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読書録13: 「経済政策を売り歩く人々」 ポール・クルーグマン

経済政策を売り歩く人々―エコノミストのセンスとナンセンス (ちくま学芸文庫)

経済政策を売り歩く人々―エコノミストのセンスとナンセンス (ちくま学芸文庫)

戦後のアメリカの経済政策と経済学の移り変わりを例に、代表的な経済学説を紹介する本。前回ご紹介した「クルーグマン教授の経済入門」よりは、だいぶ突っ込んだ内容。
学説それぞれの詳細はさておき。要するに景気変動の原因について、まともな学者の中でコンセンサスが取れてる理論は未だにないって事。やはりというか、意外というか。そんなん、経済学が説くべき一番最初の課題だろ。まだ迷ってんの?!が素直な感想。
そんなことになる理由は、つまるところ、経済学は実験ができないからだ。アイデアの妥当性について定量的な比較ができないのだ。物理屋のワタシからしたらもどかしいねぇ。「現象Aが起こると景気が良くなる」理論があって、実際に現象Aに景気を良くする効果があるとして、どのくらい効くか、が分からないわけ。Aの100倍景気を左右する現象Bがあるかもしれない。そんなわけで、定量評価できない経済学には、正反対の結論を導く理論がたくさんあって、しかもどれも理屈は通ってみえる、なんてことになると。
そんな経済学を輪をかけてメンドくするのが、右だ左だのイデオロギー。みんな欲しい結論が来るように理論を構築するから、経済学は純粋な学問でいるのが難しんだナ。
それでも、いろんな理論が時代に淘汰されてきし、その中で生き残ってきた理論には一面の真理があるのでしょう。まわりまわって結局、ケインズが一番あてになるってトコみたいですね。それともクルーグマン先生がケインズ好きなだけ??
さらに言うと、プロでもそんな世界なんだから、政治家の語る経済学はとりわけむちゃくちゃなんだと。痛烈なタイトルにもあるように。有権者の皆様に聞こえのいいことを言うから。いろんな利権もあるし。定量性の問題どころじゃなくて、そもそも破綻してることが多いんだとか。有権者やるなら、そんなのに引っかからないくらいには、経済を理解しときたいもんですねぇ。