tilt log

本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

ブランコの物理

正月に旧友と会った。近場の公園を懐かしみつつふらふらとしたのだが、ブランコがなぜ加速できるのか?という問題で盛り上がった。現場には理系院卒が3人いながらも統一見解がなく、意外にも理解できてる人は相当少ないのではと思い至ったので、自分なりにまとめたものを記しておくことにした。

図は手書き乱筆にて失礼。骨子は、回転軸方向への重心の移動だ。図中のAをスタートとして、B→Cで重心を上げる、E→Aで重心を下げるのがブランコの神髄。

f:id:tiltowait9:20160102000037j:plain

まずはエネルギー的に考えるのが簡単。
(A)→(B)で位置エネルギーが運動エネルギーに変換される。位置エネルギーを使い果たした(B)で重心高くして位置エネルギーを加えたら(C)、次の最高点(D)では前(A)より大きな位置エネルギーを得る、つまり高い所まで振れるのだ。

エネルギー抜きで理解するならば。
まずは立ち漕ぎを例にとると、(A)は後ろ向き再高点でしゃがんだ状態だ。速さが最大となる最下点で立つと(B→C)、重心が回転中心に近くなる。このとき、重心の速さvは一定なので結果的に角速度ωが増える。これはスピン中のアイススケーターが手足を縮めて回転数を増やすのと同じ現象だ。
この後、運動が一瞬止まる点(E)でもう一度しゃがめば、エネルギー損失なく重心を回転中心から遠ざけることになるので、上記の動作を繰り返すことができ、角速度ωを増やし続けられる。

座り漕ぎでも同じことだ。子供たちの多くは体や足を前に振り出す動作で加速してる気分になってるが、このニュアンスで想起される前方向への動作は、反作用でキャンセルされてるので無意味だ。体と足を前に振る動作で、重心が上がることが大事だったのだ。僕が子供の頃は、座り漕ぎで加速する感触が全然わからなかったんだけど、この考察をして以来、座り漕ぎが得意になった。

なお、前方の最高点(D)でも重心を落とせば一往復で二度加速できるが、大人がこれをやると加速しすぎてえらいことになる。試すなら自己責任にて。