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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

うる星やつら2 ビューティフルドリーマー 鑑賞メモ

 押井映画咀嚼シリーズ。時系列で気になるところを列挙。

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [DVD]

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・冒頭。崩壊した世界と、はしゃぐラム。後半場面の倒置で見る者の緊張感を煽る。ここまで含めてループしてるって解釈もできますな。結論は不定
・改めてのオープニング、校舎の時計が壊れている。ノン、時間が壊れてるのサ。
・学園祭の準備に走る生徒たち、コスチュームにゴジラウルトラマン関連が多い。配給が東宝だからね!当時のアニメオタクは特撮オタクを兼ねていたのだ。X星人なんて今どきの子にはわかるまい。
・夜の買出し。静まり返った街の違和感。あたるが文句言うから、とりあえずチンドン屋が出てきた。。
・ちょこちょこいる帽子の女の子は「Talking Head」の貞子と同列のモノ。つまり、映画内世界を客観視するモノ。今回はこの世界のヌシであるところのラムの本体という意味が付いた。出現箇所は以下の通り。
 ①チンドン屋のうしろ、②ボイコット貫徹!、③電車内メガネ横、④風鈴屋うしろ、⑤フランケンあたる、⑥DNAっぽいのの上
・ラム、ずっと今が続いてほしい発言。事態の真相に関わる伏線。うる星って日々のバカ騒ぎを垂れ流す話なわけで、いつまでも進歩しないところが魅力。それを好き好んで見ている視聴者もラムと同じ心理。だがそこで、繰り返される今を打開する…要はいい加減進歩しろ、という作品コンセプトのキモを示している。隠れメタ発言。
トランキライザー精神安定剤の総称。
・ループ対策で生徒全員家に帰した後、さくらさん夢邪鬼と遭遇。夢の維持に邪魔なさくらさんを消しに来たと思われる。さくらさん反撃で勝負は持ち越し。
・なお、温泉はあっさり消された模様。
・なお、チェリーは温泉より先に気付いて、既に始末されてた模様。
・それぞれの帰路。他人が一人もいない電車、バス。人混みでウルサいのが自然なのに。非日常的な違和感。 
・翌朝、結局今日も学園祭前日。
・みんなで登校中、水たまりに映った魚。魚はコミュニケーションの偶像(らしい)。
・しのぶ風鈴まみれ、のち、窓からしのぶを見る人。ファンを悩ます意味深な演出ですが、たぶん大した意味はない。製作者も回収しきれなかった伏線と思われる。窓から見る人は、物語を外部から俯瞰するモノってところで読めば、帽子少女と同じニュアンス??ファンの願望として全てに意味を求めたくはなるが、解釈できるだけの情報が無いので無理に読まないことです。ただ、この映画を一貫する、白昼夢のような空気感の演出としては、サイコーです。
・夜の校舎へ突撃。さくらさん曰く3階建て校舎が4階建てに…。でもよく見ると、階数はシーンのたびに違う。ちなみにTVシリーズでは2回建て。どれが本物??
ハリアー後、学園祭前日ループは脱したが、また意味のわからん毎日が続いている。スーパーの借用書の数から察するに、既に相当日が経っている。
・メガネ独白。廃墟、静止した鳥。押井作品はあっちこっちに鳥がいる。特にこの画はイノセンスのキム邸で再利用。
・みんなで観てる映画は初代ゴジラ。芹沢博士がオキシジェンデストロイヤーもって潜るところ。これも東宝つながりですな。
・ラムと夢邪鬼の対話@水族館。ええ、会話と言えば魚です。
・あたるvs夢邪鬼の夢対決。TV連載第一回の鬼ごっこにも言及していて、この映画がうる星を総括する、最終回としての色を帯びていたことがわかります。
・夢邪鬼曰く、「わての夢は現実と同じなんや。せやからそれは現実なんや。」これは攻殻やアヴァロンに通じるテーマ。楽しい高校生の日々をずっと続けるのは確かに夢だが、そこには何の進歩もない。ここで夢を選ばないのは、進歩のない繰り返しの否定。うる星のコンセプトそのものの否定。それを飽きもせず見続けるオタク共も、もろともに否定している。
・「責任とってね。」曖昧で意味深でステキなキメ台詞。変わらないという夢を諦めるんだから、ちゃんといい方に変わってネ、とのご意見でしょうか。
・ぎりぎりでラムの名を呼んで、会いたいと認めるあたる。
・珍しく真顔のあたる、キス失敗。夢から覚めてちったぁ進歩しかけたか?してない?
・映画の終わりにやっとタイトル「うる星やつら2」
進歩のない夢が終わった。ようやく始まりますよ、といった風情。 うる星のコンセプトまで否定したので、もはやTVシリーズは続けられない。やはりこの映画が実質的な最終回。お金出すえらい人たちは、こんなドル箱シリーズをやめるつもりなんて無かった訳ですが。
・ラストカットの友引高校は2階建て。TVシリーズは2階建てだから、元に戻ったのかも。でも、さくらさんの発言を信じるなら、これもTVシリーズも、全部夢の中ということになってしまう。複数の解釈の余地を匂わせたまま、映画は終わる。今が夢か現実かは、結局、断定できないのだ。

 

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