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本と、映画に思うこと。その他、諸々のこと。

読書録8: 「ワープする宇宙」 リサ・ランドール

ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く

ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く

美人の女性物理学者、ランドール教授が最新の素粒子物理を教えてくれます。

物理の最前線は今、熱い。まだまだ憶測だらけの超ひも理論だが、これが上手くいけば、究極の物理法則にたどり着く可能性があるのだ。世界を理解するのは人類誕生以来の見果てぬ夢。その夢に自分の代で手が届くかもしれないという興奮、伝わりますか。伝わりませんか。そうですか。不詳ながら僕も学生時代は物理専攻だったので、そんな今の物理学の進展には目が離せないのだ。

この本は、そんな物理学の熱い最前線を、物理の専門じゃない人にも教えたい!と書かれたのでしょう。なんかもう、すごく丁寧に説明してくれます。ことあるごとに例え話を差し込んで、これでもか、これでもかと、なんとかイメージを理解してくれという姿勢がすごい。ハイレベルな物理の話なのに、数式も使わず。理解してもらおうという書き手の意欲の伝わることよ。

それでも、なにぶん長いし、物理の知識は積み上げ式なので、序盤の章で説明した内容が身に付いてないと、後半戦は結局付いていけない。やっぱり、ちゃんと最後まで付き合うにはそこそこ物理の素養がいるんじゃないだろか。でもま、こういうお勉強関連の本の満足度は、読む前から持ってる知識レベルと、本に期待する知識レベルの兼ね合いで決まるモンなので。ちょうどこの本を読めるくらいの予備知識があって、物理に興味があるなら、存分に楽しめるでしょう。例えば、物理系の学部生が予習で読むなら、最高に最適な参考書なのでは。

数式なしの物理なんて骨抜きじゃないか、という心配は無用。どこかの予備校教師も言ってるが、数式は言葉です。わけのわからん記号列から意味をうまく掬い取れるセンスが、すなわち物理数学のセンス。だから案外、数式なしでも物理の妙所は説明できる。むしろ、こんなふうにまず数式なしで概観を捉えてから、数式の理解に歩みを進めたほうが理解が早いし、やってて楽しい勉強になるんじゃないかな。僕も学部時代にこの本に出会ってたら、こっちの道に進んだかもね。

出版された時点では、ヒッグス粒予はまだ想像だった。どうだ、やっぱちゃんと見つかっただろ。次はグラビトンか、スーパーパートナーか。がんばれ物理学者。もっと夢を見せてくれ。