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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

仮面ライダーを見る

子供が仮面ライダーを楽しむ年頃になり、今季やっている仮面ライダー「ジオウ」を最初から一緒に見始めた。子供向けと高をくくっていたが、実際子供向けではあるものの、しっかり楽しめている自分がいて要は自分は思ってたより子供なんだなぁと思った。率直に言って妻が見ている朝ドラを一緒に見るより遥かに楽しい。男は歳とってもガキなのだ。

ちなみに自分がヒーローもの現役のときに見た仮面ライダーは「BLACK RX」、平成ライダー初代の「クウガ」が登場したときはもう中学生で背伸びしたい年頃が興味を持つこともなく、それ以来まったく見ないで今まで来てしまった。自分が仮面ライダーを楽しめることに今更気づいてしまって、慌てて過去の仮面ライダーを見直している。

 

仮面ライダー BLACK(1988)

第1話「BLACK!!変身」
 

・RXを鮮明に覚えているので、BLACKも知っているつもりだったが…見直してわかったことに初見だ。ガキ時代の記憶はあてにならない。

・今見るにはかなりきつい。映像だけでなく、ストーリーも、役者の演技も。演技については、リテイクのコストが今より高かったのかもしれない。何事も過去の遺産をもとにブラッシュアップされているものである。いや真剣に馬鹿にしたい意図はなく、これが当時のフロンティアだったってことを言いたい。映像はともかくストーリー作りや演技すら進化の途上にあるってのは理解されてない部分だと思うので、過去の歴史を知れるのはオタク的に価値がある。

・決め技が「ライダーパンチ → ライダーキック」のコンボのみなのは古典の王道だが、オチが固定されてるって話作りを致命的に縛るんだよね。昔からぼんやり感じてたけど、やっぱりこの方式には限界があると思った。普段の放送でもそれなりにピンチの場面を作るので並の怪人にもそこそこ苦戦するわけで、敵幹部クラスがいつもより強いことを表現するのが難しい。新しい技で倒すとか戦略で倒すとかは話のフォーマットとして無いので、偶発事故で終わったりして肩透かし感ひどい。続けて見れば、RXでこの問題に解決を試みてるのがわかります。

・てつをマジ男前。イマドキのナヨナヨした若手俳優とはぜんぜん違うぜ。まぁ、歌はあれだが。信じる奴がジャスティス。

 

仮面ライダー BLACK RX(1989) 

第1話「太陽の子だ!RX」

第1話「太陽の子だ!RX」

 

・私が現役でみた唯一のライダー。これも今見るにはちょいと厳しいけど、変身しただけで自分ちょっとテンション上がるので、やっぱりヒーローってってスゴイと思った。

・ロボライダー&バイオライダーの設定が無敵すぎてネット的にはネタにされるが、改めて見れば番組の範疇で違和感はない。現代は能力バトルってやつが方法論化されすぎたんだよ。明確に志向したのはジョジョ第三部(1989~)、方法論まで落とし込めたのは幽遊白書テリトリー編(1993~)くらいからで、主人公側が特殊能力で戦うのは当時は珍しかった。その黎明期に思いつく限り強い能力を主人公に与えるのは当然だし、剛のロボライダー&柔のバイオライダーって組み合わせは合理的ですらあった。スキがなさすぎるって思われるのは現代の慣れた受け手には仕方ないところ。能力バトル黎明期の鬼子だったのだよ。
思い返せば石ノ森章太郎御大はサイボーグ009で時代を遥か飛び越して能力バトルをいち早く始めた御方。御大が無敵の能力をこのタイミングで提示してしまったというのは、中々感慨深いではないか。

 

仮面ライダー クウガ(2001)

EPISODE 1 復活

EPISODE 1 復活

 

・ 空白期間をおいて復活した仮面ライダー、平成シリーズの第一弾。主題歌には「ゼロから始めよう」「伝説は塗り替えるもの」「俺が越えてやる」などなど挑戦的なフレーズが並ぶ。歴史あるシリーズを改めて始めんとする造り手の熱意は明確、その意気や良し。

・バイクに乗って登場し、ベルトで変身して、怪人と戦って、キックで斃す。真面目に考えれば失笑モノの仮面ライダー的要素を、一定のリアリティが求められる現代劇の中で成立させるという企画意図は実に共感できる。企画にここまで明確な目標を提示し実現したというのは、社会人目線で関心する。

・劇中で「仮面ライダー」の名称が一切出ない。このネーミングも、よく考えたら現代的にはキツいよねぇ。仮面を着けてバイクに乗る人、仮面ライダー。・・・。語の与える印象は時代によるので石ノ森先生は悪くないけど、現代の感覚でキツいのは確か。作品タイトルとして未だにこの名前が使えるというのは、この名前が語源を越えてヒーローの代名詞にすらなっているという価値を示しているものの、リアリティを持たせたい劇中で発するにはちょっと…というジレンマがあるわけで、以降のシリーズでも「仮面ライダー」の呼称を使うにはそれなりの配慮が見られます。

・オダギリ氏もさることながら、一条刑事も相当なイケメンと思うのだけど、その後の活躍ぶりにこうも差があるのは芸能界の苦労が忍ばれますなぁ。

 

仮面ライダー W(2010) 

 ・クウガを見て、現行のジオウを見てるので、中間くらいの年代で人気のあるWを見てみた。年代的には中間だが、もはや古臭さは感じない。2001~2010年の間にこんなに時代が変わったのかぁ。それでもジオウとCG技術の差は歴然。つうか低予算の週間連載レベルでできることとしては、ジオウのCGってすげぇのかも。ゲーム機で言えば、クウガはPS初代、WがPS3の時代。PS3PS4の差って小さい気がするけど続けてみるとやっぱり違う。テクノロジーは日進月歩であるなぁ。

探偵物語にライダーがめり込んでいるドラマ、話自体で起承転結ある魅せれる形に仕上げているので、ひとまず面白い。このくらい仕上がった脚本を週間連載するって昔は無かった。テクノロジーじゃないけど、これも時代を追って番組を製作する何かの技術が変わってるんだよな。

・終盤は戦闘力インフレ気味。序盤は能力のバリエーションと使いこなしで勝つような形にできてたので、これが続いてくれた方がスキだったけどねー。