③タイヤ

前回の投稿で32C→28Cにしてたけど、結局25Cまで細くした。PanaracerのRACE D Evo2。メーカーのラインナップ上の扱いとして、28Cまでは「普段使い用の細め」だったのに対して25Cは「レース用の太め」なので、ネットで探すときの検索ワードが変わるのが注意点。

28C→25Cでギア1枚弱くらい軽くなる印象。スリップの懸念も対して感じないし、イイ感じ…と、一時は満足してたんだけど、後日28Cに戻した。片道9.5kmの通勤に使い始めたところパンクが多発したのが理由だ。段差を超えるテクニックで改善の余地はあったものの、会社に遅刻するリスクは抱えられないと判断。重くはなるけど、やっぱパンクへの安心感という面では圧倒的に28Cで、かなり大きな違いを感じた。戻した先はこちら。 

 通勤にはツーキニスト、それ用に販売してるなりの意味があるナ。タイヤ幅の最適解はやっぱり、用途や距離による。少なくとも32Cまで戻すことはないと思うケド。

 

④小物

自転車の長距離運転はなにせパンクが怖いので、パンク対策グッズは常時携帯するべきだ。ボトルホルダーにフィットする小物入れが売られていて、これが実に便利。ワタシが買ったのはこちら↓↓↓ 

 ここに換えのチューブ、携帯用空気入れ、タイヤレバーを詰めておくのだ。準備がないときに限ってパンクするのが世の常だものね、常時持っとくしかないのだ。重くなるという人は、その分ハラの脂肪を減らせ。

空中逆上がりと空中前回りの物理


素人鉄棒演舞 前と後ろの支持回転

空中逆上がりと空中前回りに関する、物理的考察について。正式には後方支持回転と前方支持回転と呼ばれる技のこと。

どちらも上半身を落下させた勢いでくるっと鉄棒を一周する技だ。でも手の摩擦などなどでエネルギーをロスるので、漫然と保存則に従っていては元通りには戻れない。エネルギー保存則を打破するポイントは、この運動が落下である一方で回転であるということ。つまりは相も変わらず、姿勢制御による慣性モーメントのコントロールがキモである。

①前半=上半身が落下
 慣性モーメントを大きくして、大きな角運動量を獲得する
 →背筋を伸ばし、首も伸ばす。
②後半=上半身が上昇
 慣性モーメントを小さくして、角速度を上げる
 →猫背になり、首をうつむけて縮こまる

これだけ。簡単でしょ?…と言うは易しだが。なにぶん前半は落ちてるわけで、落ちてる時は首をすくめて縮こまるのが抑えがたい本能というもの、そこで背筋を伸ばせとは酷だ。つまり回転技習得の真髄は、恐怖心の克服という精神論がその大勢を締めるのである。

ここまでの話は、鉄棒の周囲を回転する技では共通だ。例えば、足掛け前転&足掛け後転、天国回り&地獄回り、など。私はできませんが・・・大車輪でも同じなはず。

また、鉄棒の反対側に出ている下半身は逆に動くので回転の邪魔。対策としては腰と膝を折って縮めてしまうのが効果的で、これで下半身側の慣性モーメントは如実に減少する。まずはコレで出来るようになろう。

ただし、敢えて膝を伸ばすことは技をより難しくするが、より美しくもする。別の技と言って良いほど俄然難しくなるが、余力があればぜひチャレンジして戴きたい。この場合、さらに上半身側の慣性モーメントを大きくするため、鉄棒は腰ではなく太腿につける。それで落下する側の質量が増えつつ邪魔する側の質量が減って、一石二鳥。とはいえ、曲がりカドの腰でなく直線状の太腿を回転軸として維持するには、それなりの腕力と体幹が必要だ。精神論の次は筋力、実に体育会系だが物理的に不可避な結論なのだ。

つーかもう、体操ってのは総じて言って、身体の慣性モーメントを制御する競技といって差し支えないのであるよ。それに相応しい姿勢を取るためには、恐怖心に打ち克つこと、体幹を鍛えること、この2つに集約されるのでありました。

 

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蹴上がりの物理

公園の鉄棒でやるにはちょっと高級な技、蹴上がり。小学校でできたらヒーローだ。この技、この動作でなぜ鉄棒に上れるのかは、大抵できる本人もよくわかってない。ちょっと真面目に考察してみた。

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素人鉄棒演舞 蹴上がり

 まず間違っちゃいけないのは、懸垂よろしく腕力で上がっているのではないってこと。肘は始終伸ばしっぱなしで、体を持ち上げるような使い方ではない。
同じく足を振りおろす反動で浮き上がるのでもない。足を上下しても体の重心位置は変わらないからだ。
パッと見ハデな足の上下動で捉えるのが誤解の元で、蹴上がりとはやはり鉄棒を中心とした回転運動なのだ。問題が足なのはあってるが…よく見れば、体が鉄棒下(図の②)にあるときは水平方向、体が鉄棒横まで来たら(図の③)上下方向、と回転する体の進行方向とちょうどテレコになっているでしょう。これが大事!要は足の反動が、上半身の回転運動を加速していて、結果として上半身だけ鉄棒の上まで回転が進む。足を置き去りにして上半身だけ加速させる、とイメージすると分かりやすいだろか。このためには、足の振り下ろしは速ければいいというものではなくて、重心の振り子に即した「適切なリズム」で振るのがキモになる。体感的には早くなりすぎないよう「ぬぅっ」と遅く振るくらいの気持ちがちょうどいい。

また、回転運動中における慣性モーメントの減少、として理解するのもイイ。回転軸に対する質量分布を変形させると、角運動量は保存されるので角速度が変わる、フィギュアスケートでスピンを加速させるアレだ。上半身が先行することで、足振り上げ時の姿勢(図の①)では胸元にあった重心が、足を伸ばすと腰辺りにスライドする。結果として肩が重心から離れ、肩の開き角が小さくなり、肩が閉じたぶん体の重心が鉄棒に近づいて、めでたく鉄棒を回転軸とした慣性モーメントが減少する。待ってましたと角速度が増大して、体が鉄棒の上まで浮き上がるのであった。

(※姿勢の変化自体は、鉄棒を回転軸とした慣性モーメントを増やす方向に働く。畳んでいた体を伸ばすので、体の重心を回転軸とした慣性モーメントは大きくなる。平行軸の定理から考えれば、鉄棒を回転軸とした慣性モーメントも増えてしまう。)

この考察結果を具体的な動作のコツに落とし込んだのが、下のリストだ。

(1) 足の振り上げでは、膝やフトモモではなく足首を鉄棒に近づける。重心を極力回転中心の鉄棒から遠ざけ、大きな角運動量を得るため。
(2) 足の振り下ろし始めは一呼吸おいてから。最下点まで振れ戻って、位置エネルギーがしっかり運動エネルギーに変換されるのを待つ。
(3) 肘は始終伸ばしっぱなし。肘を曲げると、回転軸(鉄棒)から重心(腰)が遠ざかり、慣性モーメントを小さくできない。
(4) 足の動きが効率的に上半身を加速するよう、適切な速さで振る。速ければ良いものではなく、体が上がりきるのと足を振り切るのが同時になるくらいにコントロールする。”上半身の振り子運動から足を置き去りにする”イメージ。
(5) 体が持ち上がってきたら、手首を上に返す。これは物理じゃなくて人体構造に起因するコツだけど、意識してやらないと最後の最後で体が鉄棒に乗っかるのを腕が邪魔してしまう。

さあ皆の衆、蹴上がりをマスターして子供の尊敬を勝ち取るのだ!

 

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逆上がりの物理

先日、公園で逆上がりにチャレンジしている少女を見かけた。一生懸命に足を振り上げているが、残念ながら成功する見込がない。教えてあげたい衝動に駆られるが、知らないおっさんがいきなり声をかけても事案発生かと思われちゃ困るので、そこは留まった。

出来る人は苦もなくできる逆上がり、どうすれば回れるのか、なぜ失敗するのか。ここは物理学の出番だ。といっても数式が必要なほどの話じゃなくて、現象をよく観察する眼があればよい。

逆上がりの過程は、下図のように大きく2つに分けられる。 

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 実演動画


素人鉄棒演舞 逆上がり

 

①図「胸~腹を中心に回る」

いきなり鉄棒を中心にくるっと回りきるイメージは捨てよう。序盤の回転中心はみぞおちにある。①の絵のように、鉄棒-肘ラインの先、みぞおちを中心に体がぶら下がっているイメージで動作開始。シーソーがパタンと反転するように、足を振り上げると同時に頭を後ろに落とす。この感覚で体が反転すれば腰が自然と持ち上がるはずで、②の図のように足が鉄棒に引っ掛かかれば、もう成功は約束されたも同然。
この間、重心を「足を鉄棒に掛けられるところまで」持ち上げる程度の腕力と体幹が必要。でも、「鉄棒の上まで」持ち上げる必要はない。

②図「鉄棒を中心に回る」

足がかかったら体重を鉄棒に預けられるので、あとは簡単。勢いが完全に止まっていても、じたばたすれば頭を上に持ってこれるはずだ。回転軸の移行をスムーズにやれば、①の角運動量を②で流用できるので、滑らかな動作の逆上がりになる。

ネットで逆上がりのコツを検索した時に見つかるのは、

・手を鉄棒の下から持つ
・肘を曲げる
・足を(前でなく)上に振りあげる
・体(腰)を鉄棒に近づける

といったところだけど、要は、重心を中心に体を反転させて、足を引っ掛けるまでの現象を実現させるための、動作の細部を説明しているのだ。現象のイメージさえ掴んでいれば、どれも必然的に達成されるぞ。

 

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暦の数学、60進法の魔法

1日は24時間。1時間は60分。1分は60秒。暦や時間に使われる単位は10進法じゃないので、区切りが少し変。でも、これで良かったのです。10進法なんかより、24や60の方がずっと便利な数字なのだから。

数の便利さとはつまり、割りやすいこと。言い換えれば、約数が多いと言うこと。特に小さい数(1~6あたりまで)の約数が多いこと。1~60の数の約数をまとめて図にしてみた。

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まずわかることは、10進法はクソだってことだ。哺乳類の指は片手で5本、両手で10本だから、5と10が幅を利かせてるんだが、なにせ5は素数だ。10にはそのまま5と2しか約数がない、3でも4でも割り切れないクソ数字だ。
反対に優秀なのが12。2・3・4・6が約数にあって超便利。哺乳類の好きな5だけが唯一足りてないケド。優秀過ぎて改めてダースって単位が作られたほどだ。
例えば団子をお土産に持っていくとき、12個入りを買えば大抵平等に分配できる。5人でさえなければ。10個入なんてまず喧嘩になるので最悪だ。
とは言え12の約数に5が抜けてるのはやっぱり気になるので、5も約数に加えた1~6を完全制覇する最小の数字が、60だ。日常生活で出会いそうな数字を全部従えている60はミラクル便利だけど、単位としては大きすぎて不都合がなくもない。
ので次点で優秀なのを探すと、30あたりがイイ。4じゃ割れないけど5で割れる。
24もステキ。5はダメでも8で割れる。

さて、そろそろ暦に話を戻そう。
・地球が太陽を1周する1年は365日。およそ360日と丸めれば、360=12×30の便利数字カップリングだ。ちなみにこの間に天球の星座が一周するので、円を360分割する概念が生まれる。

・月が地球を1周するのは29.5日でおよそ30日。先の1年≒12×30日と符合するので実に都合がよくて、月が12回満ち欠けしたらおよそ1年になる。1年を12か月と分けるのはそういうことで、これが太陰暦の起源。

・昔、エジプトでは12進法だった。そして日時計で時間を計っていたので、日の出ている時間を12分割で考えた。後に夜も12分割するようになって、足して1日=24時間。1日の日の出ている時間は季節ごと変わるので、昔は1時間の長さは一定ではなかったのだ。

シュメール人は60進法を採用していた。前述のとおり、60はマジックナンバー。1時間をシュメール人に倣って60分割したのが1分。さらに60分割したのが1秒。
1時間を60分とした便利さは、誰しも経験あるはず。30分、20分、15分、10分、どれも区切りが良い。あんまり使わないだろうけど12分もいい。60のマジック。

・以上まとめると、
 1年=365日≒360日
 月の満ち欠け29.5日≒30日
 1年≒360日=30日×12か月
 1日=24時間=24×60分=24×60×60秒
便利な数ばっかり使われてて見事なもんでしょ。

・ちなみに1週間が7日なのはクソだ。7は素数でクソ不便だし、かの便利な60ですら割り切れない。1週間が6日だったら、色んな計算がシンプルになっていたはずだ。聖書を書いたやつに数学センスが無かったせいだ。

ドレミの物理

 

ドレミと周波数のまとめ。これも正月の理系ギークの会話で出たので。

音は空気の振動であって、周波数で分類できる。周波数が小さければ低い音、高ければ高い音。周波数が簡単な整数比になる音を重ねると、きれいだと感じられる。和音の良し悪しは物理だ。

音階とは周波数1:2(1オクターブ)の音の間を、等比数列で12分割したもの。この12音のうち、良い和音になりやすい音を抽出したのがドレミファソラシの7音だ。とあるドの周波数を1として、各音の周波数比率をまとめたらこうなる。

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周波数の最も単純な比率は1:2、1オクターブってやつ。3和音なら当然1:2:3で、ドドソ。次点で2:3:4のドソド。ドドソの波形をグラフにしたらこんな感じ。

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青いドの周期1回ごとに全部の波数が揃ってますでしょ、おわかり?

オクターブ差を使わない3和音なら3:4:5、これはドミソ・レソシ・ファラドの3つで、登場するのは丁度ドレミファソラシの7音となり、これがベース音の由来。ピアノではこれらが白鍵、使いにくい残りが黒鍵に配置されている。黒鍵配置が中途半端なのは理系センスを逆撫でするが、これならば溜飲を下げよう。グラフにしたらこんな感じ。

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正確には横軸が4まで行けば、3つの位相が0に揃う(平均律で描いたのでチョイずれてる)。完全調和音たるドとソは、横軸2でぴったり合ってますでしょ、おわかり?

ピタゴラス先生に忠実に整数比にこだわるのが純正律純正律は理想だけど、音毎の比率が一定じゃないので転調するとグズグズになる。そこで対策として半音ごとの比率を一定で近似したのが平均律というやつで、周波数が2の1/12乗づつの等比数列になる。

最初の表で分数比にカッコがついてるド#・ファ#・ラ#は、丁度の分数にならない鬼門で、調和しにくい。特に半音6コ差はサイテーな不協和音となり、その比率は平均律でなんと√2、無理数である。こんな和音を使うとピタゴラス先生に海に捨てられる。

なお、こんな勉強をしてもピアノが弾けるようにはならない。