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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

アニメ映画リスト 51~100

なんでこれがこんなに低いんだ!と思う方もいらっしゃるでしょうが・・・世の中にそれだけいいものが多いんだよってことでひとつ。完璧とまでは言わずとも、ギラリと光る傑作たちです。なお、ドラえもん映画はもはや幼児体験で、距離をとって評価しにくいので、まるっとカウントしてません。

  

51.美女と野獣

美女と野獣 ― スペシャル・リミテッド・エディション [DVD]

美女と野獣 ― スペシャル・リミテッド・エディション [DVD]

 

 ・ディズニーらしいディズニーディズニーしたミュージカルアニメ。
・はっきり言ってストーリーテリングは下手糞。
・愛は容姿じゃないって話っぽいんだけど、片っぽは結局「美女」だし、野獣がイケメンに戻ることがハッピーエンドとして描かれてるし、結局容姿への妄執は健在。
・燭台や時計にされた使用人の皆さんは、とばっちりもいいとこ。
・それでもミュージカルパートの魅力がすべてを補って余りある。顔のある燭台や時計や食器が歌って踊るって、(いい意味で)ディズニー感溢れすぎ。今どきこんなのやらないけど、改めて見るとやっぱりこういうの、素敵やん。

 

52.王と鳥

カリオストロ城の元ネタになったという、フランス産アニメ。確かに落とし穴とか罠だらけのお城の雰囲気が良く似てる。
・今どきのアニメとは全然違う空気に引き込まれます。感受性豊かなファンタジーだけど、子供向けに夢を振りまくつもりは全くなさそう。王様の圧政とか、なんかを風刺してるっぽいんですけどー。
・最後の最後は唐突で、奇妙な展開。制作当時に、国をぶち壊したくなるような、抑鬱とか閉塞感とかあったんだろか。

 

53.ナイトメアー・ビフォア・クリスマス

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス [DVD]

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ティム・バートンの有名なストップモーションアニメ。でも監督はバートンじゃなくてヘンリー・セリックさんですぞ!
・ちょいと毒のあるセンスが見どころ。人形の造形はさすが。ミュージカルシーンもいい。こじゃれた雰囲気でサブカル女子御用達。
・でもストーリーはあんまりだよね。特にジャックが撃ち落されたあとの開き直り、あれひどい。

 

54.ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

・新劇場版の3作目。昔のエヴァをなぞった序・破までを、15年前のこととして突き放す暴虐の展開。前作までの目的だったサードインパクト阻止が知らんうちに失敗してて、それも今や昔。当時の努力は全部パァ。あの「綾波を返せー!!」のテンションがもはや恥ずかしい。
・「15年」はTVシリーズからQ公開までの実時間と同じだ。要は昔のエヴァを否定して、そこから何かを構築しようとしてるようだ。腹黒いなぁ。かれこれ大人になった僕も、今の自分はエヴァ好きだったかつてのガキとは違うゼ、とか言いたい気分もあって、つまり製作者側もそう思ってんだね。
・ネット界隈で異様に評判悪いようで、びっくりした。確かにストーリーは欝展開いよいよひどくて、観てて心地よいモンじゃないですが。作り手の野心が迸ってて、個人的には興奮して受け入れた作品だった。

 

55.メアリー&マックス

メアリー&マックス [DVD]

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・ミニシアター的なストップモーションアニメ。
・メンタル弱い同士の、ガラスの上を渡るようなコミュニケーションを描く。少しずつ心を通わせる様子は感動的です。見てるのがツライが…。
・ぼかぁ悩まない性格なんで、こんな何にでも悩む人はタイヘンだなぁって思います。超他人事です。
・これを子供向けゾーンにおいてるTSUTAYAは一刻も早く配置見直しするべき。

 

56.くもりときどきミートボール

・アメリカ製3DCGアニメ。ディズニーでもドリームワークスでもないよ!
・「うふふ」じゃなくて「あはははは」くらい声出して笑えるコメディ。アメリカ産でこれだけ笑えるのは少ない(失礼)。作った人は脳みその大事なところが腐っているものと思われる。
・一番好きなのは大事なUSBが無意味に吹っ飛ぶところ。
・いや僕は美味しいと思いますよ、イワシ。
・一方、脚本のきっちり具合はすごくきっちりしてる。脳みその腐ってない部分は相当明晰なものと思われる。

 

57.ファインディング・ニモ

ファインディング・ニモ [DVD]

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ピクサー映画5作目。ファイトはしない。
メメントと同じ、前向性健忘の話(ウソ)
・とーちゃんがムスコのニモを探して旅をするんだけど、これがまぁよくできたロードムービーなんだわさ。
・ラセターさん、やっぱり子供キライだろ。確かに僕も子供の頃はこんなんだったけどね。
・スキューバダイビングやアクアリウムは自然に興味がある人の趣味だけど、それで自然を愛でてるなんて人間本位な発想で、自然の側から見たら迷惑だって話。ちなみに私どっちもかじりました。エエ。

 

58.鉄コン筋クリート

鉄コン筋クリート (通常版) [DVD]

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・原作の松本大洋って、正直サブカル狙いすぎな気がして好きじゃなかった。松本サン本人が悪いんじゃなくて、それを好きって言う層であることが恥ずかしいというか。で、原作読まないままこの映画見たんですが、予想に反していい映画でしたね、食わず嫌いやめて原作も読んでみようかしら。
・オチを少し抽象的に振りすぎたかな?ぶっちゃけ説明放棄。繰り返し見て解釈する楽しみがあるとも言えますが。
・背景のデザインセンスはまーべらす。

 

59.ファンタスティックMr.FOX

ファンタスティックMr.FOX スペシャル・プライス [DVD]

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ロアルド・ダール原作のストップモーション・アニメ。バタ臭いタイトルとは裏腹にシニカルで洒落た作品で、子供向けお伽噺などでは、ない。視聴に際してはご注意の程を。
ロアルド・ダールと言えば、「チャーリーとチョコレート工場」で有名。SF者には異色作家短編集シリーズの筆頭として認識されてるでしょうか。ちっと毒気のある奇妙なストーリーを作る人です。このお話もまた、御多分に漏れず奇妙な味ですねぇ。
・ちょっとカクカクしたストップモーションぶりも、この作風にとっては、逆にシュールで楽しい効果になってるんじゃないかと。

 

60.ボルト

ピクサーでなくディズニー本体のアニメが、こんなに破綻のないストーリーだなんて!ラセターさん移籍の効果覿面。
・どこにも文句はないけど、安定し過ぎてて刺激がないって印象かなぁ。文句なく面白いので、観ておくべきと思いますけどね。
・一応ロードムービーなんだね。アメリカの地理に馴染みないから、どこを通ってるのかさっぱりわからんが・・・
・ボルトの勘違いが解けるまでが見てていたたまれない。こういうの苦手なの。さっさと気付け。

 

61.EVANGELION Air / まごころを君に

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・いわゆる、旧劇。DEATH AND REBIRTHは無かったことにしてあげて。
・矢鱈と謎めかした演出に当時中3だった僕は見事にやられてしまって、友達とあーだこーだと解釈の仕方に頭をひねったものであった。
・後になって知った事には、このテの謎めかせ演出は結構昔から使ある技だったんだな。「2001年宇宙の旅」や「地獄の黙示録」が代表例で、勝手に深読みした観客側が祀り上げてしまうところまで含めてテンプレの、よくある手口なのだ。ありていに言えば説明放棄でして、祀り上げるような感想を持つのは完全に製作者の術中ですな。
・ただ、その手管をアニメに持ち込んだってこと自体が発明だった。そしてそれが受け入れられたことで、アニメの歴史を変えたのは間違いない。

 

62.トイ・ストーリー

トイ・ストーリー2 スペシャル・エディション [DVD]

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ピクサー映画3作目。
・おもちゃのアイデンティティクライシス第二弾。人間じゃないもののアイデンティティを描くなんて、すげえ想像力。
・1作目は新しいおもちゃに乗り換えられる恐怖。この2作目は、壊れて捨てられる恐怖。テーマとストーリーの関連付けの上手さは今日もピクサー印で舌を巻く。
・1作目、3作目と比べるとチョット落ちるけど、それでも十分過ぎるくらい良い作品です。比較対象のレベルが高杉るんだな。

 

63.カーズ

カーズ [DVD]

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ピクサー映画7作目。後に怒涛のスピンオフを生む。
・子供向けを絵に描いたような絵なもんだから、大人の心では感情移入しきれなかったんだけど、高値安定のピクサー品質。最後のレースなんか伏線回収大会でしっくりきまくりすっきりしまくり。
・ハエみたいに飛んでるのはワーゲンのビートル。愛称が「bug」だから虫扱い。フェラーリに憧れるタイヤ屋はフィアット500。同じイタ車だからだ。小ネタの仕込みが多そうなんで、もっと車好きならもっといろいろ見つけるのかも。

 

64.王立宇宙軍 オネアミスの翼

王立宇宙軍 オネアミスの翼 [DVD]

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・後にエヴァで名をなすGAINAX初作品。
・若い作り手の熱意あふれる良作です。いろいろ考えて、あれこれ盛り込もうとして、まとめ切れなかった感じもありますがね。盛り込まずにおれなかったのが熱意ってもんです。世界観の作りこみが凄いんで、咀嚼するのが楽しいですね。
・宗教についての感覚は、制作当時と今とでは違うのでしょう。ヒロインを宗教者にしてる時点でもう違和感。オウムとか9・11とかあって、今の日本人はちょっと宗教全般に引いちゃってるから。このへんで感情移入できなかったのが残念でした。もっと昔に見とけばよかった。
・音楽が地味にイイ。と思ったら坂本龍一参加。流石っす。
・でも、ヒロインが売春してたのかもと思わせるシーンと、森本レオがヒロイン襲おうとするとこは、意味ありげな割に伏線でもないし、機能してないね。

 

65.機動戦士ガンダム Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

・バラで語るほど思い入れないんで、セット評価で勘弁。詳細はスキモノに聞いてくれ。赤いモノ見る度に3倍速いとか口走る人が世の中には多いんで、とりあえず元ネタ知っとこうの世界。
ファーストガンダムの偉大さを劇場版に全て背負わせるなら、ランキング1ケタ台にせざるを得ませんが。敢えて独立した映画として語るならこんなもんでしょう。総集編映画の常で、演出不足が山積してる。
・それでもなおⅢのクライマックス感はいい。

 

66.チキンラン

チキンラン [DVD]

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・「ウォレスとグルミット」がミラクルなニッツ・パーク監督、ドリームワークスで得意のストップモーションアニメを敢行。
・意外にも暗いテイストなのに戸惑う。かわいげなニワトリで大脱走のオマージュやって、わかる人に見てもらえてるんだろか。マーケティングできてる?
・ラストは「飛べ!フェニックス」かな。飛べないニワトリが飛ぶための、最後の手段。むちゃくちゃなのに不覚にもグっと来てしまったよ。飛べー!!

 

67.銀河鉄道999

銀河鉄道999 (劇場版) [DVD]

銀河鉄道999 (劇場版) [DVD]

 

・松本零二原作の大ヒットTVシリーズを再構成して映画化。ついでに主人公鉄郎はガキから青年にモデルチェンジ。監督はりんたろう
・長大なTVシリーズをたった2時間に詰め込んだから、パンパンな感じ。時間に追われて演出が足りてないとこいっぱい。普通ならダメだけど、それでもなお面白かったと思わせる腕力がある。
・宇宙を旅するロマン。ロマンてwwwとか脳内でツッコミつつも感ずるところはある。今どきのアニメはシニカルすぎて、ロマンなんて大風呂敷広げようって覚悟がないよね。
ハーロックはクソカッコイイ。
・宇宙空間なのに煙突から煙がモクモクと…。SF的突っ込みドコロは無数にありますが、古き良きアニメの風情として楽しみましょう。昔は大らかだったのだ。
・鉄郎の発想は完全にテロリズムなので良くない。昔はそんな倫理的整合性も適当だったのだ。

 

68.パプリカ

パプリカ [DVD]

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PERFECT BLUEで有名になった今敏監督の劇場4作目。
筒井康隆の原作が元々妄想と現実が入り混じるサイコな話なので、今敏が得意ないつもの演出をやったら、原作に忠実なアニメ化になった。そもそも今さんがツツイストだそうで、原作のパプリカを背景にPERFECT BLUEを作ったと理解する方が正解でしょうか。
・原作知らずにこの映画見た方が、感動できたんじゃなかろーか。原作はちょい冗長だし、読まない方がいいな。そうだそうだ。

 

69.REDLINE

REDLINE スタンダード・エディション 【DVD】

REDLINE スタンダード・エディション 【DVD】

 

・サブカル系なおふざけ映画。原作脚本の石井克人さんは実写映画「鮫肌男と桃尻女」の人。そう、それ系。
・とにかく絵がよく動く。手書きの物量的限界を全く感じさせないほどで、この作画で会社が傾いたとかどうとか。相対論効果かってくらい歪む加速シーンとか、CGとはちゃうんやで!と言わんばかり。カッコいーなー!
・ここまで力入れるなら、もっと売れる映画を作ればよかったのに・・・
・ルパン風に走ってる二人はバットマン&ロビン風だし、鉄男風巨神兵にSOL風ラピュタの雷を撃ち込むし、シュワちゃん風にショットガンリロードしたり、ブルースリー風に準備運動したり。サブカルな小ネタ満載なんで、気付いてニタニタしましょう。
・主人公の勝負以外の結末を全部放り投げて終わるんで、それは良くないと思います!

70.サマーウォーズ

サマーウォーズ 期間限定スペシャルプライス版 [DVD]

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・「時かけ」で好評だった細田守監督作品。ジブリのような、一般の映画好きにアピールできるアニメ作家に為り得るか、注目の長編第2弾。どうやら、ボクの期待した方向へは進んでない。
数学オリンピック級の頭脳の少年が学校一の美人センパイの故郷に行ったら、身内に問題のプログラマーと国内最強のハッカーがいたって、ちょっと都合よすぎ。フィクションし過ぎてて、こうなると結局アニオタ層しか楽しめなくなっちゃうんだよ。細田さん、地のセンスはこの辺かぁ。
・今どきの暗号は頭が良かろうが解けないようになってるとオモ。
・そういう嘘を飲み込んで素直に楽しむならば、すごく面白い映画ですけどね。
・若ぇ衆には異様な人気だそうで、これが本命になるようじゃまだ若ぇなぁ、とか思ってます。一方で、大人ぶって貶してるようじゃまだまだガキのうちだぜ、的な気もして、アラサー映画オタクが結局あれは面白かったのか!?と朝まで激論を交わすにはちょうど良いお題になります。

 

71.サウスパーク

サウスパーク 無修正映画版 [DVD]

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・アメリカ製お下劣TVアニメの劇場版。
・モラルの底が抜けてる。目に映る全部をコケにして誰にも味方を求めない、信念貫くこの威容。
・悪ふざけの範疇は超えたNGな事ばっかやってるけど、それをNGだって指弾することが間抜けみたいな空気。アウトロー気取って炎上する小物とは、なにやらステージが違う。
・こんなのを褒めたい年頃でもないけれど、こんなものを作ることができて、しかも受け入れられてる世の中って、すごく健全だよね。
・下品なだけじゃなくちゃんとエンタテイメントになってるのが小憎らしいところ。

 

72.るろうに剣心 追憶編

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編 ~特別版~ [DVD]

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編 ~特別版~ [DVD]

 

・幕末京都で抜刀斎くんが巴っちとあれこれする件のOVAを、2時間くらいで映画風にまとめたもの。
・ジャンブ成分控えてシリアス目に時代劇やってます。個人的に好きなエピソードを真面目にアニメ化してくれたので、素直にうれしい。
・強い想いの籠った刀傷は消えないとか言っといて、原作のオチは小刀が間違って飛んできて頬掠めただけ。なんじゃそれ、をこのOVAが真剣に修正してくれたので、もうこっちが正史です。
・殺陣もカッコよろしい。巴っちの色気もよろしい。
・他にも数点長編OVAあるけど、悪い評判しか聞かないので未見。

 

73.メトロポリス

メトロポリス [DVD]

メトロポリス [DVD]

 

・原作:手塚治虫、脚本:大友克洋、監督:りんたろう。ビッグネームが並んだにしては伝説になり切れなかった作品。
・公開当時に劇場で見たのに内容全く覚えてなかったんで、レンタルで見直した。忘れるだけあってストーリーにフックが足りないな。見たそばからまた忘れそうだ。
・しっかし映像の美しさは抜群。手書きアニメにCGの効果も上手く使ってて、アメリカCGアニメとは違う進化の道を感じる。誰にも受け継がれてないのは勿体ないことであるよ。
・ケンイチ役がぶりぶりに大根。ぶり大根

 

74.平成狸合戦ぽんぽこ

平成狸合戦ぽんぽこ [DVD]

平成狸合戦ぽんぽこ [DVD]

 

・高畑さんは、すごーく色々考えてるインテリで、映画の演出もすごーくデキる人なんだろうけど、真面目すぎ。大抵、見て楽しいものを作ろうってつもりが無いんだよね。そんな高畑作品の中では狸合戦が一番エンターテインメントしてる。
・つっても、これも生真面目さが滲み出てるけどナ。真面目な人が、こうすれば面白いのかなぁ、なんて悩んでる感じがよけい悲しい。
・あ、けなしてばっかだけど、褒めるところはいくらでもある良い作品です。有名だから今更褒めてもしゃあないし、個人的に高畑さんのセンスちょっと合わんだけ。

 

75.千年女優

千年女優 [DVD]

千年女優 [DVD]

 

今敏監督2作目。
・現実に劇中劇と記憶と妄想が入り乱れる、得意のテクニックをフル活用。もう手段が目的になってるな、こりゃ。
・物語は地味で退屈だけど感動する。
・感動してんのに最後の最後におかしな一言放り込んで、単なる感動作にしないのがこの監督の黒いところ。こわいこわい。

 

76.おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)

おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)

 

細田守監督作品。本人らの思惑とは裏腹に(たぶん)、どんどん一般層向けじゃなくなってきてるぞ。
・うーん。感動したような、そうでもないような。この映画で本当に伝えたかったテーマってあるのかな?細田さんは表現者として語りたいほどのモノを、腹の内に持ってないんじゃないかと言う気がする。
・子育て頑張るかーちゃんの話がしたいのか、狼姉弟が自我を獲得する話をしたいのか、論点が定まらない。どちらも大事な話だし、感ずるものもあるのだが。重すぎるテーマに対して誠意はあったのか。アニメ好き以外の一般層にも見てもらいたい欲で、不用意にこんなテーマを選んでしまったのではないか。
・雪原の疾走シーン、粉雪をもうもうと巻き上げるカンジ、これは好き。

77.アリーテ姫

アリーテ姫 [DVD]

アリーテ姫 [DVD]

 

・中世っぽいお城で、お城に閉じ込められて育ったアリーテ姫。姫は美少女じゃないし、閉じ込められてもヒーローは助けに来てくれない。娯楽性は全然ないけど、だからこそ語られる、静かで、思慮深いファンタジー。
・ディズニーには逆立ちしてもたどり着けない境地。アンチディズニーのシュレックも、アリーテ姫に比べればはるかに幼稚だ。これが日本人の手で生み出されたことは、誇りですらあります。
・中盤、愚にもつかないお姫様が序盤の経緯を「つまらない」と評する。なかなか・・・自己分析が効いてるね。

 

78.ストレンヂア -無皇刃譚-

ストレンヂア -無皇刃譚- 通常版 [DVD]

ストレンヂア -無皇刃譚- 通常版 [DVD]

 

・時代劇アニメ。殺陣がかっちょいい、これに尽きますね。
・絵が動くことがアニメの魅力そのものである一方、製作者はいかに絵を動かさないかに腐心する。絵を動かすのは恐ろしく手間と時間(=金)が掛かるからだ。そんなジレンマの中、単発モノの劇場アニメでアクションやるってことは、今回は腹決めて絵を動かします!って言ってるようなもの。そこでちゃんと殺陣がかっちょよかったのだから、こんなに素晴らしいことは無い。
・まぁ、ストーリーはホドホドだけど・・・ストーリー練るのも金かかるもんねぇ。全てを求めるのは酷であるよ。投入できるリソースに縛りの多い中規模の企画で、できる限りのとを丁寧にやった印象で、すごく好感度高いです。
・あ、この声長瀬くん?

 

79.マインドゲーム

マインド・ゲーム [DVD]

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・漫画原作を湯浅政明監督が映画化。映像スタイルはサブカル狙い杉で好みじゃないケド、確かに斬新。
・ピノキオ的クジラ生活始めてからの心の持ちようについては、感じるところがありますね。すごく要約すると、一生懸命生きろってこと。
・声優に吉本芸人がいっぱい出てる。島木丈二兄さん意外に役者。ブラックレインのときもナカナカだったよね。イヤ、地のマンマだけど。

 

80.宇宙ショーへようこそ

宇宙ショーへようこそ 【通常版】 [DVD]

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・小学生たちが宇宙を旅して、わりとスケールでかい事件に巻き込まれて、子供ながらに頑張って解決する話。大長編ドラえもんなテイストで、単発作品にも関わらずドラ映画にも遜色ない感動のある、イイ映画と思います。
・田舎の夏休み感、異世界のワクワク感、クライマックスのドキドキ感、僕に残ってる子供心も刺激される。ちゃんと子供のときに見たかった映画。オタクのおっさんのためのアニメではないな。子供たち、これを見るんだー
・ちょっとクサいけどね。オトナ目線で粗探しして悦に入るのも違うような、そんな感じ。

81.超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 

・これも総集編映画。駆け足でケリをつけた感アリアリ。マクロスシリーズの始祖としての歴史的価値は偉大ですが、そこは映画としてまとまり重視なこのランキングには反映させてませんので。
・雨アラレのミサイルを回避しまくる描写は、作画した板野さんにちなんで「板野サーカス」と呼ばれます。日本アニメの生み出した技法の最たるもので、ホントマジカッコイイ。
・改めて作画までしたそうで、映画としてもそこそこまとまった作品になってると思います!

82.エヴァンゲリヲン新劇場版:序

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 特装版 [DVD]

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エヴァ新劇場版1作目。ここまではTVシリーズ序盤のリテイク。でも総集編というより、ヤシマ作戦をクライマックスに1本の映画としてキチンとまとめてくれました。
・後から思えば、「序」でTVシリーズを素直になぞったこと自体、「破」以降のぶち壊しの布石だったわけだが。
・僕ら、TVシリーズから体験してきた直撃世代にはお祭り騒ぎだったけど、後追いで見る人にはどう見えてたんだろ。
幾何学図形なラミエルは、見たことないカッコ良さで脳汁出る。

 

83.あしたのジョー

あしたのジョー 劇場版 [DVD]

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・総集編映画。vs力石まで。無理やり2時間に縮めた感は拭えませんがね。
・力強さが半端ナイ。この土っ臭い演出はなんだい。筆に力が籠りまくってんな。
・クロスカウンターとか、実在する技の誇張がたのしい。スポ根マンガの正統派、これぞ基本形ですな。
・力石が無理して絞るくらいなら、ジョーが太れば良かったと思います。

 

84.ぼのぼの 

ぼのぼの [DVD]

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・ナンセンス系ギャグのふりして、しばしば人生の核心を突く謎の漫画の映画化。このあとにTVシリーズ化された。
・苦笑いを誘うシュールギャグが続く。面白いのか?いや、これは面白いのだ!
・人生を「簡単なのさ」と言い切るのは簡単じゃない。でも本当は、人生の大事な事って、簡単なんだよね。みんなが勝手に複雑に考えてるだけで。今になって思えば、僕は中学ごろに見たこの映画に結構影響を受けて生きてたのかも。
・アライグマくんのお父さんの眉間がキモイ。

 

85.劇場版マクロスF 虚空歌姫 ~イツワリノウタヒメ と 恋離飛翼サヨナラノツバサ

劇場版マクロスF?イツワリノウタヒメ? [DVD]

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劇場版マクロスF?サヨナラノツバサ? 初回限定封入特典「劇場上映生フィルムコマ」付き [DVD]

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・TVシリーズを再構成した劇場版2部作。まとめ評価で失礼。TV版は観てないですゴメンナサイ。
・まさしく昨今のアニメ文化の産物。文化的惰性に従った様式的なセリフ回しやキャラ造形には不満ですが、これはそういう目的のものとして受け止めるべきですか。
マクロス伝統の怒首領蜂弾幕描写、それを避けまくる機動っぷりは現代の技術駆使してて過去シリーズと比較しても遜色ないデキ。板野先生は不参加だそうですが、板野サーカスは弟子たちが見事に受け継いでおります。
・伝統と言えば、「ワタシの歌を聴けぇっ!」にちょっとテンション上がったことを告白します。
・ヒロイン二人のヴォーカルは正直好みじゃないんだけど、前後編の各々でヤマ場に配される曲「ライオン」と「サヨナラノツバサ」は一発で脳ミソにこびりついた。これは菅野よう子先生感服致しました。これをバックにドッグファイトした日にゃ、当然アガります。

 

86.虹色ほたる 永遠の夏休み

虹色ほたる―永遠の夏休み― [DVD]

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・こーれはまた、地味な映画を真剣に作ったねぇ。ベタと言うか…つまりベタな内容なんだけど、奇をてらわないことも大事です。ステキな映画なのです。
・小学生の夏休みの記憶は素晴らしい。カブトムシやノコギリクワガタは美しい。
・人物の輪郭線がなんとも不定形な攻めの作画、これもまた淡いニュアンスが遠い夏休みの記憶をくすぐります。
・ラストは仄めかすくらいでいいのにフルパワーで描写したナ。こりゃちとやり過ぎでは。

 

87.マダガスカル

マダガスカル スペシャル・エディション [DVD]

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シュレックに続いてのディズニー向けカウンターパンチ。ライオンキングが無視した、「肉食獣の現実」。
・じゃあ魚なら殺していいんかっつーと微妙なんだけどな!ここを着地点にするくらいが、アメリカン倫理観の限界か。押井風に言うと、「鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず。声有る者は幸いなり。」
・南極にたどり着いたペンギンの「ココ、サイアクっすね」の一言が痛快。動物を自然に返せってしょうもない動物愛護団体がよく言うが、飼い慣らされた動物を自然に放り出すのは無責任なだけなのだ。

 

88.マウス・タウン ロディとリタの大冒険

・アードマン@ドリームワークス第三弾、ついにCGアニメに。キャラデザインはウォレス&グルミットぽいけどニッツ・パーク監督じゃないよ!
・ヤマ場は盛り上がるし、ちょいと教訓もあって、すごく良くできてます。敵役のカエルもなんか微笑ましくて、安心してお子様に見せられるカンジ。
・最初トイレで流される場面に危ないネタがチラリ。これってシュレックで見たやつだ。アンチディズニーのドリームワークス色。
・「~の大冒険」って邦題、そろそろやめませんか。

89.コープスブライド

ティム・バートンのコープスブライド 特別版 [DVD]

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・ティムバートンのストップモーションアニメ第2弾。
・概ね、ナイトメア・ビフォア・クリスマスの感じ。あのテイスト好きなら見とく価値あるけど、ミュージカル分少なめで曲も記憶に残らないので、ちょいと食い足りない。
・勘違いで話が進むいたたまれない感じ、もうやめませんか。
・死体花嫁がだんだん可愛く見ええてくるのはバートンマジック。
・ストップモーションなのに動きがすげぇ滑らか。滑らかすぎてCGに見えるくらいで、それって逆に損してないすか。

 

90.カウボーイ・ビバップ 天国の扉

COWBOY BEBOP 天国の扉 [DVD]

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・TV版が好きだった人向けの同窓会ってとこ。ファンにとって彼らの活躍が見れるのは素直に嬉しいものです。
・テーマとか人物の掘り下げが浅いし、映画としては不満あり。TVシリーズが素晴らしかった分、ハードル上がり切ってた感ありますか。
・アクションの作画はすごいよね。マクロスを思い出すよなドッグファイトシーンもあるよ!
・その握力ナニ?

 

91.戦場でワルツを 

戦場でワルツを 完全版 [DVD]

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レバノン内戦の虐殺事件に関するイスラエル製アニメ。ドキュメンタリー的な側面が強いです。
・報道の意味で、こういう作品が存在することは意義深いものです。映像作品としての娯楽性も確保しているので、結末まで魅せる力があります。
・アタシの生まれる前の話なので、そういう事件があったこと自体知りませんでした。事前に知ってた方がこの作品の意味を咀嚼できたのでしょう。これをきっかけに少し勉強しようと思ったので、まさに報道として機能している。

 

92.イヴの時間

「イヴの時間 劇場版」 [DVD]

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・アンドロイドの人間性ってテーマは、古くは「電気羊~」から「ちょびっツ」までいろいろあるもんだけど、新しい切り口で新鮮です。なんとも地味な視点に絞ったもんだ。
・小さなカフェの話。画面の変化が少ない分よくカメラが動くね。
・ここでは広げた風呂敷畳み切らずに終わってるんで、ぜひラストまで描き切って頂きたい!映画は風呂敷畳むのが難しいんだよ。このままやめるなんて反則!

93.思い出のマーニー

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 ・ジブリだからって、ぜんぶ宮崎駿と比較するのはいい加減止めよう。ハヤオは実写含めても世界トップクラスの映画監督なんだから、それと比べて劣ってるって、そりゃ批判ですらないよ。アリエッティはハヤオもどきだからそんな感想も仕方ないど、今回はハヤオが絶対やらない映画になってるんだから、新しい才能がどうかって話をしようじゃないか。
・で、どうかというと、んー、やっぱ下手かなぁ。ストーリー構築のテクニック的には。でもこの映画の世界感については、観客がそこにいるような、そこに行きたくなるような空気を構築できるてると思う。アリエッティよりずっといいでしょ。
・頬赤くするのは性的すぎないか。そういうマンガ記号じゃなくて、表情や演技で表現せねば。
・背景美術は健在だなぁ。ジブリの剛腕。
・つーわけで、順位としては、この辺になるよね。。

 

94.アラジン

アラジン スペシャル・エディション [DVD]

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・「A Whole New World」のシーンがイイ曲+イイ画だから高得点。
・でも、高飛車なジャスミンや嘘で嘘を塗り固めるアラジンは、感情移入できるキャラクターじゃないよねぇ?

95.バグズ・ライフ

バグズ・ライフ [DVD]

バグズ・ライフ [DVD]

 

ピクサー映画2作目。
・ただ小さいということが世界の様相を一変させる、虫視点の世界の描写が見事です。乾いた土のひび割れは渓谷のよう、雨粒は衝撃を伴って叩き付けてくる。人間にとってはカワイイ小鳥も、虫から見れば恐竜のようだ!まぁ、鳥は恐竜の一種だけどな!
・デフォルメとはいえ、生物学的な適当さが気になる。アリの足4本かよとか、アリのオスには羽がとか。
・助っ人の中にカマキリいるじゃん。バッタくらいなんとかしろよ。

96.マクロスプラス MOVIE EDITION

マクロスプラス MOVIE EDITION [DVD]

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 ・4話構成のOVAを加筆しつつまとめて1本の映画にしたもの。監督は後にカウボーイ・ビバップも手掛ける渡辺信一郎さん。音楽で参加の菅野よう子さんはこれがアニメ初登板だったそうな。後の活躍は言わずもがな。
マクロスらしいドッグファイト描写はかっちょいいです。本家本元の板野サーカスが最高潮で噴出しております。これがCGじゃないって感動モンだよなぁ。世代として、古き良きアニメの風情で心地いい。
・コンピュータプログラムが人格を獲得して・・・ってくだりは、攻殻機動隊以降の作品としては踏み込みが浅いかなぁ。無人戦闘機の強さとか、せっかく起動したマクロスとか、もっと演出して欲しかった部分もありますがね。


97.バンパイアハンターD

・菊池秀行の伝奇小説のアニメ映画化。川尻善昭監督。「吸血鬼ハンターD」ってタイトルのOVAもあるけど、同原作シリーズを別途アニメ化した別物なので、混同注意。
・アニメ映画ばっかり集中的に漁ってると、そもそも自分ってそんなにアニメ好きだっけ?って思ったりもしたんですが。基本は映画全般好きだしね。でもそんなタイミングでこれを見て、いややっぱアニメ好きだったわ、と思った。元々僕が好きだったアニメってのは、こういうの。ケレン味抜群でアニメらしい映像がステキ。
・原作はシリーズでいっぱいあるんだから、映画もシリーズ化してくれたらよかったのに!

 

98.アーサー・クリスマスの大冒険

・「ウォレスとグルミット」で有名なアードマンスタジオの、ニッツ・パークじゃない人が作った3DCGアニメ。
・欧米アニメは、ドジが頑張る話が好きだな。キャラクター配置は既視感あるけど、安心はしますわな。
・サンタがどうやって1日で世界中にプレゼントを配るのかって、誰しも思うツッコミに、できるのだ!と真正面からのお答え。スパイものみたいな、ファンタジックかつコミカルな冒頭シーンはすごく魅力的です。
・でもサンタクロースの人格がイマイチだって話は、誰が喜ぶんだい?子供向けなのに子供に見せたくない論旨だな。

 

99.クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦

原恵一監督の「オトナ帝国」と並び称されるクレしん映画。泣ける泣けると評判。でも要は、たっぷり感情移入さたキャラを殺して観客泣かせる話。そりゃー悲しくなるけどさぁ、そんなできた仕掛けかい?とか思っちゃう。
・ホント、アタシこの人と趣味合わないんだと思う。いい映画だとは思うんです、ホント。でも冷めて見ちゃう感じ。
・予算の少ないルーチン映画でも爪痕残そうって意気がステキ。投石とか槍の使い方とか、合戦の描写すげー真面目。さすがに血は飛ばんがね。
・タイムスリップの説明放棄、豪快だな。このSFへの愛の無さ。
・刀と間違ったフィットネス器具をビヨンビヨンさすのは、笑った。

 

100.MEMORIES

MEMORIES [DVD]

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AKIRA以来久々の大友克洋監督作品!ってことで期待されての登場でしたが、盛り上がらないカンジに終わった。3話オムニバス映画。
大友克洋って人の大物たる所以は、漫画の表現技巧に革命を起こした所にあって、映画については案外平凡。AKIRAの映画は傑作だけど、それは傑作漫画をそのまま動画に起こしたから傑作ってこと。
・MEMORIESも大友原作の話に凄みはあるんだけど、映画として盛り上がりきらないカンジ。「大砲の街」の映像が技術面で凝ってるのは分かるんですが、アニメの妙所って、そこじゃないんだよねー・・。

 

前後の順位はリンクにて。 


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