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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

ボクシングの階級と体格について

ボクシングの階級分けについて。

デカければ強いという野蛮な現実に対して、スポーツとしての公正さと、選手の安全性を考慮すれば階級分けは必要なこと。

(ホビホビ側の私からすると、バレーやバスケみたいな身長の有利をわざわざ助長させるスポーツは嫌いだ)

でも、無理して減量して有利な下の階級に行くとか、逆に増量して稼げる上の階級に行くとか、人為的な操作が可能なので、体重だけを基準にする現ルールに課題はあるでしょう。ガリガリで無理して下の階級にいる人は見たくないし(力石)、素晴らしい技術の持ち主が階級を上げすぎて負けるのもまた見たくない。

で、当然ながら今興味があるのは井上尚弥選手です。外野は好き放題言いますが、適正な階級ってなんなのか難しいのでちょっとグラフ作った。

 

横軸に階級のリミットウェイト、縦軸に身長をとった場合のグラフ。点は現在のチャンピオン。2023/7/29時点のwikipediaを参照した。ヘビー級は上限なしなので適当に100kgにした。

当然、相関のあるグラフにはなる。物理的には身長の3乗で体重が増えるはずだが、線形に近いグラフになっている。軽量級では階級を下げて優位に戦う誘因があるので、チャンピオンだけを抜き出したこのグラフではそれが顕著だろうから、そのせいでしょう。身長に対する体重の増加を抑制する要因になる。(重いほどファイトマネーが稼げるので、重量級でこの影響は小さくなる。)

さて肝心の井上尚弥がスーパーバンタムにいることについてですが、このグラフで見ればまだ異常値とは言えない。ひとつ上のフェザー級も十分射程圏内に見える。

大橋会長がラスボスに指名したライト級のジャーボンティ・デービスは、確かに身長では井上尚弥と大差なく、ここまでは可能性があるという目標のひとつといえる。

一方、同じような身長でスーパーウェルター級まで行ったパッキャオはやっぱりおかしい。

カネロもやりすぎ。階級下げて本来の強さを見せてくれたほうが正直嬉しい。

逆にロマチェンコは階級上げすぎと思ってたけど、そこまででもないのかな?

中谷は絞りすぎ。はよビルドアップして井上尚弥を目指してほしい。

 

体格は身長だけで測れないこともあるので、縦軸をリーチでグラフにした場合。

こう見るとまた印象が違う。肩幅、胸板の厚さとかも含めた全体的な体のデカさってこっちに近いと思うので、このほうが適切かもしれない。

井上尚弥は身長のわりにリーチが長い。フルトン相手のデトロイトスタイルも納得ですね。こう見ればむしろ今が適正階級、ビルドアップすればデービスとの対決は嘘ではないかも。

カネロとパッキャオはやっぱりおかしい。

ロマチェンコもやっぱり階級落とすべき。井上尚弥との対決は、デービスよりロマチェンコが見たい。史上最高の技術戦!

中谷は異常値ではなくなってくるナ…

自宅で湿地帯ビオトープ!を作る

自宅の庭に池を作った。最近出たこの本を読んでまんま影響された。

絵を書いてるのは「映像研には手を出すな」の大童澄瞳さんですね。大童さんも庭に池を作ってるらしい。著者の中島淳さんははてなブログにいらっしゃった。

湿地帯ビオトープと蚊について - オイカワ丸の湿地帯中毒 (hatenablog.com)

うちの庭はろくに管理もしてない荒れ放題だが、季節ごとに様相が変わるのは見ていて楽しいし、雑草たちの素朴な花や、やってくるハチをみたりするのが好きだった。園芸種って外来種だし、いわゆるガーデニングは自然観察の喜びとはちがう気がしていて、適当な手の入れ方が見えず庭を持て余してたところにこの本を見つけて、あぁこれだと思った。庭に池があれば来てくれる生き物や植物の種はグッと増える。なんて魅力的なんでしょう。

最大の心配は蚊の大発生だが、上記リンクによれば生態系が成立すれば問題なくなるとのことなので、全面的に信用する。

とはいえこの本、池の作り方については概略くらいしか説明してくれないので、youtubeとか参考にしながら実践した。作り方はいくつかあるが、エコトーンを広く作りたいので遮水シート方式を選んだ。

以下実践のようす。左がビフォー、右がアフター。

左図:ひどい粘土質の庭だが、堀ったあたりは野菜づくり(適当な)をしたことのあるゾーンなので、ほぐして多少肥料を入れている。雑草もやや抜いていた状態。

右図:1m✕2mくらい掘った。深さは最深部で40cmくらい。エコトーンを広くとるため、写真奥手側へは傾斜をなだらかにしている。表層の土壌を剥がしたあとは見事な粘土ゾーンが残った。もう水入れるだけで池になりそうな勢いだが実際にはそうも行くまい。

 

まず毛布を敷いて、その上に遮水シートを被せる。池造りで一番怖いのは遮水シートの漏水である。小石が穴の原因になるといけないので、遮水シートの下地は必要。ブルーシートを使うつもりでホームセンターに買いに行ったら、「養生毛布」と称してこの毛布が売ってた。これ工場のおっちゃんたちが使ってるやつだ!1.5m✕2mで1枚1200円くらい、あぁこれだと思って2枚使った。

遮水シートにはHDPE製、厚み0.3mm、2m✕3mを使用。amazonの検索ワードはプールライナー。実際買った実物を見て、厚み0.3mmは心許なく思われたので、同じものをもひとつ買って2重にした。遮水シートを2重にする方式の課題として、上側のシートが漏水したときにシート間に水が溜まって、ブカブカと膨らんでくるらしい。私はシートの上にたっぷり土を乗せるので、そのようなことにはならないと想定しているが、遮水シートが見える状態で使う予定の方は、分厚めのシート1枚にした方が安全でしょう。

 

遮水シートの余分はトリミングして、掘った土を被せてゆく。なんせ遮水シートの穴あきが怖いので、被せる土にも石がないよう、ふるいにかけて石を排除している。この作業はなんせ厳しくて、いっかい腰がピキっとなって1週間作業を中断した。

右図:中断しているうちに雨が降ってすでに池っぽくなってる図。雨のあと3~4日経っても土が湿っており、土が水を毛細管現象で吸い上げていることが示唆される。ここからわかるのは、

①池が水位よりかなり上まで水を供給し、広範囲の生態系に影響を与えること。

②蒸発に関わる表面積が広くなることで、思ったより速く水が減ること。

②は一日あたり水位が1~2cmくらい下がるペース。あまり減りが速いと池の維持が大変だが、今はふるいに掛かったふわふわの土なので、時が経てば土が詰まるし、かつ植物が土を覆えば日光が遮蔽されて、水の減る速さは抑制されていくものと期待する。(でないと、なんか継続的に水を供給できる仕掛けを考えないといけないので、困る)

土をふるいにかけるのは一通り被せるまでで、あとはスコップでどしどし土を積んでゆく。写真左右の壁面は急峻なため、水を入れると土が崩れてゆく。へこたれずに崩れなくなるまで土を被せるのみ。元より植物に根を張ってもらうにはそこそこの厚み(少なくとも10cmくらい?)で土がないといけないので、なんせどしどしいく。せっかく堀った穴を埋める虚無感や、池を大きく残したい思いとの葛藤で、心苦しい作業である。これがあるので最初に掘る穴は、作るつもりの池のサイズの、一回り、二回り大きくしておかないといけない。

 

これでひとまず完成。泥水は微細な土が舞っているだけなので、待てば沈殿して透明になる。すっきり澄むには約1週間。

ところが。左図は大雨でほぼ満タンの状態、右図はそれから3日後。水減るの速すぎ…製作途中とは段違いに速くて困るんですけど。原因は遮水シートの漏水ではなくて、土を遮水シートの外周まで繋いだことで、土を伝って周辺に染み出てるっぽい。被せた土がスポンジみたいに水を吸いまくってると推定、一度乾かして締固め度を上げる作業をするのが対策として考えられるが、ちょうど梅雨入りしたのでできない。雨滴でもちょっとは締まるかな…

つづく。

渋滞について

高速の渋滞について。ブレーキ踏むと起こるとか、対策に車間を取れとか言われるが、全然納得出来ない。

よく言われる理屈をおさらいすると、ある車が1秒ブレーキを踏むと、その後ろの車は2秒ブレーキを踏み、更にその後ろは3秒…でついには止まってしまうと。だからその対策として、車間距離を広めに取れば、前の車に合わせてブレーキする必要もなくなると。

え…車間距離を開ければ渋滞が減る!?? 高速道路の渋滞は誰が悪いのか - 自動車情報誌「ベストカー」 (bestcarweb.jp)

でも、車間をとったら道路に存在できる車の数が減るから逆効果じゃない?みんな疑問に思ってるよね?この理屈はそこの説明ができてない。

そもそも道路を通行できる台数には物理的な上限があるはずで、それを超えたときに渋滞が起こっていると考えるほうが腑に落ちる。(この場合、運転レベルの対策は存在しない。)

というわけで上限がどのくらいか計算してみる。ある地点を通過する車の台数は、車通りの多い箇所だと2秒に1台くらいだろうか。この場合、0.5台/s = 30台/min = 1800台/hr となる。

このときの車間距離は、速さ100km/hrだとすると秒に換算して28m/sなので、2秒で58mということになる。高速道路で推奨される車間距離は100kmなので、だいぶ狭いが、混んでるときの実際はこんなもんかもしれない。

車のスピードは速くなると必要な車間も比例して伸びるので、道路を通行可能な台数はスピードに依存しない。

これより多く車が流入してきたら、そりゃあ渋滞するだろう。渋滞しないとF1みたいな密着車間で走行することになるし、これで車間をとれと言われても物理的に無理だ。流れが止まる端緒はよく言われるようにブレーキなのかも知れないが、ブレーキの淀みが伝わるほどに車が連なった時点で、渋滞は必発の状況といえる。

渋滞を抜けたらスカッと車間が広まるのは誰もが経験するところで、渋滞は車が増えすぎて詰まった車間を広げるために必要な淀みなのだ。

 

上の計算があってるか、現実に通行してる車の数から確認してみる。

高速道路の月別通行台数(令和3年度) | NEXCO東日本 (e-nexco.co.jp)

このHPによると、交通量の多い高速で200,000台/dayくらいな様子。ここから1時間あたりの台数をフェルミ推定的に予測しよう。

まず上りと下りがあるので2で割って 100,000 台/day

3車線と仮定して3で割って1車線あたり 33,333 台/day・車線

1時間あたりに換算して 33,333/24≒1,389 台/hr・車線

でも夜間と昼間の通行量を同じとして24で割るのはやや強引なので、例えば18で割れば、

50,000/18≒1,852 台/hr・車線

これで見事に、最初に見積もった1800台/hrと合致する。合いすぎてワタシ自身ビックリしてる。

通勤のピークや、行楽シーズンで、1800台/hr・車線の渋滞ボーダーラインを超えて車が多くなった時に渋滞が起こるのだ。この仮説、もう間違いないんじゃなかろーか。

 

だから車間を取るのは渋滞対策にならないかと言うと、そうでもなくて。

自然渋滞発生モデル - MASコミュニティ - 構造計画研究所 (kke.co.jp)

メタ安定という、渋滞が発生しうるけどうまく流れている状態があるそうだ。ある程度以上の台数が高速道路上にいる場合に渋滞は必発だが、渋滞するかしないかの瀬戸際の台数のときに、メタ安定をキープする対策として、車間距離を開ける意味はあるだろう。

 

~2022/4/29追記~

渋滞の基礎知識 | 快適♪渋滞ドライブ | 日産ドライブナビ (nissan.co.jp)

「1時間に交通量が約2000台」「1kmあたり25台の密度」を超えると渋滞が発生!

とのことで、ワタシの論旨に近いところに言及されてました。でもその後は結局、車間を取れって話になってる。25台/km以下を満たすように車間を取れと。イヤ、25台/km以上車がある状況で一部分の密度を下げたら、それ以外が割りを食って密度上がるだけだと思うなぁ。前との車間を取るってことは、後ろとの車間が縮まるってこと。後ろの車もそこから車間を取ろうとしたら、後ろの後ろはもっと縮まる。ブレーキを踏んだら渋滞起こる理論のブレーキと同じ効果にしかならない。

事故防止の観点で車間は取るべきなので、その結果渋滞が起こるのは仕方ないと思いますけどね。こんな疑わしい理屈で車間とれって結論に誘導しても仕方ないと思うなぁ。

BBQのおまけ。炭団づくり

BBQを高頻度でやってると、小さくなった炭の扱いに困ります。燃やそうにも網から落ちちゃうし、捨てるのはなんだかもったいない。と思ってなんとなく貯めてた様子。f:id:tiltowait9:20211010170306j:plain

電気が普及する前の日本では、こたつとかで日常的に炭が使われていて、こういうクズ炭はまとめて塊に整形して再利用してたらしい。今では見ないけど、炭団(タドン)ってやつだ。試しに作ってみましょう。

丸めて固めるにはまだでかすぎるので、まずは砕きます。

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缶の中でトンカチで叩く方式は効率が悪くて時間がかかった。まだ大きめの粒もあるけど、もう疲れた。麻袋みたいなのに詰めてから叩くと、もっと早く細かくできると思う。

小さくなったら、ここに糊を入れて丸めます。糊には昔は米をつかったそう。ちょっとめんどくさいな…。要はでんぷんのりだよね、ということで

こいつを使おうかとも思ったけど、食用じゃない成分があって加熱中に食材に付着する可能性も考えられたので、やっぱりやめた。

ぐぐったところでは片栗粉を水に溶かして加熱する方法もみつかった。デンプンがグルテン化したらなんでもいいと察して、私は天の邪鬼に小麦粉を使ってみた。

小麦粉と水を混ぜてレンジで加熱してグルテン化した様子。

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やはり小麦粉で問題ない。レンジは加熱工程を手軽にするつもりで使ったけど、これはイマイチだった。グルテン化が部分的に進行してダマになる。鍋で混ぜながら徐々に加熱したほうがダマになりにくいし、小麦粉の分量も調節しやすかったと思う。

ではこれを先程の粉砕したクズ炭に混ぜて、こねこね。

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思いの外、糊は分量が必要だった。上の茶碗一杯(水200cc)では全然足りなくて、もう一杯作って足した。合計400ccだけどそれでもまだ足りてなくて、まとまりきってない炭がパラパラと残っている。

あとはこれを乾燥させれば完成。作り方をぐぐっても「乾燥させる」はあまり強調されてないが、これは非常に重要な工程だ。私は乾燥が足りなかったので…

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カビが生えました。テラワロス

スターターで着火する過程で焼き飛ぶので、気にせず使いましたけどね。ちゃんと使えたけど、まとまりが弱くて燃焼中に割れて、あまり火は長持ちしなかった。たぶん、もっと粉々に粉砕して、もっと糊をたくさん使えば、割れにくい丈夫な炭団ができると思う。

本格的なBBQの実践

前回のあらすじ。

肉は低温でじっくり調理すると美味しいよ。BBQって本場ではそういう調理だよ。BBQの本場アメリカで圧倒的シェアを誇るWeber社のグリルをたまたま持ってたから、本格的なBBQをやってみるよ。

小型の簡易版ですけどね。

基本的に、ようつべのカーメン君BBQチャンネルで聞いたことを実践してます。


www.youtube.com

アメリカ人の言うBBQについて要点をまとめますと、こんなかんじ。

・肉は塊肉を使う。日本人が焼肉に使うような薄切り肉ではない。

・肉にラブ(RUB)と呼ばれる塩とかハーブのミックスで下味をつける。

・フタをする。酸素の供給を制限し、弱火にする。

・火元に生木をくべて、ついでに燻す。

・じっくり待つ。

ガチンコだとkg単位の肉を使って10時間以上かけるそうだが、日本ではそんな肉手に入らんし、スーパーでも手に入る500g程度の肉でほどほどにやってきます。上に書いたとおりやればなんとかなりそうな感じですが、実践してみるとこれがなかなか上手く行かないものだった。こういう失敗例こそ人の役に立つと思うので、ご紹介してゆきましょう。

 

第一回。

これはBBQじゃないんですが…このフタを使えばピザも焼けると聞いて、ピザってみました。(ピザストーンはもとより所有)

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従来どおりの焼き肉BBQのつもりで火起こししてやったんですが、これは大失敗でした。フタを閉めたらすぐに火が消えて、一向に加熱できず。使った装備はこちら。

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みきゃんに罪はない。炭にも。着火剤からのうちわで扇ぐクラシックなスタイルでは、炭の一部にしか火がついておらず、フタをする方式に対して火の安定性が足りないと思い知った次第。

 

第二回。

安定した熱源のため、改革を断行。

煙突効果で楽チンな火おこし器を導入。折角なのでWeber純正をチョイスした(なんでもいいと思う)。もっとデカいタイプもあるけど、うちで使ってるスモーキージョーはWeberとしては小型タイプのグリルなので、スターターもコンパクトのタイプで十分。

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炭にはビバホームで買ったオガ炭を使用。以前に適当に買ってキャンプで使って、着火剤+うちわでは火がつかなくて、しまりんみたいに困った逸品だが、スターターがあれば大丈夫。火がつきにくいのは長持ちするということであって、長時間加熱する本格BBQには向いている。

着火剤はひとつぶで5分くらい燃え続けるこれを使えば間違いない。匂いや煙も控えめだし、コストパフォーマンスもとてもいい。Weber純正サマサマ。

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もくもく…

できあがり

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炭火の真上は温度が高すぎるので、炭火は端に寄せておいて、食材は炭を避けて配置する。

肉は手軽に手羽元を使用。燻すということで勢い、ベーコンと味付き卵と6pチーズを混載している。写真は約20分でフタを開けた状態で、火はほぼ消えていた。燻煙を閉じ込めたくて空気穴を上下とも8割がた閉めたのが原因か。

肉は加熱が足りないと病原菌が残るので、味だけでなく安全の意味で、肉の中心の温度は測ったほうがいい。料理用の温度計は色々販売されてて何でもいいけど、忠誠心の元にWeber純正を買った。

今回の肉芯温度は56℃程度だった。50~66℃の最適領域には届いていたのでOKとしたが、生感が残っててもひとつな印象だった。鶏肉はもう少し火を通した方がおいしいようだ。

燻しについては、ほんのり風味が付いてるくらいだった。玉子とか色付いてはいるけど、工夫の余地がありそうだ。燻しにはスモークチップを使用。

30分ほど水につける、アルミホイルで包んで切り目をつけておく、という小細工を加えて燃焼時間の延長を試みたものの、火が消えては仕方がない。燻しの改善については後日まとめて投稿します。

 

第三回。

前回、炭を変えて火の付け方を変えても火力が足りなかった。どうしようと火をいじっていて気づいたことには、スターターで火をつけた炭をコンロに出して積んだあと、5分ほどの間でどんどん火力が上がっているのである。見た目一緒でも火つきの強弱はあり、配置次第で強弱の分布が変わるので、スターターから出した炭が置かれた場所なりの火付き具合に収まるまで待つことが大事なようだ。

待つことを覚えたことで、ようやくフタをしても炭の火が落ちなくなった。しかし火が消えるのを恐れてグリル上下の空気の調節穴を全開にしたため、今度は温度が上がりすぎた。20分ほどで肉芯温度は80℃近くになり、やや固い仕上がりになってしまった。

火の調整は難しい。

 

味付けについてもここで説明しておく。

BBQの下ごしらえは重要だ。RUB(ラブ)と呼ばれる塩とハーブのミックスを下味として肉に刷り込んだ上で、酢とオイルに漬ける。

酢は筋繊維を膨潤させ、柔らかくする。この効果は酸性であればよく、酢のほかに、レモン、酒、ビール、コーラ、etc.で代用が可能。私はポッカレモンを使った。

オイルは保湿の他、熱伝導率を向上させる効果がある。風味づけも兼ねてオリーブオイルを使う人が多そう。

この状態で浸け置いて30分以上置いてからBBQする。もっと大きな肉なら数時間、あるいは前日夜に仕込んでおくくらいの気合が必要だ。

RUBはアメリカ人は自作するが、初心者なのでまずはと、日本バーベキュー協会が出しているRUBを購入した。

UMAMI BARBECUE RUB

UMAMI BARBECUE RUB

  • BBQ FOUNDATION
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赤いのはパプリカの色で、辛くはない。そのままだと、辛くないカラムーチョみたいな味…焼き上がると、不思議とカラムーチョ感はなく、いい感じな下味になる。

同じく日本バーベキュー協会謹製のバーベキューソースもある。こちらも併せて購入。

ざっくり、マクドナルドのナゲットについてくるソースの味。上はバーベキューソース、下はマスタードソース。つまりマクドのあれはどっちも、アメリカのBBQソースの味だったってこと。これを焼き上がり直前に肉に塗って、軽く温めてから食べるのが正式。

RUBたっぷりのスペアリブが焼き上がって、BBQソース(Smoky Sweet)をぬってる様子。

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お味の方は…ソースの味が濃すぎてRUBとか燻しとか関係なくなっちゃうような希ガス。子供には大人気でしたがね。やっぱり事前に塗って出すのではなくて、あと付けソースとして出すのがいいとオモ。

 

第四回以降。

度重なる温度の調整ミスを経て、火力のコントロールが勝負のキモなのにグリル内の温度がわからないのが悪いんだい!ということで、グリルに温度計をつけた。

フタにキリで穴を開けて、ドライバーとかでぐりぐりして穴を大きくしてネジ付けた。

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目論見通り、見た目はバッチリ馴染んだ。元からついてたくらいの馴染みぶりだ。蓋に穴あけないといけないので、だいぶ思い切りがいったけど。最近の型だと、元から温度計は付いてるみたい。キーー!

これさえあれば、温度を見ながら通気穴を調整できる。弱火でコントロールする調理なのに、丁度いい弱火なのか、火が消えきっちゃってるのかが、見た目でわかりにくいことが致命的に問題なのである。温度さえ可視化できれば、見よ。

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これは道の駅でゲットした猪のハツ。絶妙な火加減である。

炭をスターターに8〜9割くらい入れて着火して、コンロに並べた後5分ほど置いてから蓋を閉める。蓋閉めてすぐは200℃近くまで昇温するので、また5分くらい待って火が収まってから食材を乗せる。空気穴は上下半開でで150℃をキープできるイメージ。蓋を開閉すると温度が下がって戻らなくなるので、極力控える。上の猪ハツは200gくらいで、150℃で30分くらい。

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こちらは532gのやっすい豚肩ロース。150℃で始めて90分放置。120℃くらいまでジワジワ温度下がった。20分毎くらいで肉芯温度を確認して60℃で仕上がりとした。サシの入った高級な牛肉でなければ、60℃以下のレアっぽいのは美味しくないと思う。今回は火の入り具合が均一で納得の仕上がり。

炭はオガ炭でなく岩手切炭を使ったが問題なかったので、このくらいの調理時間なら炭は選ばなくてもいいっぽい。

さぁこれでもうだいたいなんでも調理できる。年末になったら、ローストビーフとかローストチキンとか、この方式で豪華にやってやろうと思う。

肉の調理に関する科学、およびBBQ

料理は科学実験だ。特に肉。肉が好きな理系人間は肉料理をすると人生が豊かになるよ。

とっても素敵でお勧めの本です。ここから肉に関する要点を抜粋しましょう。

肉の加熱とは、たんぱく質を熱変性させることである。熱変性すると、立体構造内に包み込んでいた水分が保持できなくなる。肉の主成分は「ミオシン」と「アクチン」の2つで、熱変性する温度は両者異なり、ミオシンは50℃以上、アクチンは66℃以上だ。加熱前の生肉の感触はブヨブヨと噛み切りにくいが、加熱してミオシンが変性すると、歯切れのいい食感になる。更に温度を上げてアクチンまで変性すると、水分を失いすぎて固くパサついた食感になる。よって、肉の最適な調理温度は50~66℃である。意外と低いでしょう。

もうひとつミオグロビンというたんぱく質があって、熱変性は60℃。ヘモグロビンと似た名前から察せられる通り肉の赤さの素になっていて、これが熱変性すると赤さを失い、灰色になる。だから、変色するかしないかぐらいが美味しいという経験的な基準は実に正しい。

どうですか、理系ゴコロをくすぐる話じゃないですか。

それではと実践してゆきたいところですね。しゃぶしゃぶとかの薄い肉なら簡単で、色が変わったら引き上げればいいのです。でもある程度大きさのある肉だと、これはなかなかの難題です。調理では外から熱を加えるしかなく、肉の外と中で温度勾配ができるわけで、たった16℃の狭い適正温度範囲に肉全域を収めないといけないワケですから。大きな塊肉の場合は特にそう。ローストビーフとか、叉焼とかね。この課題を確実にクリアするには、オーブンを150℃以下の低めに設定して待つのが伝統的なやり方。近年ではもっと完璧に所望の温度に仕上げるテクニックとして、湯煎する方法が登場した。60℃にキープしたお湯に漬けてずーっと待ってれば、当然肉全体が60℃になる。巷で話題の低温調理器というやつ。

でもこれ、高いよね。(最近はアイリスオーヤマとかも出してて、だいぶ安く手に入るようになってきたのを、この記事を書いてて知った…けどね!)いかにも大げさだし、今まで手を出さずにきたんだけど、これとは全然別の低温調理系のガジェットを、もう持ってたことに最近気がついた。

それがこちら。

BBQ用のグリルである。日本人はBBQというと屋外で焼き肉をするものだと思ってるけど、本場アメリカ人が言うBBQとは、塊肉を弱火でじっくり長時間加熱する調理なんだそうだ。私は見た目だけでこれを選んでいて、フツーに焼き肉に使っていたのでしたが、Youtubeで正式な使い方を知りました。カーメン君ありがとう。フタ、飾りじゃなかったんだねー


www.youtube.com

 

そんなわけでBBQグリルによる低温調理にチャレンジしました。その様子は、また記事にしていこうと思います。

読書録21 神道と古代日本の勉強本いろいろ

 古代日本は文字がなかったせいで謎だらけ。断片的な中国の記録くらいしか確実な情報がない中、古事記日本書紀などなど神話の中にもいくばくの現実が反映されているだろうと研究されているものの、そんな曖昧な論拠では推論を事実と断定するのは難しい。まぁ、わからないからこそ想像するのが面白いというものでして、古代に思いを馳せるのはロマンなのだ。
旅行で宇佐神宮に行った余波で気分が盛り上がって、関連図書を一気読みしてみたので記録する。願わくは、一つだけ読んでそれが真相に違いないなどと感化されませんように・・・

 

逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎 (小学館文庫)

 

●論点ピックアップ

・邪馬台は中国語ならヤマトと読める。大和朝廷の源流に違いない!

卑弥呼は日巫女。皆既日食で民衆の信用を失って殺され、別の巫女トヨ(台与)にすげ替えられた。天の岩戸神話はこの話。

・国譲りは大和朝廷の征服を、「話し合いで譲ってもらった」ことにした話。オオクニヌシは無残に殺されたので、祟りを恐れて立派な出雲大社に祀られた。出雲大社内のオオクニヌシが拝殿の方を向いてなかったり、拝礼の所作が「二礼四拍手一礼」なのも、崇拝より封印が目的の社だから(四=死の類推)。

宇佐神宮も二礼四拍手一礼。実は二の殿の比売大神というのは卑弥呼(=アマテラス)で、これも殺しちゃったから祟りを恐れて、立派な社に祀っているのだァーッ!応神天皇神功皇后の強力コンビで封印しているに違いない!

 

●感想

・日本古代史関連では初めて読んだ本。断片的な情報をうまくつなげてストーリーを仕上げるのは、推理小説のような面白さがある。ド素人の私に興味を持たせてくれたキッカケではあるが、多少知識のついたあとで読み返すと、素人が好き勝手ブチ上げてるだけなのがわかって恥ずかしい。

・素人でも指摘できる齟齬がある。例えば宇佐神宮のくだり、応神天皇が八幡さんと習合されたのは後世の話なので、この論はおかしい。また、序盤では卑弥呼は民衆に殺されたって言ってたのに、途中からオオクニヌシ同様に征服で殺されたって話になってるし。

・ちゃんと言えばアラはいくらでもある。読みやすく印象的で、人に興味をもたせるという側面ですごく価値があるのは認めるものの、これだけ読んでへーと言って終わってしまう人も多いだろうし、価値の総計はほんとにプラスになってるのかなぁ、心配だ。

 

  ●論点ピックアップ

・アマテラスといえば皇祖神であり神道最高神。でも天皇家が伊勢に参拝するようになったのは明治以降のことだ。古くは宮内に祀られてたのが災いなすので移されて、巡り巡って伊勢に行った。元々は武神でもあり、恐れられ遠ざけられたのだろう。ちなみに本地垂迹説では=大日菩薩さま。

八幡神は元々渡来人の神で、だから総本山は北九州の宇佐にある。後に応神天皇と習合して第二の皇祖神になり、京都石清水に勧進されると怖いアマテラスに代わって天皇家御用達の存在になった。八幡大菩薩なんつって仏教の神様にもなったし、ポピュラー度は最強。

・これらに次いで重視されたのが春日大社で、これは最強の貴族・藤原氏氏神さま。当時の権力構造が反映されている。

 ・国津神最高神オオクニヌシは別名がたくさんあるが、それっていろんな神話の集合体なのかも。また出雲大社の祭祀を担う出雲国造は、かつての豪族でありアマテラス直系の子孫ともされる生き神様でもある。これがオオクニヌシを祀っているのは変であり、謎。国造ご本人が祭祀の対象っぽいが??

 ・菅原道真公は祟りを恐れて祀られたのに、天神(=雷神)と習合して人気が出た。徳川家康公あたりから祟りと無関係に偉人を祀るようになったけど、こういうのは参る人も墓参り程度にしか思ってないので、他の神様とは趣が違う。ガチの神様は畏れを伴うのだ。

 

●感想

 知名度の面で主だった神道の神様&神社を紹介する本で、平安以降の日本人が神様とどう付き合ってきたか、という話がメイン。著者の個人的見解は控えめに、主だった神様の話題をさらってくれてるので、神道に関する入門には丁度よかった。昔の神仏習合ってすごく浸透してたらしくて、これは現代人にはない感覚なので新鮮。逆にいえば政府主導の神仏分離が見事に機能したって意味でもあって、それはまた凄いなって別のところで感心してしまったり。

 

大和朝廷 (講談社学術文庫)

大和朝廷 (講談社学術文庫)

 

 ●論点ピックアップ

・ヤマトの名の勃りとは。ヤマトという地名はたくさんあるが、かつて「ト」の発音には2種類あって、ヤマトのトと合致するのは畿内。九州付近は別のトなので畿内起源説が有力。

 ・三世記は魏志倭人伝邪馬台国の記録がある。その位置も書いてるが、素直に読むと九州通り越して南の海にたどり着く。読み方か書き方かが間違ってるぽくて、いろんな解釈で九州説とか畿内説とかが出たけど、この記録から断定するのは無理。

・四世紀は文字記録がない謎の世紀だが、畿内から古墳文化の発展が見られ、王朝成立の気配。記紀でいえば崇神天皇ヤマトタケルのころ。霊山・三輪山の祭祀権を獲得したこと(=オオタタネコ)によって三輪王権と呼ぶ。昔は祭祀権=政治だった。ちなみに三輪山周辺は山の合間で、語源としてヤマト感がある。崇神朝を北方系の騎馬民族による征服王朝とする説があり、示唆に富むが証拠不十分。

・五世紀、応神~の時代。応神前の系譜には政治的潤色の感が激しくて(神功皇后ヤマトタケル)、諡号の系列にも~イリヒコ→~タラシヒコと隔離があり、系譜の断続が懸念される。中心地も河内に移ってるし、別系統の王朝と思われる。よって以降を河内王朝と区別して呼ぶ。

 

●感想

上2つで紹介したのよりだいぶ学問として本格的に、古代日本史を考察するための主だった知識と論点をさらってくれる本。名のある学者さんが平易な文章で書いてくれたもので、私のイチオシです。拠り所になる文献の信頼性についても逐次議論してくれて実に理性的、これぞ見習うべき学問の姿勢です。あやしげな自説を他人に納得させるための本を書くような輩には、この本のシミでも煎じて呑ませてやりたい。それでも、この著者さんが個人的に支持する論というのはあって、それを事実と共通認識にすべきでもないので、注意は必要。考古学では客観性を担保するのが難しいのだ。(ちなみに著者さんの立場は、邪馬台国大和朝廷の前身で、その勃りは畿内であり、崇神・応神・継体の三王朝が交代したとする説をとっています)

 

日本の神々 (講談社学術文庫)

日本の神々 (講談社学術文庫)

 

  ●論点ピックアップ

イザナギイザナミは、原初は海の神だった。一方で記紀の神話はイザナギを天空、イザナミを大地の神として、天地の結婚による世界創造を意味しているようでもある。いずれが先行したか不明だが、後世では両者の要素は並存している。

・この二柱は元々淡路島周辺の海洋民の祀るローカルな神だったが、後にアマテラスの親神&世界の創造神にまで格上げされた。伝承の舞台が出雲やら日向やら広くなったのは後付け。

スサノオは、高天原にいるうちは聖地を冒涜する巨魔の役割だが、追放されてからは普通の人間的英雄に豹変する。元々別の話をツギハギして、天津神系と国津神系の橋渡しさせてるのかも。出生譚からして太陽と月の兄弟として出てくるのは不自然で、元々はいなかったのに割り込ませた感がある。というか、失敗作のヒルコの話がスサノオとすり替わっていると読むと、書紀の記載は非常にシンプルになる。

スサノオとアマテラスのウケヒで生まれた子は、天皇家の祖先アメノオシホミミの他にもたくさんいるが、どれも出雲やら宗像やら各地の有力豪族の祖先。みんな同じ系譜ってことにしよう、という政治的思惑が明確。

・皇祖神は実は元々タカミムスビだったが、7世紀頃に伊勢あたりで信仰されているアマテラスが割り込んできた。子でなく孫が降臨するのも、2つの降臨神話を無理につないだせいでは。

・天岩戸は冬至に弱った太陽が生まれ変わる儀式・鎮魂祭の説話化。続けて催される大嘗祭は、復活した太陽が降臨する天孫降臨の説話化。

記紀とは、既に存在していた多数の神話を、政治的思惑をもって高度なコントロールのもとに編纂したもの。この時既に、原始的な口伝の神話とは性質が異なるものに変貌している。

 

●感想

プロがプロ向けに書いた本で、私のごとき素人が読み切るには少々ホネだった。統一見解と個人的見解の区別はわかるように書いてくれてるが、参照する文献は国内外に渡りあまりに広範で、真偽を疑いながら読み進めるのは無理。膨大な情報の前にただうなずくのみ。

神話の原像に迫ろうというテーマは実にスリリングで、細部を読み飛ばしてでもその論旨を追う価値がある。もっと知識がついたら、もう一度読み返そうと思う。

 

アマテラスの誕生 (講談社学術文庫)

アマテラスの誕生 (講談社学術文庫)

 

   ●論点ピックアップ

・昔は神社に社はなかった。神様は天にいて、社に常駐するとされてなかったので。神様が地上に天降る手順もきまっていて、それは次の通り。この認識が、当時の文化風習を理解する上でとても重要。
 1.神様は船や岩に乗って山に降りてくる
 2.それから人が用意していた木(みあれ木)に憑依する
 3.人が川べりまで木を持っていくと、神様が川にもぐる
 4.巫女(棚機つ女)が神様をすくい上げる

・原始的な太陽信仰は各地にあった。「天照」の字でアマテルとよばれる男性神もちょいちょいいた。紀伊の太陽神信仰がある時期に官製の女性神アマテラスにすり替えられ、各地の信仰もアマテラスに統一されていった。

・時を追うと、巫女はよく神様と混同される。アマテラスが女性なのは、元々天皇家の信仰してた高木神の巫女だったから。よく2人セットで登場するのもそのせい。

・アマテラスが成立したのは壬申の乱の後。天武・持統の治世が胎動の時代で、持統天皇が退位した後が誕生の瞬間。神話の天孫降臨で、子でなく孫が天降るのは、持統天皇が孫(文武天皇)に王位を譲った経緯が反映されている。

 

●感想

自説を力説するタイプの本なので、批判的な視点がないのは注意ですが。古事記成立前の信仰形態って現代とは全然違っていて、そこを推測しつつアマテラス成立の謎を追う過程はなかなかに刺激的だった。アマテラスが作為的に作られたって説がそもそもホォーってカンジ。
特に最終章で描かれる、アマテラスの黒幕:持統天皇の心情なんかは、ちょっと学問じゃないんだけど愛情たっぷりな筆致で、ステキでした。