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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

風立ちぬ雑感

 

風立ちぬ [DVD]

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こないだTV初放送された風立ちぬでひとこと。高原の休暇で、ヨメとにわか雨に降られるシーン、これ気象的にすごく正確なのだ。

・夏の高地は急激な上昇気流が起きやすく、積乱雲を形成することが多い。
・積乱雲の下は強い雨と風。カミナリを伴う。
・積乱雲は局所的なので、雲の下から抜ければ急に晴れる。
・積乱雲の周辺など、太陽を背に雨を見る時は、虹を見るチャンス。

風は作品に関わるモチーフなので総じて描写が丁寧だが、虹を見るまでの経緯にこれほど整合性を持たせているとは。

このじいさんがため込んでる知識は膨大だ。知識に裏打ちされた描写は、隅々まで意図を秘めている。きっと現実と違う事を描くときは、演出効果の計算があって自覚的にそうするのだろう。

このじいさんの描く世界に、テキトーで済まされたものはない。

読書録18:「太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで」 イアン・トール

 

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 上

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 上

 
 
太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 下

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 下

 

アメリカ人の書いた、太平洋戦争の序盤戦の戦史。太平洋戦争についてテレビで語られることって、「怖いものだった」「二度とやってはいけない」の切り口ばっかり。それはそれで凄く大事なんだけど、実際のところがどんなだったのかは、積極的に知ろうとしないと良くわからない。日本が勝っていた序盤は特にそう。著者がアメリカ人なのも、中立の視点を探しやすくてイイ。

上巻は勝ってた時代の話。何度も言うが、最初は勝ってたのだ。マジで。勝てた要因は、平和に暮らしてたアメリカとずっと戦争してた日本の組織効率の違いであり、航空機爆撃の有効性を見出した山本五十六の戦略眼であり、ゼロ戦の驚異的な航続距離と戦闘能力であり、、、などなど。アメリカ側から見れば、それは確かに脅威と呼ぶべきものだった模様。

下巻は、勝ってた日本軍がミッドウェイ海戦でボロ負けするまでの話。ミッドウェイは負けるべくして負けたとよく言うが。この本読むと、案外日本の勝ち目もあったみたい。引き分けくらいにはできたというか。いろんな局面の勝率4割くらいのカケで、片っ端からハズレを引いたって感じ。アメリカ側の準備がイチイチ日本を上回ってはいたけど。よくもまぁ全部負けを引いたもんだ。勝負事は微妙なことで大きな差がついてしまうものであるなぁ。

なおこの本の範囲を越えるが、ミッドウェイ以降は国力の地力が出て、アメリカンな桁違いの物量の前に手も足も出なかったそうな。山本五十六が当初示唆した、「勝てるのは最初だけだから勝ってる内にとっとと講和交渉する」戦略は完璧に的を射ていたわけですな。勝ってる時に引き際を判断する難しさよ。

読書録17: 「勝つために戦え!監督編」「勝つために戦え!監督ゼッキョー編」 押井守

 

勝つために戦え!〈監督篇〉

勝つために戦え!〈監督篇〉

 
勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉

勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉

 

 押井守監督が勝敗論を語るシリーズ。1作目はサッカーとかを例にしてたんで興味の外でしたが、映画監督を例にした2作目「監督編」で俄然興味深い話をしてくれました。3作目「ゼッキョー編」は勝敗論はもう置いといて、押井がいろんな映画監督に好き放題言う本。論点ぼやけてるけど、押井が映画を語る語り口に納得できたらとりあえず楽しい。

押井の勝敗論のキモは、自分にとっての勝利条件を明確化すること。どんな職業であれ最終目標は「本人が幸せになる事」だ。まずこれが目標だと定められている人がどのくらいいるだろうか?このシンプルな答えにたどり着くのは案外と難しい。また、どうすれば自分が幸せになれるのか?その答えは個々人で千差万別だが、その条件を各々自覚して、正しくそれを目指さなければ、いくら努力しようが幸せにはなれない。目前の努力を嫌って職を失う人も、自分に精進を課し過ぎて自滅する人も、ゴールを見誤っている。以前から漠然と思ってはいたけど、押井師匠が上手く説明してくれました。

例えば、巨匠キューブリックは映画史に残る名作を多数こしらえたが、商業性に問題があって晩年は全然映画を撮らせてもらえなかった。コッポラも同じく巨匠の呼び声高いが、借金まみれだった。どうやら、巨匠になること=幸せになる事ではないらしい。偉大だろうが本人が幸せになんなきゃ仕方ない。
映画はあくまで商業活動であって、お金出す人にしたら利益を生まない映画に存在価値はないが、監督にしたら撮りたいものを撮れないなら監督やる価値がない。大衆迎合に徹しても、そんな底の浅い仕事は長続きしない。個人的に撮りたい事が作家性と認識してもらえれば、普通は商業性を削ぐようなことでも固定ファン獲得に繋がって、逆に安定的に監督業を続けられるかも。さりとて、過去作に依ったファンが増える程に期待されるものが固定化されて新しいことができなくなって、過去作と違うスタイルの”今”撮りたい映画は撮れなくなる。なんともめんどくせぇが、全ての映画監督に求められるこの、商業性と芸術性の両立という問題、この勝利条件を押井流にまとめるならば、

「やりたいことしつつも次回作をつくる権利を留保し続けること」

プロデューサーから大衆迎合的な要求をされつつ、予算的限界もありつつ、自分の撮りたいものを撮りつつ、採算の取れる映画にする。映画に対して映画監督という立場のできること、できないこと、できなそうで、やりようでなんとかなること。仕事のできる人とできない人の区別に還元すればどんな職業にも当てはまる教訓的内容で、なかなか耳が痛いです。

ただこの論でいうと、監督業さえ続けられれば傑作と評される作品を作ることに全く興味がないようで、さらに言えば採算さえ取れれば駄作と呼ばれようが何の痛痒も感じないらしく、ファンでいたい自分の思いとはかけ離れた所へ行ってしまっているなぁと思わなくもない。「立食師」や「アサルトガールズ」程度で遊んでるのは正直やめてほしい。。。駄作感が続くとファンが減って商売できんくなるので、定期的にガチ作品も作ると期待するしかないですがねぇ。

それはそうと、作り手がどんな思いで映画を撮ってるかが分かって視野が広がるので、映画好きやってるなら読んでおくべきかと。例えば「エイリアン」では、宇宙船の床をグレーチングにしたのが凄かったんだそうな。確かにぼんやり覚えてるし、それが空間の印象づくりの決め手だったってのは言われてみりゃわかるけど、言われんとその工夫は意識するのむりっす。

アニメ映画リスト 101~150

これでワタシの知識は出し切り。この辺はちょっと愚痴がおおいかな?市場調査しながら見る映画を選定してますし、見る気も起きなかった映画も無数にあるわけで、必ずしも価値が低いなんてことは無いのですよ。

 

101機動戦士ガンダムF91

機動戦士ガンダムF91 [Blu-ray]

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 ・富野御大が監督した逆シャア以来の劇場版。TVシリーズ用のアイデアを映画にしたので、総集編映画的な駆け足感が見え隠れ。
・最近、子供と大人の対立って構造に思うところがなくなってきた。俺も大人になっちまったい。
・巨大な薬莢に当たって死ぬとは、いい描写ですなぁ。
・超人による専制政治は、短期的に良い場合はあっても、時間経過と共に必ず腐敗する。悪政への防御機構が無さ過ぎるので良くない。あと、現実には超人が存在しないという点が決定的にまずい。

102カラフル

カラフル [DVD]

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クレしん映画で有名になった原恵一監督作品。
・この人はなんか、感動的なモノに憧れ持ちすぎ。泣かせるストーリーを語ることを映画の目的に据えるのは、僕の好みとちゃう。
・とはいえ大事なことを言ってる。若い世代に向ける言葉として、すごく価値があると思う。安易なことは何も言ってない。実に思慮深い
・勉強は、もっとせんとアカンけどな。
・プラプラ様は大根すぎ。
・いのちをだいじに!(意味深)

103.シュレック

シュレック [DVD]

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 ・打倒ディズニーを標榜するドリームワークスの3DCGアニメ。
・アメリカ人もディズニーのオメデタイ感じには突っ込みいれたかったんだなぁ、と思った。成分の8割は皮肉。でも、アンチディズニーを掲げる限り、ディズニー無しで生きられないということですよ。
・よくできてるとは思うけど、あんまり好きではない。本人が「オレ毒舌だから」って言いだしたら冷めるような、そんな感じ?そうだね君は毒舌だね。
・いろんなパロディしてたみたいだけど、アメリカ人じゃないと良く分からん。日本人は楽しみにくい。

 

104.鋼の錬金術師 シャンバラを征く者

劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (通常版) [DVD]

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 ・TVシリーズの最終回を豪華にやったって位置づけなので、単品の映画としては語れないモノ。しかもTVシリーズ未見でチャレンジしちゃったんで、あんまわかんなかったんです・・・ゴメン。原作は読んでるから行けると思ったんだよぅ。
・ファンタジーの住人を現実に連れてくるメタ展開は挑戦的。ラストアクションヒーローだね。
フリッツ・ラングなんて、今どきのコわかる?(確かにブラッドレイに似てる・・・)

 

105.カンフーパンダ

カンフー・パンダ スペシャル・エディション [DVD]

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 ・ドリームワークスの3DCGアニメ。かわいくないデブパンダがカンフーする。
・アメリカ人はアニメでバトルするのにここまでエクスキューズがいるのか。血ィのひとつも飛ばしてみせんかい。
・アクションの動画自体は、すげー。カメラの動きっぷりもCGアニメならではで見応えアリ。手書きアニメーションでは実質不可能。
・あまりに現実味のないカメラアクションは押井師匠に怒られそうですが、これに起因するリアリティの無さは、暴力から生々しさを排除したい向きにはむしろ合致しているのかも。
・どれほど天性があろうが、武道ってのはそんな短期間必死になったところで習得できるもんじゃないんですよ。納得のいくストーリーじゃあない。結局ハート様最強とは。朝飯前にゴボウ抜きされた兄弟子たちの思いや如何ばかりか。

 

106.劇場版 機動戦艦ナデシコ The prince of Darkness

劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness- [DVD]
 

 ・TVシリーズ以降を描いた同窓会映画。戦争が終わった後、ハッピーな体制が構築されてる絵を見せるのは嬉しくもあり、そりゃ作品コンセプトとちゃうやろ、とも思ったり。元の連載シリーズ分が好きなんで、楽しく観ちゃったんですけどね。
・事件の立ち上がりからナデシコメンバー再招集まではワクワクするけど、メンバー揃った途端一気に尻すぼみ。もうちょいストーリー的な山場作れんかったかねぇ。序盤が良かっただけに残念。
仲間由紀恵黒歴史。「アキトの…アキトの…」
・ともかくも、成長したルリルリはかわいい。

107.うる星やつら 完結編

うる星やつら 完結篇 【劇場版】 [DVD]

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 ・うる星やつら劇場5作目、監督は出崎の統さんじゃなくて哲さん。原作漫画の最終エピソードを素直に映画化したもの。
・もういちど鬼ごっこしながら二人の関係を総括する内容で、シリーズのファンには感慨深いものがあります。映画としては、監督の野心が全然見えなくてチョット物足りないですが。原作がいい話だから押井みたいなことせずにママ映像化してくれ、というファンの要望に応えての企画なので、これはこれで問題ないわけですな。

 

108.ランゴ

ランゴ おしゃべりカメレオンの不思議な冒険 [Blu-ray]

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 ・パイレーツ・オブ・カリビアンの監督ゴア・ヴァービンスキーさんが監督した3DCGアニメ。主人公の声もジョニデ。
・いろんなパロディやってるので、わかる人はムフフと思いましょう。マカロニウエスタンは知識浅いんで、アタシにはもひとつでした。
・西部の精霊、イーストウッド過ぎ。

 

109.サカサマのパテマ

サカサマのパテマ 通常版 [DVD]
 

 ・「イブの時間」でやんわり評判の吉浦康裕監督。
・魅力的な設定で興味をひきます。抱き合わないと行動できないイカシた状況で、モエたりしながら見てたらなかなかの良作なんじゃないすかね。僕はそこでキュンキュンする心を失いつつありますが・・・
・広げた風呂敷は畳むのが大変。そこが腕の見せ所だが、イブの時間は畳まなかった。そして今度は元々畳めるサイズにしか広げなかった。大きな風呂敷を畳む技を身につけんと、傑作にはたどり着けんよ。と、観るだけの素人の意見。悪役のおっさんがもう少し魅力的だったり、組織的だったりしたらもっと盛り上がっただろーと思います。映画を仕上げるのって難しいんだなぁ。

 

110.天使のたまご

天使のたまご [DVD]

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 ・押井守監督が趣味だけで作ったわけのわからん映画。
・さっぱりですね。さっぱりでした。
・押井師匠にとって映画の目的は、ストーリーの叙述ではなく、世界観の描写。なので、思い切ってストーリー無しでやってみました(はあと)ってことらしい。映画の形式自体へのチャレンジなので、このストーリーから何を述べたかったのか?という方向で読み解こうとしても、そこに答えはありません。
・道具として使うとラリホーマの効果。

 

111.白雪姫

白雪姫 スペシャル・エディション [DVD]

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 ・約80年前のディズニー映画第一弾、長編アニメーションの夜明け。
・古典にちゃんと目を通してるって満足感のために見ましょう。アニオタの教養ってヤツよ。
・ここで目指したのは「動く絵本」であって、映画ではなかったと思われる。ので、ストーリーのダイナミズムとか、人物描写の掘り下げ方とか、今どきのんとは比べてはいけませんね。今の感覚で見れば、ぶっちゃけドヘタクソです。
・ちっさいおっさん達は手ェ洗うだけに時間掛け過ぎ。
・動画は、現代の水準で見てもハイクオリティ。フルアニメーションも良し悪しだけど、そりゃ凄みはありますよね。

 

112.ファンタジア

 ・すごいです。アニメーションを芸術にしようという志の高さに感服。
・ただし、これは映画ではなくてミュージックビデオ。これは大きな違いであって、同列には語りにくいのです。
・感動したい気分の一方で、ちょっと退屈してる自分がいました。と言うかいっぺん寝ました。

 

113.ピノキオ

ピノキオ スペシャル・エディション [DVD]

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 ・とみに有名な「星に願いを」は、バッタが歌ってたんですねぇ。
・クジラのシーン、波まで全部動かしてやがる。背景動画どころが全部動画ですな。量産型の日本産では滅多にお目にかかれない力技。
・嘘ついたら鼻が伸びるくだりは意外とあっさりなのね。もっと全編通して伸び続けるんだと思ってたわ。有名すぎて逆にちゃんと見てなかった映画の好例。
・終盤、じいさんとピノキオの絆が美しいようですが、ピノキオ人形が完成したその深夜に動くようになって、翌朝学校行けと送り出されて、次の再会はクジラの中ですからね。時を重ねた絆って全くないんですよ。この時代のアニメは、そういう整合性全然気にしてなかったんだなぁ。

 

114.ルパン三世 ルパンVS複製人間

ルパン三世 ルパン vs 複製人間 [DVD]

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 ・ルパン劇場版第1作。
・ルパンのイメージって、多分人によって全然違う。原作漫画を想起する人は少数派だろうとしても、TVアニメの中でも1st、2nd、3rd、その後のTVスペシャルとシリーズごとに全然違う。僕の好きなルパンは1stか2ndのTVシリーズ。基本ルパンは好きだけど、かつての面影もない今時のルパン映画は興味ない。カリ城は名作と言えど宮崎映画すぎるし、僕の思うルパンでやってくれた映画ってのは、結局これだけ。

 

115.アイアンジャイアント

アイアン・ジャイアント 特別版 [DVD]

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 ・ぽっと出のアメリカ製アニメ。監督さんは後に「Mr.インクレディブル」の監督する人。
・異形と触れ合う。異形が迫害される。テンプレート通りの話で、テンプレートの通りに面白いが、正直ピンと来なかった。
・と思ったら世間じゃ感動作扱いらしいぞ。意外。アタシ全然感情移入できなかったんですけどー。あれー
・ぶっちゃけ、アメリカンな絵柄が嫌い。多分それだけ。

 

116.雲のむこう、約束の場所

 ・新海誠の3作目、長編としては1作目。
・この人、中学生くらいの妄想全開だナー。お年頃のときに見れれば良かったろうけど。
・一応SFだけど、あんまり活きてないカンジ。以降の新海作品ではSFしなくなったけど、むべなるかな。
・背景が、一枚絵としてすごくキレイです。

 

117.劇場版トライガン Badlands Rumble

 ・SF風西部劇。地味に人気だった漫画原作のTV連載アニメが、時を隔てて急に劇場版ひり出しました。TVシリーズ中盤あたりのオールスター揃ってた時代の新エピソード。
・「TVアニメの長い版」を超えない内容ではありますが、えらく楽しく観れました。単に僕がトライガン好きだからでしょうが。嘘くさいガンアクションとか、無茶な平和主義の是非とか、すげえ好き。特にウルフウッドが好き。
・カウボーイ・ビバップもそうだったけど、連載シリーズで根本的な決着が着き切ってると、劇場版では同窓会以外やる事がないんですよね。ファンサービスってくらいで考えて、期待し過ぎずに同窓会を楽しみましょうか。
・ヴァッシュ復活のくだりは、さすがにご都合すぎるやろ、と思いましたが。

 

118.9 9番目の奇妙な人形

9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~ コレクターズ・エディション [DVD]

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 ・売り文句にティム・バートンの名前があって人形の話なんでストップモーションアニメ?と思ったら普通にCGアニメでした。しかもバートンはほとんど関わって無いそうな。退廃的でファンタジックなビジュアルイメージは確かにバートンぽい。キャラ造形もいい。
・でも、ビジュアル面以外はあんまりコンセプト無かったのかな?ストーリーはなんとなく盛り上がり切らないカンジ・・・。
・2の無駄死に感、もちょっとなんとかならんかったんか。

 

119.くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密

 ・1作目が評判良かったんで、予定なかったけど2作目いってみましたな話。
・さすがに1作目のキレはないですが、この無理やり企画でそこそこ楽しめるように仕上げてきたのはむしろ優秀ゆうしゅー。

 

120.うる星やつら オンリー・ユー

うる星やつら オンリーユー(ノーカット版)【劇場版】 [DVD]

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 ・うる星の劇場版第1作、後の大御所・押井監督の初監督映画でもあります。
・話のスケールはでかく、主要キャラは総出演、TVシリーズの映画化としては誰も文句を言わない構造で、実際見て面白い作品ですが、押井監督は「映画たりえていない」とご不満だそう。
・僕なりに咀嚼したところだと、押井監督にとっての映画というのは作り手が何らかを表現するためのモノであって、映画を構成する要素は(映像や音楽や、ストーリーでさえも)、その何かを表現するための手段に過ぎない、ということ。オンリー・ユーには作り手の真の目的たるものがなく、何も表現していない、と。
・今時はただの2時間ドラマも映画と称して劇場公開しますからねぇ。国産映画の中で、ここで言う映画たり得ている映画ってのがどれ程あることやら。

 

121.APPLESEED

APPLESEED [DVD]

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 ・攻殻にあやかって、同じ士郎正宗原作の漫画を劇場アニメ化。当時はCGアニメ創世の時代、新しい技術がどんな映像を作れるのか探ってる感じで、期待感あった。音響も凝ってた。
・でも脚本がヌルい。而して脚本がヌルい。
・原作は硬派すぎるから、一般向けに噛み砕こうってのはわかる。わかるが、これでは精神年齢が低すぎる。分かり易くするのと、安直にするのは別。
・あなたがいない未来なんてー。くさー!ビルからダイビングそうちゃくー。無意味ーー!!
・自分原作ファンだもんで、これには怒っているのだ。伊藤計劃氏もブログで困っておられたぞ。

 

122.宮本武蔵 双剣に馳せる夢

宮本武蔵‐双剣に馳せる夢‐ [DVD]

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 ・歴史ドキュメンタリー。何を観ようとしているかあらかじめ分かってないとびっくりする。押井製の歴史秘話ヒストリアだと思ってどうぞ。そもそもこのリストに並べていいものなのか、微妙な内容でありますな。
・現代の日本人に流布したイメージは吉川英治の創作小説に支配されている。放っておけばこれが史実にとって代わる恐れがあって、そういう危機感は持つべきだ。事実を自主的に知ろうとすることが大事。
・自力でこれだけの論を構築した押井の情報収集力と解釈能力は凄まじいですが、これを信用し過ぎたら、それは吉川が押井に入れ替わっただけ。慎重な視点を忘れずに。

 

123.おもひでぽろぽろ

おもひでぽろぽろ [DVD]

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 ・ガキのガキ臭さがリアル過ぎて、コッ恥ずかしくて見れらんないんですよね。もっと年とりゃ面白く見れんのかねぇ。
・この対象の狭さが高畑さん。
・ほっぺの描き方が気になる…アラサーとはいえ20代をそこまでおばさんに描かんでもええやない。

 

124.河童のクゥと夏休み

河童のクゥと夏休み 【通常版】 [DVD]

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 ・クレしん映画で有名になった原恵一監督の、クレしん離れての第一作。
・河童をみつけてアルフよろしくかくまうけど、一瞬でオクモニックさんにばれてマスコミに囲まれる話。
・いい映画ではあるんだけど、やっぱこの人のセンス合わんわ。感動しましょうって感じの感動作とかキライなんすよ。
・アニメっぽいキャラデザが嫌いなんだろうけど、それにしたってこれはバタ臭いよねぇ。
・冗長。この内容で2時間越えは無い。絞れ絞れ。

 

125.メリダとおそろしの森

 ・ピクサー映画13作目。“あの”ピクサーにしてはパっとしないデキ。やはり13は不吉なのか。
・舞台となる世界の広がり、起こる事件のスケール、内包されたメッセージ、どれも小さい。どうした。
・悪いって程じゃないですよ、レンタルで見て損した気がしないくらいには。
・最大の見所は、スパゲッティヘアーのモデリング
・望みが何であれ熊になるって、そりゃ魔女のばーさん適当すぎるぜ。

 

126.コクリコ坂から

コクリコ坂から [DVD]

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 ・宮崎Jr.再臨。まさか2度目があるとは・・・
・背景美術はさすがジブリ。演出もゲドに比べりゃ相当進歩してますよ。
・「安いメロドラマだ」と自嘲したくせに、安いまんまの何のひねりもないオチ。えっ。それだけ?
・青春しまくってるのはもきゅもきゅする。もっと若いときに見れたらもっと楽しめたんでしょうか。

 

127.さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅

さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅- [Blu-ray]

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 ・銀河鉄道999、劇場版の続編。1作目で作品コンセプトに完膚なきまでに決着が着いてるのに、人気があるからって作られた感がアリアリ。
・で、1作目で付けたはずの決着を着いてなかった事にして、似たようなことをもう一周やった。1作目の感動を台無しにする方向の展開なので、世間的評判が悪いのも然り。
・続編商売に手を染めざるを得なかった大人の事情だね。ストーリーはアラだらけ。それでも、りんたろう監督はこの状況にあっていい仕事をしておられます。
メーテルは今でも偶像として機能するキャラクターだよね。

 

128.WXIII 機動警察パトレイバー

WXIII 機動警察パトレイバー [DVD]

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 ・押井の手を離れた、パトレイバーの劇場版第3弾。
・どーしてもデキのいい過去2作と比較されてしまうわけで。押井師匠抜きで製作ともなれば尚のこと、過去作との真っ向勝負は避けるのが得策。てなワケかどうか知らんが、主役に新キャラ据える搦め手で来ましたな。
・あまり印象に残らない映画。いかんせん新キャラが地味過ぎるよねぇ。ハタ君の恋愛模様とか興味もてねぇ。
・刑事2人の自宅シーンが多いですが、これは冴子さんの部屋のサイコ度を際立たせる伏線ですね。生活感が染み込んだ部屋と、伽藍堂に巨大写真1枚しかないサイコハウスの対比。

 

129.アリス

ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

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 ・ヤン・シュバンクマイエルの悪趣味アリス。分類は「ストップモーション・アニメ」だけど、観る印象としては実写と理解すべきでしょうなぁ。
・映画と言うよりは芸術ですな。凄味はあるけど見てて楽しいもんかっつーと。趣味が合ったらのめりこんじゃうのもわかります。が、個人製作のレベルを超えないプロダクションでもあります。
・アリス役の子、カワイイけど演技できてないよね。

 

130.攻殻機動隊 S.A.C Solid State Society

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [DVD]

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 ・「映画は撮ったことがない」神山さんがようやく映画を撮った、S.A.Cシリーズの長編。
・でも結局PPVになった。
・この人、上手い話をつくるけど魅せるアクションを描けない人だなぁって印象。動きが淡々としてて燃えないカンジ。投入できるリソースに限界があったのは明らかなので、そこは割り引いて見てあげないとだけどね。
・押井師匠に挑戦するその意気や良し。

 

131.逮捕しちゃうぞ the MOVIE

逮捕しちゃうぞ the MOVIE リマスター版 [DVD]
 

 ・ちょいマイナー目なシリーズの映画化にしては力入ってます。大規模な東京封鎖からの警視庁襲撃とか、起こる事件も大風呂敷。
・パト2に憧れたナ。てことは、踊る大捜査線と源流を一にする作品ですが、なに、負けてないと思いますよ。
・作画面では、大事なカットが静止画だったりして予算の限界が露骨。隠す努力もうちょっとあっても・・・

 

132.うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー

うる星やつら ラム・ザ・フォーエバー【劇場版】 [DVD]

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 ・うる星やつら劇場版第4作。作れば元取れる手堅い商売ですから、とりあえず作る罠。
ビューティフル・ドリーマーっぽいモノを作ろうとした感アリアリ。それ系の作家性でもないのに、それっぽいものを作ろうとしたって、そりゃ上手くいきませんよ。ストーリーが解り難いのは、難解さじゃなくて説明不足のせい。日記とか意味ありげな伏線投げっぱなしボンバー
・映画として仕上げる前に公開しちゃったカンジ?個々の場面はいい雰囲気醸し出してるし、やろうとした(と思われる)ストーリーも面白げだし、へこたれずに最後まで頑張ったらいい映画になってたかも。または、観る側が完成図を補完しながら見てあげれば。
鬼姫コスのラムは美しい。

 

133.獣兵衛忍風帖

獣兵衛忍風帖 [DVD]

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 ・川尻監督の、その名の通り山田風太郎忍法帖っぽいけど一応オリジナル原作の、劇場アニメ。素直に忍法帖原作でアニメ化するのはダメやったん?
・本作、アメリカでえらく人気あるそうな。確かに、ニンジャがニンジュツでバトルする内容は、間違った日本妄想掻き立てて外人ウケしそう。
・エロと暴力は映画の華。アニメでここまでがっつりやるのは国産でも珍しい。いいぞもっとやれ。
・デザインセンスがダサダサでちょいと笑っちゃいますがね。昔はこんなだったよね。

 

134.海がきこえる

海がきこえる [DVD]

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 ・ジブリの若手(当時)が宮崎駿抜きで作った長編アニメ。TV用であって劇場公開はされてないそう。
・ムトーは不幸な家庭環境でも弱みを見せずに気丈に振舞う、自律的な女。杜崎君は行動力があって意思の強い男。と、描きたかったんだろう。でも印象に残るのは、わがまま糞女と振り回される男の図。ムトー、もう少しかわいげあるようにならんかったんか。
・製作者が表現せんとしたであろう、不器用な青春模様はわりと好きですが。

 

135.11人いる!

11人いる! [DVD]

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 ・萩尾望都さんのSF短編漫画の映像化。方程式モノ的な、古きよきSFの味。
・伏線張りと新事実の開示のテンポがいいので、楽しく見てられます。
・終わってみれば、11人目の存在が意外と事態の進展に影響してないので、ストーリー作成テクとしてはもう一押し欲しかったところですかね。
・宇宙船とかの描き方は、やっぱ平凡。あくまで出来のいい原作の手堅い映像化ってとこで、映画としては驚きがないかなぁ。出崎お兄ちゃんはこういうタイプなのね。

 

136.ライオンキング

 ・キャラが出揃った時点でこの先何が起こるか全部わかる。そして想像を少しも外さない一本道ぶり。子供向けならこれでいいって?ホントに??
・最後までライオンの捕食シーンを描かない。臭いものにはフタのPTA方式。露悪趣味で言ってるんじゃなくて、この物語に正面から向き合うならば避けて通れない部分だったはず。子供向けだから、は言い訳にならない。
・だから、ドリームワークスがマダガスカルを作った。

 

137.ホーホケキョ となりの山田くん

 ・あっこの地味さ、高畑さん!
・アニメ表現の可能性に挑戦して、なにか達成しておられます。
・大昔にTV放映を見たきりなので、細部を語るほど記憶にありませんが、わざわざ見返そうって意欲を起こさせない地味さがあります。やっぱそれはダメなことだよね。メッセージがあろうが技術的にすごかろうが、観終わった時に「ああ面白かった」って思うかどうかが一番大事だし。。。

 

138.老人Z

老人Z HDマスター版 [DVD]

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 ・大友克洋が原作・脚本。大友っぽいブラックユーモアで、「最臭兵器」のカンジに似てる。
・高齢者問題は、個人的には笑うに笑えないところがありますなぁ。こういう「笑いにくい笑い」が好きな人には相当気に入られるんじゃないすかね。

 

139.スプリガン

EMOTION the Best スプリガン [DVD]

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 ・ちょっと人気あった漫画の劇場アニメ化。総監修に大友克洋ってことでちょっと話題になったけど、監督でもないしつまり何やったんだろなぁ。アニメに大友さんが関わっても、大してイイことは起こんないのが常ですが。。
・箱舟編って、原作のオチがわりと尻すぼみなんで、映画では上手く改変して盛り上げてくれたらいいなー、って期待して見に行ったんですが、そこは原作に忠実にそのままでした。えー
・アクションは良く動くんで、そこは見所。
マクドゥガル大佐は大根すぎ。

 

140.ベクシルー2077 日本鎖国

ベクシル-2077 日本鎖国- 通常版 [DVD]

ベクシル-2077 日本鎖国- 通常版 [DVD]

 

 ・APPLESEEDのチームが作った国産CGアニメ。ってことで、その仕上がりも推して知るべし。
・(意外にも)話の入り口までは結構期待感もたせる。日本どないなってもーてんー、とワクワク感煽るが、話が進んでみれば、まあ、やっぱそんなもんだな。
・オリジナルなんで、どの原作もレイプされてないんで、その分だけ好感持てる。

 

141.スチームボーイ

スチームボーイ 通常版 [DVD]

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 ・伝説の大友克洋監督が、すげー時間かけて作り上げた超大作。はずだったけど、見事にずっこけた。あの面白い漫画を書きまくってた大友克洋は今どこへ。。
・声優がヘタ!主要キャストがまとめてヘタ過ぎる。こういうのは役者以上に、リテイクさせられない現場の問題だと思う。
・ダメなばっかじゃないよ!作画はハイクオリティだよ!
・どんな職業であれ、ある一連の仕事をきっちり完結させるのは、実は難しい。時間をたっぷり掛けたら良くなるかと言うとそうでもなくて、変に長引くのはむしろ泥沼に嵌った証拠。泥沼化したが最後、船頭多く船山を登り当初の目的は忘れ去られ終わらせる事自体が目的に取って代わり完成度は二の次に…などなど、苦労の割に出来が悪い。あーそういえばこの映画、ずいぶん制作に時間がかかったらしいですねー。

 

142.ももへの手紙

ももへの手紙 [DVD]

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 ・押井一門、沖浦さんの「人狼」に続く監督2作目。師匠の手を離れた結果は…人狼の悪いところが残ったな…。丁寧なのはいいけど、これはさすがに冗長だよ。
・ギャグが全体的に滑ってる。これ、この映画の上手くいってないところの本質じゃなかろーか。場面場面で表現せんとしたモノは想像つくんだけど、現実そんな風に感情が動かされない、お寒いカンジ。笑いどころだけでなく、感動しどころも寒い。
・カメラで撮ったような作画はすごい。広角/望遠の切り替えを画で描いてたり。ピント合わせまでやる。腐っても押井一門。このうまさが映画に結び付けばなぁー
・ちなみに私好きで瀬戸内の島にはよく行きますが、まさにあんな感じです。だからこそ、好きな映画になって欲しかった。これでは不満が残るばかり。

 

143.ゲド戦記

ゲド戦記 [DVD]

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 ・宮崎Jr.登場。偉大な父親と比べられるのは宿命とはいえ、これではねぇ…
・それなりの努力も経験もなく、映画監督なんてできないってコトを明確に示している。映画を構成するにあたって、省略すべきこと/語るべきこと、の選択が、彼は根本的にわかってない。
・そんな訳で、なにぶん、つまらない。原作は面白いんだろーなぁーってことは伝わりました。
・作画や背景画の技量はジブリさまさまなので、ゴミ!とまで言えないのがなんとも語りにくい。

 

144.ルパン三世 ファーストコンタクト

ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト [DVD]

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 ・雨後の筍が如く制作されまくるルパンのTVスペシャル第14弾。
・TVスペシャルにしては、面白いです。でも一味の出会いって奥の手を使ってこのレベルでは、ちょっと寂しいかな。こういう大事な話を劇場でなくTVスペシャルのネタに扱う時点で、制作陣にはルパンに思い入れが無いってことだ。
・敵キャラの造形もう少し考えてもイイよなぁ。モブのデザインだろこれは。
・ルパンが五右衛門対策で火を使ったり、ファーストシリーズをちゃんと踏襲してるのね。本家はイルカの水鉄砲使用でもっとナメてたけど。

 

145.エクスマキナ

エクスマキナ -APPLESEED SAGA- スタンダード・エディション [DVD]
 

 ・APPLESEEDの続編、しろまさ原作から離れたことでいよいよ底の浅い作品になった。原作ファンには腹に据えかねる。
・民間人だから撃つなーみたいなくだり、そのくらい想定してスタンガン持って来い。作ったやつスタンガンってもんを知らんかったんか。それとも知ってるけど無視してドラマっぽいシーンを作りたかった?どっちにしろ浅い。浅すぎる。
・ラストのモブ敵とバトるシーンは、マトリックスで見たな。
ジョン・ウー連れてきても、あのおっさんもシナリオ作る力はないから・・・
・多分、冷静に見直したら、ここまで貶す作品じゃないんです。わかっちゃいるんだが、嫌いなんだ。

 

146.うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ

劇場版 うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラヴ [DVD]

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 ・うる星やつら劇場版第3作。ここからは押井の手を離れた。
・これもちょっとビューティフル・ドリーマー引き摺ってるなぁ。4作目より話のつじつまは合ってるけど、その分スケール感もこぢんまり。聞き分けないガキが無茶しただけって話に見えちゃう。

 

147.星を追う子ども

 ・新進気鋭の新海誠の監督4作目。前作の「秒速~」までの一貫したテイストからは路線変更してファンタジーにチャレンジ。幅を広げようとしたんだろうが、得意の路線以外の引き出しがカラッポであると露呈してしまった。
・既視感のあるシーンが連発。元ネタがほとんど宮崎駿ってのはちょっと安易すぎる。
・もうわかった。余計なことしなくていい。秒速~の童貞臭は馬鹿にしてたけどアレも立派な作家性だし、それをどっぷり描き切れば価値ある映画が作れる人ですよ、新海さんは。まぁ・・・この人が童貞卒業してしまったときに、残るものがあるかが心配だけどね。
・と思ってたら、この次に出した短編映画「言の葉の庭」は秀作でした(短いのでランキングには入れてないケド)。これはなんと秒速を大人の感性に咀嚼しなおしたよな内容。この人は、この作家性をひたすら先鋭化させた先にこそ、我々の見たことがない情緒的な世界を紡ぎだせると証明してくれました。次の長編は割とマジ期待してる。

 

148.うる星やつら いつだって・マイ・ダーリン

うる星やつら いつだって・マイ・ダーリン【劇場版】 [DVD]

うる星やつら いつだって・マイ・ダーリン【劇場版】 [DVD]

 

 ・うる星やつら劇場版、作りも作ったりついに6作目。ルパンやクレしん程には定番化できなかったのは、良くも悪くも押井のせいだな。
・尺は1時間チョイと短いし、完全にちょっと豪華なTVアニメ。押井の呪縛も解けて、高橋留美子の偉大なるマンネリズムをどっぷり再現。TVシリーズ楽しく見てた人なら、その延長で見たら楽しいでしょう。
・ホレ薬取り合いながら痴話ゲンカって、ホント高橋留美子だなぁ。
・ラムの顔の作画が、ちょっと好きくないです。ラムの顔に絞れば、4作目の「ラム・ザ・フォーエバー」が好き。
・弾が無限に出るバズーカってこのテのギャグアニメじゃ普通だけど、押井は絶対やらんかったナ。

 

149.ルパン三世 DEAD OR ALIVE

ルパン三世 DEAD OR ALIVE【劇場版】 [DVD]

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 ・原作者モンキーパンチが御自ら監督した劇場第6作。
・話はともかく画の見せ方が説明的でテンポが悪くて、映画としてビミョウ。本来、アニメ化された以上は原作とは別個の作品とみるべきであって、原作者と言えどクチバシ突っ込んでいいもんではない。餅は餅屋。
・とっつぁんが有能に描かれてるのは、好き。本来そうだったわけだし。
・変装を見抜けないナノマシンってのは、どうですかねぇ

 

150.幻魔大戦

幻魔大戦 [DVD]

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 ・鳴り物入りで製作された作品。子供向けじゃない単発のアニメ映画を真面目に作ること自体、当時は挑戦的な試みだったそうな。
・歴史的な意味合いがあるにしろ、今のセンスで見るにはかなりキツイ。
・のっけからダンシングばばあに苦笑。絵柄の古臭さが恥ずかしい上にストーリーもなんか行き当たりばったりだし・・・いや、古いからったってこりゃねぇよ。
・男友達とツッコミながら見るなら、いけるかな。
・音楽監督キース・エマーソンでびっくり。そういえばそんな感じ・・・か??当時のキーボード音では、映画音楽には安っぽく聞こえちゃうなぁ。

リスト上位は下記リンクにて。

 

 

アニメ映画リスト 51~100

なんでこれがこんなに低いんだ!と思う方もいらっしゃるでしょうが・・・世の中にそれだけいいものが多いんだよってことでひとつ。完璧とまでは言わずとも、ギラリと光る傑作たちです。なお、ドラえもん映画はもはや幼児体験で、距離をとって評価しにくいので、まるっとカウントしてません。

  

51.美女と野獣

美女と野獣 ― スペシャル・リミテッド・エディション [DVD]

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 ・ディズニーらしいディズニーディズニーしたミュージカルアニメ。
・はっきり言ってストーリーテリングは下手糞。
・愛は容姿じゃないって話っぽいんだけど、片っぽは結局「美女」だし、野獣がイケメンに戻ることがハッピーエンドとして描かれてるし、結局容姿への妄執は健在。
・燭台や時計にされた使用人の皆さんは、とばっちりもいいとこ。
・それでもミュージカルパートの魅力がすべてを補って余りある。顔のある燭台や時計や食器が歌って踊るって、(いい意味で)ディズニー感溢れすぎ。今どきこんなのやらないけど、改めて見るとやっぱりこういうの、素敵やん。

 

52.王と鳥

カリオストロ城の元ネタになったという、フランス産アニメ。確かに落とし穴とか罠だらけのお城の雰囲気が良く似てる。
・今どきのアニメとは全然違う空気に引き込まれます。感受性豊かなファンタジーだけど、子供向けに夢を振りまくつもりは全くなさそう。王様の圧政とか、なんかを風刺してるっぽいんですけどー。
・最後の最後は唐突で、奇妙な展開。制作当時に、国をぶち壊したくなるような、抑鬱とか閉塞感とかあったんだろか。

 

53.ナイトメアー・ビフォア・クリスマス

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス [DVD]

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ティム・バートンの有名なストップモーションアニメ。でも監督はバートンじゃなくてヘンリー・セリックさんですぞ!
・ちょいと毒のあるセンスが見どころ。人形の造形はさすが。ミュージカルシーンもいい。こじゃれた雰囲気でサブカル女子御用達。
・でもストーリーはあんまりだよね。特にジャックが撃ち落されたあとの開き直り、あれひどい。

 

54.ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

・新劇場版の3作目。昔のエヴァをなぞった序・破までを、15年前のこととして突き放す暴虐の展開。前作までの目的だったサードインパクト阻止が知らんうちに失敗してて、それも今や昔。当時の努力は全部パァ。あの「綾波を返せー!!」のテンションがもはや恥ずかしい。
・「15年」はTVシリーズからQ公開までの実時間と同じだ。要は昔のエヴァを否定して、そこから何かを構築しようとしてるようだ。腹黒いなぁ。かれこれ大人になった僕も、今の自分はエヴァ好きだったかつてのガキとは違うゼ、とか言いたい気分もあって、つまり製作者側もそう思ってんだね。
・ネット界隈で異様に評判悪いようで、びっくりした。確かにストーリーは欝展開いよいよひどくて、観てて心地よいモンじゃないですが。作り手の野心が迸ってて、個人的には興奮して受け入れた作品だった。

 

55.メアリー&マックス

メアリー&マックス [DVD]

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・ミニシアター的なストップモーションアニメ。
・メンタル弱い同士の、ガラスの上を渡るようなコミュニケーションを描く。少しずつ心を通わせる様子は感動的です。見てるのがツライが…。
・ぼかぁ悩まない性格なんで、こんな何にでも悩む人はタイヘンだなぁって思います。超他人事です。
・これを子供向けゾーンにおいてるTSUTAYAは一刻も早く配置見直しするべき。

 

56.くもりときどきミートボール

・アメリカ製3DCGアニメ。ディズニーでもドリームワークスでもないよ!
・「うふふ」じゃなくて「あはははは」くらい声出して笑えるコメディ。アメリカ産でこれだけ笑えるのは少ない(失礼)。作った人は脳みその大事なところが腐っているものと思われる。
・一番好きなのは大事なUSBが無意味に吹っ飛ぶところ。
・いや僕は美味しいと思いますよ、イワシ。
・一方、脚本のきっちり具合はすごくきっちりしてる。脳みその腐ってない部分は相当明晰なものと思われる。

 

57.ファインディング・ニモ

ファインディング・ニモ [DVD]

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ピクサー映画5作目。ファイトはしない。
メメントと同じ、前向性健忘の話(ウソ)
・とーちゃんがムスコのニモを探して旅をするんだけど、これがまぁよくできたロードムービーなんだわさ。
・ラセターさん、やっぱり子供キライだろ。確かに僕も子供の頃はこんなんだったけどね。
・スキューバダイビングやアクアリウムは自然に興味がある人の趣味だけど、それで自然を愛でてるなんて人間本位な発想で、自然の側から見たら迷惑だって話。ちなみに私どっちもかじりました。エエ。

 

58.鉄コン筋クリート

鉄コン筋クリート (通常版) [DVD]

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・原作の松本大洋って、正直サブカル狙いすぎな気がして好きじゃなかった。松本サン本人が悪いんじゃなくて、それを好きって言う層であることが恥ずかしいというか。で、原作読まないままこの映画見たんですが、予想に反していい映画でしたね、食わず嫌いやめて原作も読んでみようかしら。
・オチを少し抽象的に振りすぎたかな?ぶっちゃけ説明放棄。繰り返し見て解釈する楽しみがあるとも言えますが。
・背景のデザインセンスはまーべらす。

 

59.ファンタスティックMr.FOX

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ロアルド・ダール原作のストップモーション・アニメ。バタ臭いタイトルとは裏腹にシニカルで洒落た作品で、子供向けお伽噺などでは、ない。視聴に際してはご注意の程を。
ロアルド・ダールと言えば、「チャーリーとチョコレート工場」で有名。SF者には異色作家短編集シリーズの筆頭として認識されてるでしょうか。ちっと毒気のある奇妙なストーリーを作る人です。このお話もまた、御多分に漏れず奇妙な味ですねぇ。
・ちょっとカクカクしたストップモーションぶりも、この作風にとっては、逆にシュールで楽しい効果になってるんじゃないかと。

 

60.ボルト

ピクサーでなくディズニー本体のアニメが、こんなに破綻のないストーリーだなんて!ラセターさん移籍の効果覿面。
・どこにも文句はないけど、安定し過ぎてて刺激がないって印象かなぁ。文句なく面白いので、観ておくべきと思いますけどね。
・一応ロードムービーなんだね。アメリカの地理に馴染みないから、どこを通ってるのかさっぱりわからんが・・・
・ボルトの勘違いが解けるまでが見てていたたまれない。こういうの苦手なの。さっさと気付け。

 

61.EVANGELION Air / まごころを君に

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・いわゆる、旧劇。DEATH AND REBIRTHは無かったことにしてあげて。
・矢鱈と謎めかした演出に当時中3だった僕は見事にやられてしまって、友達とあーだこーだと解釈の仕方に頭をひねったものであった。
・後になって知った事には、このテの謎めかせ演出は結構昔から使ある技だったんだな。「2001年宇宙の旅」や「地獄の黙示録」が代表例で、勝手に深読みした観客側が祀り上げてしまうところまで含めてテンプレの、よくある手口なのだ。ありていに言えば説明放棄でして、祀り上げるような感想を持つのは完全に製作者の術中ですな。
・ただ、その手管をアニメに持ち込んだってこと自体が発明だった。そしてそれが受け入れられたことで、アニメの歴史を変えたのは間違いない。

 

62.トイ・ストーリー

トイ・ストーリー2 スペシャル・エディション [DVD]

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ピクサー映画3作目。
・おもちゃのアイデンティティクライシス第二弾。人間じゃないもののアイデンティティを描くなんて、すげえ想像力。
・1作目は新しいおもちゃに乗り換えられる恐怖。この2作目は、壊れて捨てられる恐怖。テーマとストーリーの関連付けの上手さは今日もピクサー印で舌を巻く。
・1作目、3作目と比べるとチョット落ちるけど、それでも十分過ぎるくらい良い作品です。比較対象のレベルが高杉るんだな。

 

63.カーズ

カーズ [DVD]

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ピクサー映画7作目。後に怒涛のスピンオフを生む。
・子供向けを絵に描いたような絵なもんだから、大人の心では感情移入しきれなかったんだけど、高値安定のピクサー品質。最後のレースなんか伏線回収大会でしっくりきまくりすっきりしまくり。
・ハエみたいに飛んでるのはワーゲンのビートル。愛称が「bug」だから虫扱い。フェラーリに憧れるタイヤ屋はフィアット500。同じイタ車だからだ。小ネタの仕込みが多そうなんで、もっと車好きならもっといろいろ見つけるのかも。

 

64.王立宇宙軍 オネアミスの翼

王立宇宙軍 オネアミスの翼 [DVD]

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・後にエヴァで名をなすGAINAX初作品。
・若い作り手の熱意あふれる良作です。いろいろ考えて、あれこれ盛り込もうとして、まとめ切れなかった感じもありますがね。盛り込まずにおれなかったのが熱意ってもんです。世界観の作りこみが凄いんで、咀嚼するのが楽しいですね。
・宗教についての感覚は、制作当時と今とでは違うのでしょう。ヒロインを宗教者にしてる時点でもう違和感。オウムとか9・11とかあって、今の日本人はちょっと宗教全般に引いちゃってるから。このへんで感情移入できなかったのが残念でした。もっと昔に見とけばよかった。
・音楽が地味にイイ。と思ったら坂本龍一参加。流石っす。
・でも、ヒロインが売春してたのかもと思わせるシーンと、森本レオがヒロイン襲おうとするとこは、意味ありげな割に伏線でもないし、機能してないね。

 

65.機動戦士ガンダム Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

・バラで語るほど思い入れないんで、セット評価で勘弁。詳細はスキモノに聞いてくれ。赤いモノ見る度に3倍速いとか口走る人が世の中には多いんで、とりあえず元ネタ知っとこうの世界。
ファーストガンダムの偉大さを劇場版に全て背負わせるなら、ランキング1ケタ台にせざるを得ませんが。敢えて独立した映画として語るならこんなもんでしょう。総集編映画の常で、演出不足が山積してる。
・それでもなおⅢのクライマックス感はいい。

 

66.チキンラン

チキンラン [DVD]

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・「ウォレスとグルミット」がミラクルなニッツ・パーク監督、ドリームワークスで得意のストップモーションアニメを敢行。
・意外にも暗いテイストなのに戸惑う。かわいげなニワトリで大脱走のオマージュやって、わかる人に見てもらえてるんだろか。マーケティングできてる?
・ラストは「飛べ!フェニックス」かな。飛べないニワトリが飛ぶための、最後の手段。むちゃくちゃなのに不覚にもグっと来てしまったよ。飛べー!!

 

67.銀河鉄道999

銀河鉄道999 (劇場版) [DVD]

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・松本零二原作の大ヒットTVシリーズを再構成して映画化。ついでに主人公鉄郎はガキから青年にモデルチェンジ。監督はりんたろう
・長大なTVシリーズをたった2時間に詰め込んだから、パンパンな感じ。時間に追われて演出が足りてないとこいっぱい。普通ならダメだけど、それでもなお面白かったと思わせる腕力がある。
・宇宙を旅するロマン。ロマンてwwwとか脳内でツッコミつつも感ずるところはある。今どきのアニメはシニカルすぎて、ロマンなんて大風呂敷広げようって覚悟がないよね。
ハーロックはクソカッコイイ。
・宇宙空間なのに煙突から煙がモクモクと…。SF的突っ込みドコロは無数にありますが、古き良きアニメの風情として楽しみましょう。昔は大らかだったのだ。
・鉄郎の発想は完全にテロリズムなので良くない。昔はそんな倫理的整合性も適当だったのだ。

 

68.パプリカ

パプリカ [DVD]

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PERFECT BLUEで有名になった今敏監督の劇場4作目。
筒井康隆の原作が元々妄想と現実が入り混じるサイコな話なので、今敏が得意ないつもの演出をやったら、原作に忠実なアニメ化になった。そもそも今さんがツツイストだそうで、原作のパプリカを背景にPERFECT BLUEを作ったと理解する方が正解でしょうか。
・原作知らずにこの映画見た方が、感動できたんじゃなかろーか。原作はちょい冗長だし、読まない方がいいな。そうだそうだ。

 

69.REDLINE

REDLINE スタンダード・エディション 【DVD】

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・サブカル系なおふざけ映画。原作脚本の石井克人さんは実写映画「鮫肌男と桃尻女」の人。そう、それ系。
・とにかく絵がよく動く。手書きの物量的限界を全く感じさせないほどで、この作画で会社が傾いたとかどうとか。相対論効果かってくらい歪む加速シーンとか、CGとはちゃうんやで!と言わんばかり。カッコいーなー!
・ここまで力入れるなら、もっと売れる映画を作ればよかったのに・・・
・ルパン風に走ってる二人はバットマン&ロビン風だし、鉄男風巨神兵にSOL風ラピュタの雷を撃ち込むし、シュワちゃん風にショットガンリロードしたり、ブルースリー風に準備運動したり。サブカルな小ネタ満載なんで、気付いてニタニタしましょう。
・主人公の勝負以外の結末を全部放り投げて終わるんで、それは良くないと思います!

70.サマーウォーズ

サマーウォーズ 期間限定スペシャルプライス版 [DVD]

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・「時かけ」で好評だった細田守監督作品。ジブリのような、一般の映画好きにアピールできるアニメ作家に為り得るか、注目の長編第2弾。どうやら、ボクの期待した方向へは進んでない。
数学オリンピック級の頭脳の少年が学校一の美人センパイの故郷に行ったら、身内に問題のプログラマーと国内最強のハッカーがいたって、ちょっと都合よすぎ。フィクションし過ぎてて、こうなると結局アニオタ層しか楽しめなくなっちゃうんだよ。細田さん、地のセンスはこの辺かぁ。
・今どきの暗号は頭が良かろうが解けないようになってるとオモ。
・そういう嘘を飲み込んで素直に楽しむならば、すごく面白い映画ですけどね。
・若ぇ衆には異様な人気だそうで、これが本命になるようじゃまだ若ぇなぁ、とか思ってます。一方で、大人ぶって貶してるようじゃまだまだガキのうちだぜ、的な気もして、アラサー映画オタクが結局あれは面白かったのか!?と朝まで激論を交わすにはちょうど良いお題になります。

 

71.サウスパーク

サウスパーク 無修正映画版 [DVD]

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・アメリカ製お下劣TVアニメの劇場版。
・モラルの底が抜けてる。目に映る全部をコケにして誰にも味方を求めない、信念貫くこの威容。
・悪ふざけの範疇は超えたNGな事ばっかやってるけど、それをNGだって指弾することが間抜けみたいな空気。アウトロー気取って炎上する小物とは、なにやらステージが違う。
・こんなのを褒めたい年頃でもないけれど、こんなものを作ることができて、しかも受け入れられてる世の中って、すごく健全だよね。
・下品なだけじゃなくちゃんとエンタテイメントになってるのが小憎らしいところ。

 

72.るろうに剣心 追憶編

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編 ~特別版~ [DVD]

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・幕末京都で抜刀斎くんが巴っちとあれこれする件のOVAを、2時間くらいで映画風にまとめたもの。
・ジャンブ成分控えてシリアス目に時代劇やってます。個人的に好きなエピソードを真面目にアニメ化してくれたので、素直にうれしい。
・強い想いの籠った刀傷は消えないとか言っといて、原作のオチは小刀が間違って飛んできて頬掠めただけ。なんじゃそれ、をこのOVAが真剣に修正してくれたので、もうこっちが正史です。
・殺陣もカッコよろしい。巴っちの色気もよろしい。
・他にも数点長編OVAあるけど、悪い評判しか聞かないので未見。

 

73.メトロポリス

メトロポリス [DVD]

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・原作:手塚治虫、脚本:大友克洋、監督:りんたろう。ビッグネームが並んだにしては伝説になり切れなかった作品。
・公開当時に劇場で見たのに内容全く覚えてなかったんで、レンタルで見直した。忘れるだけあってストーリーにフックが足りないな。見たそばからまた忘れそうだ。
・しっかし映像の美しさは抜群。手書きアニメにCGの効果も上手く使ってて、アメリカCGアニメとは違う進化の道を感じる。誰にも受け継がれてないのは勿体ないことであるよ。
・ケンイチ役がぶりぶりに大根。ぶり大根

 

74.平成狸合戦ぽんぽこ

平成狸合戦ぽんぽこ [DVD]

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・高畑さんは、すごーく色々考えてるインテリで、映画の演出もすごーくデキる人なんだろうけど、真面目すぎ。大抵、見て楽しいものを作ろうってつもりが無いんだよね。そんな高畑作品の中では狸合戦が一番エンターテインメントしてる。
・つっても、これも生真面目さが滲み出てるけどナ。真面目な人が、こうすれば面白いのかなぁ、なんて悩んでる感じがよけい悲しい。
・あ、けなしてばっかだけど、褒めるところはいくらでもある良い作品です。有名だから今更褒めてもしゃあないし、個人的に高畑さんのセンスちょっと合わんだけ。

 

75.千年女優

千年女優 [DVD]

千年女優 [DVD]

 

今敏監督2作目。
・現実に劇中劇と記憶と妄想が入り乱れる、得意のテクニックをフル活用。もう手段が目的になってるな、こりゃ。
・物語は地味で退屈だけど感動する。
・感動してんのに最後の最後におかしな一言放り込んで、単なる感動作にしないのがこの監督の黒いところ。こわいこわい。

 

76.おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)

おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)

 

細田守監督作品。本人らの思惑とは裏腹に(たぶん)、どんどん一般層向けじゃなくなってきてるぞ。
・うーん。感動したような、そうでもないような。この映画で本当に伝えたかったテーマってあるのかな?細田さんは表現者として語りたいほどのモノを、腹の内に持ってないんじゃないかと言う気がする。
・子育て頑張るかーちゃんの話がしたいのか、狼姉弟が自我を獲得する話をしたいのか、論点が定まらない。どちらも大事な話だし、感ずるものもあるのだが。重すぎるテーマに対して誠意はあったのか。アニメ好き以外の一般層にも見てもらいたい欲で、不用意にこんなテーマを選んでしまったのではないか。
・雪原の疾走シーン、粉雪をもうもうと巻き上げるカンジ、これは好き。

77.アリーテ姫

アリーテ姫 [DVD]

アリーテ姫 [DVD]

 

・中世っぽいお城で、お城に閉じ込められて育ったアリーテ姫。姫は美少女じゃないし、閉じ込められてもヒーローは助けに来てくれない。娯楽性は全然ないけど、だからこそ語られる、静かで、思慮深いファンタジー。
・ディズニーには逆立ちしてもたどり着けない境地。アンチディズニーのシュレックも、アリーテ姫に比べればはるかに幼稚だ。これが日本人の手で生み出されたことは、誇りですらあります。
・中盤、愚にもつかないお姫様が序盤の経緯を「つまらない」と評する。なかなか・・・自己分析が効いてるね。

 

78.ストレンヂア -無皇刃譚-

ストレンヂア -無皇刃譚- 通常版 [DVD]

ストレンヂア -無皇刃譚- 通常版 [DVD]

 

・時代劇アニメ。殺陣がかっちょいい、これに尽きますね。
・絵が動くことがアニメの魅力そのものである一方、製作者はいかに絵を動かさないかに腐心する。絵を動かすのは恐ろしく手間と時間(=金)が掛かるからだ。そんなジレンマの中、単発モノの劇場アニメでアクションやるってことは、今回は腹決めて絵を動かします!って言ってるようなもの。そこでちゃんと殺陣がかっちょよかったのだから、こんなに素晴らしいことは無い。
・まぁ、ストーリーはホドホドだけど・・・ストーリー練るのも金かかるもんねぇ。全てを求めるのは酷であるよ。投入できるリソースに縛りの多い中規模の企画で、できる限りのとを丁寧にやった印象で、すごく好感度高いです。
・あ、この声長瀬くん?

 

79.マインドゲーム

マインド・ゲーム [DVD]

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・漫画原作を湯浅政明監督が映画化。映像スタイルはサブカル狙い杉で好みじゃないケド、確かに斬新。
・ピノキオ的クジラ生活始めてからの心の持ちようについては、感じるところがありますね。すごく要約すると、一生懸命生きろってこと。
・声優に吉本芸人がいっぱい出てる。島木丈二兄さん意外に役者。ブラックレインのときもナカナカだったよね。イヤ、地のマンマだけど。

 

80.宇宙ショーへようこそ

宇宙ショーへようこそ 【通常版】 [DVD]

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・小学生たちが宇宙を旅して、わりとスケールでかい事件に巻き込まれて、子供ながらに頑張って解決する話。大長編ドラえもんなテイストで、単発作品にも関わらずドラ映画にも遜色ない感動のある、イイ映画と思います。
・田舎の夏休み感、異世界のワクワク感、クライマックスのドキドキ感、僕に残ってる子供心も刺激される。ちゃんと子供のときに見たかった映画。オタクのおっさんのためのアニメではないな。子供たち、これを見るんだー
・ちょっとクサいけどね。オトナ目線で粗探しして悦に入るのも違うような、そんな感じ。

81.超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 

・これも総集編映画。駆け足でケリをつけた感アリアリ。マクロスシリーズの始祖としての歴史的価値は偉大ですが、そこは映画としてまとまり重視なこのランキングには反映させてませんので。
・雨アラレのミサイルを回避しまくる描写は、作画した板野さんにちなんで「板野サーカス」と呼ばれます。日本アニメの生み出した技法の最たるもので、ホントマジカッコイイ。
・改めて作画までしたそうで、映画としてもそこそこまとまった作品になってると思います!

82.エヴァンゲリヲン新劇場版:序

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 特装版 [DVD]

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エヴァ新劇場版1作目。ここまではTVシリーズ序盤のリテイク。でも総集編というより、ヤシマ作戦をクライマックスに1本の映画としてキチンとまとめてくれました。
・後から思えば、「序」でTVシリーズを素直になぞったこと自体、「破」以降のぶち壊しの布石だったわけだが。
・僕ら、TVシリーズから体験してきた直撃世代にはお祭り騒ぎだったけど、後追いで見る人にはどう見えてたんだろ。
幾何学図形なラミエルは、見たことないカッコ良さで脳汁出る。

 

83.あしたのジョー

あしたのジョー 劇場版 [DVD]

あしたのジョー 劇場版 [DVD]

 

・総集編映画。vs力石まで。無理やり2時間に縮めた感は拭えませんがね。
・力強さが半端ナイ。この土っ臭い演出はなんだい。筆に力が籠りまくってんな。
・クロスカウンターとか、実在する技の誇張がたのしい。スポ根マンガの正統派、これぞ基本形ですな。
・力石が無理して絞るくらいなら、ジョーが太れば良かったと思います。

 

84.ぼのぼの 

ぼのぼの [DVD]

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・ナンセンス系ギャグのふりして、しばしば人生の核心を突く謎の漫画の映画化。このあとにTVシリーズ化された。
・苦笑いを誘うシュールギャグが続く。面白いのか?いや、これは面白いのだ!
・人生を「簡単なのさ」と言い切るのは簡単じゃない。でも本当は、人生の大事な事って、簡単なんだよね。みんなが勝手に複雑に考えてるだけで。今になって思えば、僕は中学ごろに見たこの映画に結構影響を受けて生きてたのかも。
・アライグマくんのお父さんの眉間がキモイ。

 

85.劇場版マクロスF 虚空歌姫 ~イツワリノウタヒメ と 恋離飛翼サヨナラノツバサ

劇場版マクロスF?イツワリノウタヒメ? [DVD]

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劇場版マクロスF?サヨナラノツバサ? 初回限定封入特典「劇場上映生フィルムコマ」付き [DVD]

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・TVシリーズを再構成した劇場版2部作。まとめ評価で失礼。TV版は観てないですゴメンナサイ。
・まさしく昨今のアニメ文化の産物。文化的惰性に従った様式的なセリフ回しやキャラ造形には不満ですが、これはそういう目的のものとして受け止めるべきですか。
マクロス伝統の怒首領蜂弾幕描写、それを避けまくる機動っぷりは現代の技術駆使してて過去シリーズと比較しても遜色ないデキ。板野先生は不参加だそうですが、板野サーカスは弟子たちが見事に受け継いでおります。
・伝統と言えば、「ワタシの歌を聴けぇっ!」にちょっとテンション上がったことを告白します。
・ヒロイン二人のヴォーカルは正直好みじゃないんだけど、前後編の各々でヤマ場に配される曲「ライオン」と「サヨナラノツバサ」は一発で脳ミソにこびりついた。これは菅野よう子先生感服致しました。これをバックにドッグファイトした日にゃ、当然アガります。

 

86.虹色ほたる 永遠の夏休み

虹色ほたる―永遠の夏休み― [DVD]

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・こーれはまた、地味な映画を真剣に作ったねぇ。ベタと言うか…つまりベタな内容なんだけど、奇をてらわないことも大事です。ステキな映画なのです。
・小学生の夏休みの記憶は素晴らしい。カブトムシやノコギリクワガタは美しい。
・人物の輪郭線がなんとも不定形な攻めの作画、これもまた淡いニュアンスが遠い夏休みの記憶をくすぐります。
・ラストは仄めかすくらいでいいのにフルパワーで描写したナ。こりゃちとやり過ぎでは。

 

87.マダガスカル

マダガスカル スペシャル・エディション [DVD]

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シュレックに続いてのディズニー向けカウンターパンチ。ライオンキングが無視した、「肉食獣の現実」。
・じゃあ魚なら殺していいんかっつーと微妙なんだけどな!ここを着地点にするくらいが、アメリカン倫理観の限界か。押井風に言うと、「鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず。声有る者は幸いなり。」
・南極にたどり着いたペンギンの「ココ、サイアクっすね」の一言が痛快。動物を自然に返せってしょうもない動物愛護団体がよく言うが、飼い慣らされた動物を自然に放り出すのは無責任なだけなのだ。

 

88.マウス・タウン ロディとリタの大冒険

・アードマン@ドリームワークス第三弾、ついにCGアニメに。キャラデザインはウォレス&グルミットぽいけどニッツ・パーク監督じゃないよ!
・ヤマ場は盛り上がるし、ちょいと教訓もあって、すごく良くできてます。敵役のカエルもなんか微笑ましくて、安心してお子様に見せられるカンジ。
・最初トイレで流される場面に危ないネタがチラリ。これってシュレックで見たやつだ。アンチディズニーのドリームワークス色。
・「~の大冒険」って邦題、そろそろやめませんか。

89.コープスブライド

ティム・バートンのコープスブライド 特別版 [DVD]

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・ティムバートンのストップモーションアニメ第2弾。
・概ね、ナイトメア・ビフォア・クリスマスの感じ。あのテイスト好きなら見とく価値あるけど、ミュージカル分少なめで曲も記憶に残らないので、ちょいと食い足りない。
・勘違いで話が進むいたたまれない感じ、もうやめませんか。
・死体花嫁がだんだん可愛く見ええてくるのはバートンマジック。
・ストップモーションなのに動きがすげぇ滑らか。滑らかすぎてCGに見えるくらいで、それって逆に損してないすか。

 

90.カウボーイ・ビバップ 天国の扉

COWBOY BEBOP 天国の扉 [DVD]

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・TV版が好きだった人向けの同窓会ってとこ。ファンにとって彼らの活躍が見れるのは素直に嬉しいものです。
・テーマとか人物の掘り下げが浅いし、映画としては不満あり。TVシリーズが素晴らしかった分、ハードル上がり切ってた感ありますか。
・アクションの作画はすごいよね。マクロスを思い出すよなドッグファイトシーンもあるよ!
・その握力ナニ?

 

91.戦場でワルツを 

戦場でワルツを 完全版 [DVD]

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レバノン内戦の虐殺事件に関するイスラエル製アニメ。ドキュメンタリー的な側面が強いです。
・報道の意味で、こういう作品が存在することは意義深いものです。映像作品としての娯楽性も確保しているので、結末まで魅せる力があります。
・アタシの生まれる前の話なので、そういう事件があったこと自体知りませんでした。事前に知ってた方がこの作品の意味を咀嚼できたのでしょう。これをきっかけに少し勉強しようと思ったので、まさに報道として機能している。

 

92.イヴの時間

「イヴの時間 劇場版」 [DVD]

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・アンドロイドの人間性ってテーマは、古くは「電気羊~」から「ちょびっツ」までいろいろあるもんだけど、新しい切り口で新鮮です。なんとも地味な視点に絞ったもんだ。
・小さなカフェの話。画面の変化が少ない分よくカメラが動くね。
・ここでは広げた風呂敷畳み切らずに終わってるんで、ぜひラストまで描き切って頂きたい!映画は風呂敷畳むのが難しいんだよ。このままやめるなんて反則!

93.思い出のマーニー

思い出のマーニー [DVD]
 

 ・ジブリだからって、ぜんぶ宮崎駿と比較するのはいい加減止めよう。ハヤオは実写含めても世界トップクラスの映画監督なんだから、それと比べて劣ってるって、そりゃ批判ですらないよ。アリエッティはハヤオもどきだからそんな感想も仕方ないど、今回はハヤオが絶対やらない映画になってるんだから、新しい才能がどうかって話をしようじゃないか。
・で、どうかというと、んー、やっぱ下手かなぁ。ストーリー構築のテクニック的には。でもこの映画の世界感については、観客がそこにいるような、そこに行きたくなるような空気を構築できるてると思う。アリエッティよりずっといいでしょ。
・頬赤くするのは性的すぎないか。そういうマンガ記号じゃなくて、表情や演技で表現せねば。
・背景美術は健在だなぁ。ジブリの剛腕。
・つーわけで、順位としては、この辺になるよね。。

 

94.アラジン

アラジン スペシャル・エディション [DVD]

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・「A Whole New World」のシーンがイイ曲+イイ画だから高得点。
・でも、高飛車なジャスミンや嘘で嘘を塗り固めるアラジンは、感情移入できるキャラクターじゃないよねぇ?

95.バグズ・ライフ

バグズ・ライフ [DVD]

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ピクサー映画2作目。
・ただ小さいということが世界の様相を一変させる、虫視点の世界の描写が見事です。乾いた土のひび割れは渓谷のよう、雨粒は衝撃を伴って叩き付けてくる。人間にとってはカワイイ小鳥も、虫から見れば恐竜のようだ!まぁ、鳥は恐竜の一種だけどな!
・デフォルメとはいえ、生物学的な適当さが気になる。アリの足4本かよとか、アリのオスには羽がとか。
・助っ人の中にカマキリいるじゃん。バッタくらいなんとかしろよ。

96.マクロスプラス MOVIE EDITION

マクロスプラス MOVIE EDITION [DVD]

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 ・4話構成のOVAを加筆しつつまとめて1本の映画にしたもの。監督は後にカウボーイ・ビバップも手掛ける渡辺信一郎さん。音楽で参加の菅野よう子さんはこれがアニメ初登板だったそうな。後の活躍は言わずもがな。
マクロスらしいドッグファイト描写はかっちょいいです。本家本元の板野サーカスが最高潮で噴出しております。これがCGじゃないって感動モンだよなぁ。世代として、古き良きアニメの風情で心地いい。
・コンピュータプログラムが人格を獲得して・・・ってくだりは、攻殻機動隊以降の作品としては踏み込みが浅いかなぁ。無人戦闘機の強さとか、せっかく起動したマクロスとか、もっと演出して欲しかった部分もありますがね。


97.バンパイアハンターD

・菊池秀行の伝奇小説のアニメ映画化。川尻善昭監督。「吸血鬼ハンターD」ってタイトルのOVAもあるけど、同原作シリーズを別途アニメ化した別物なので、混同注意。
・アニメ映画ばっかり集中的に漁ってると、そもそも自分ってそんなにアニメ好きだっけ?って思ったりもしたんですが。基本は映画全般好きだしね。でもそんなタイミングでこれを見て、いややっぱアニメ好きだったわ、と思った。元々僕が好きだったアニメってのは、こういうの。ケレン味抜群でアニメらしい映像がステキ。
・原作はシリーズでいっぱいあるんだから、映画もシリーズ化してくれたらよかったのに!

 

98.アーサー・クリスマスの大冒険

・「ウォレスとグルミット」で有名なアードマンスタジオの、ニッツ・パークじゃない人が作った3DCGアニメ。
・欧米アニメは、ドジが頑張る話が好きだな。キャラクター配置は既視感あるけど、安心はしますわな。
・サンタがどうやって1日で世界中にプレゼントを配るのかって、誰しも思うツッコミに、できるのだ!と真正面からのお答え。スパイものみたいな、ファンタジックかつコミカルな冒頭シーンはすごく魅力的です。
・でもサンタクロースの人格がイマイチだって話は、誰が喜ぶんだい?子供向けなのに子供に見せたくない論旨だな。

 

99.クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦

原恵一監督の「オトナ帝国」と並び称されるクレしん映画。泣ける泣けると評判。でも要は、たっぷり感情移入さたキャラを殺して観客泣かせる話。そりゃー悲しくなるけどさぁ、そんなできた仕掛けかい?とか思っちゃう。
・ホント、アタシこの人と趣味合わないんだと思う。いい映画だとは思うんです、ホント。でも冷めて見ちゃう感じ。
・予算の少ないルーチン映画でも爪痕残そうって意気がステキ。投石とか槍の使い方とか、合戦の描写すげー真面目。さすがに血は飛ばんがね。
・タイムスリップの説明放棄、豪快だな。このSFへの愛の無さ。
・刀と間違ったフィットネス器具をビヨンビヨンさすのは、笑った。

 

100.MEMORIES

MEMORIES [DVD]

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AKIRA以来久々の大友克洋監督作品!ってことで期待されての登場でしたが、盛り上がらないカンジに終わった。3話オムニバス映画。
大友克洋って人の大物たる所以は、漫画の表現技巧に革命を起こした所にあって、映画については案外平凡。AKIRAの映画は傑作だけど、それは傑作漫画をそのまま動画に起こしたから傑作ってこと。
・MEMORIESも大友原作の話に凄みはあるんだけど、映画として盛り上がりきらないカンジ。「大砲の街」の映像が技術面で凝ってるのは分かるんですが、アニメの妙所って、そこじゃないんだよねー・・。

 

前後の順位はリンクにて。 


tiltowait9.hatenablog.com

 

アニメ映画リスト 1~50

映画全般好きですが、長編アニメ映画に絞って好きなものをリスト化してみた。ルールは厳密には決めてないけど、60分以上くらいで、劇場公開の有無は拘らないカンジで。なお、TVシリーズからの派生モノは弱いんで単発モノ重視。あとディズニーも過半数が未見。
順位づけの基準は、映画としての完成度らしきものも考慮に入れつつ、結局は好き嫌いだ。だから、上位は宮崎&押井無双。次点でピクサー

 

1.天空の城 ラピュタ

天空の城ラピュタ [DVD]

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・アニメがアニメである価値は結局、絵が動くという単純な驚きに集約されるのだ。だからアニメは活劇をせねばならない。宮崎駿の描くアクションは大げさに躍動しまくる。もう永遠に見続けられるくらい、ただただ見てるだけで面白い。これこそがアニメの魅力じゃないか!
未来少年コナン直系の単純明快な活劇だけど、宮崎先生もこれでやり切ったと思ったのか、この後は似たような路線は作ってくれませんねぇ。
・ボーイミーツガールして、冒険して、憧れの場所に行って、世界の危機を救う。基本通りに見たいものを全部見せてくれて、でも陳腐ではない。寄り切りで勝つ横綱相撲は簡単そうで一番難しいモノ。ベタで楽しいラピュタこそ世界最強。と、思うの。
・陳腐なストーリーを魅力的な映画に化けさせる決め手は、世界描写。画面の向こうに世界をまるごと感じさせるだけの世界感の演出、これです。パズーの家、鉱山の町、高架の線路、地底迷路、軍の要塞、タイガーモス号、最後に極めつけなラピュタ。舞台の全てが、見る人に行ってみたいと思わせるじゃないですか。突き詰めればストーリーなんぞ小事であり、空想の世界を感じさせることこそが映画の存在意義だ。あの街に住んでみたい、ラピュタに行ってみたいと感じさせる没入感が確かにここにあり、これが映画の達成すべき最高のことではなかろーか。

 

機動警察パトレイバー2 TOKYO WAR

EMOTION the Best 機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD]

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パトレイバー劇場2作目、押井守監督のベストはこれだと思う。
・戦争とは、平和とは、を再定義して、現代の日本における戦争をシミュレーションする。戦争をモニターの外に追いやってしまった現代の日本人にとって、東京で戦争が起こるという現実は、あまりに衝撃的だ。それをどう日本人は受け止めるだろうか。今のところ起こる予定はないが、考えるべきことは多い。
・押井監督は企画を通すために、当時既にそこそこ人気のあったパトレイバーシリーズの新作という枠組みを使ったんだとか。パトレイバーの名を冠したことで確かに一定数の観客を確保できたが、一方でより多くの人に見られる機会を失ってしまった。その真価に比すれば、なお過小評価されている。
・技術的な素晴らしさは私ごときが言及するのもおこがましいですね。押井師匠がご自身で解説した名著「METHODS」を読みましょう。廃刊なので復刊ドットコムへGO。

 

もののけ姫

もののけ姫 [DVD]

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・この映画は自然破壊への警句。ただし、怒りに燃えた猪たちは人間どもに返り討ちに遭い、神殺しも成功する。物語の秩序を正すには、悪しき人間どもが負けねばならないのに勝ってしまう理不尽な顛末だが、それは現実に起こっている事だ。また神殺しを遂行するエボシ御前は、自然vs人間の構図では悪役だが、人間社会では徳政を成す善人である。安易な善悪の割り振りを拒否する多層的な構造によって娯楽映画としての快感は削がれるが、込められたメッセージはずしりと重い。
・ちなみに、ナウシカは物語の要請にすごく従順。王蟲の突進(=自然の怒り)の前に人々はただ許しを請い、そして許される。クシャナ殿下も悪役に徹している(原作では王道に目覚める徳のあるお方なのだが)。改めてもののけ姫と比較すると、安易ですらありますな。
・背景美術がすげえ好き。日本人の森に対する畏怖を掻き立てられる。じめじめとして触りたくない雰囲気、しかしそれが美しい。タタラ場の要塞感もステキ。宮崎駿の、魅力的な世界を空想する力…というより、実際にある(あった)世界を魅力的に再解釈して提示する力というのが、感動的に素晴らし過ぎる。それはいつも、誰もが求めていながらも今まで誰も表現していなかった世界観だ。

 

攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL

EMOTION the Best GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 [DVD]

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士郎正宗のカルトSF漫画を押井守監督で映画化したもの。スマートな映像センスと衒学嗜好とエロとメカ、これぞジャパニメーションの代名詞ですわ。ただし萌エ要素は皆無。
・TVアニメシリーズのStand Alone Complexとは関連しないことに注意。
・個人的にはこれが好きで好きでたまらない。中3の時に初めて見て、それから1週間くらいは連日通しで見直した。今でも、純粋な好き嫌いで言えば全ての映画の中でこれがベスト。SF設定の緻密さと、SF設定に密着したテーマと、映像のスタイリッシュさと。自分の興味にとって出会うべきものに、出会うべき時期にぴたりと出会えた幸運よ。
・状況説明が少なくて展開が速いので、映画慣れしてない人は見事に置いてかれる。付いていける側にすりゃ、この速さが心地いいんだよね。理解に必要な情報はちゃんと出尽くしてるんだし、甘えたこと言うんじゃないよ。

 

ルパン三世 カリオストロの城

・活劇を見せるって点では、ラピュタに並ぶ頂点。ラピュタよりちょいウソ寄りの、コミカルでマンガ的なアクション。車で垂直な崖を登ったり、水路の滝を平泳ぎで耐えたり、屋根をジャンプで渡ったり。空中を平泳ぎで推進するのは嘘過ぎるだろー、と突っ込むのがまた楽しい。
・スト-リーはTV版1stシリーズの第10話「偽札つくりつくを狙え!」を拡大したもの。後半に出てくる若きルパンのカリオストロ潜入回想シーンは、1stシリーズOPの再利用。公開のタイミングはTV版2ndシリーズ終了後。要は、過去ネタを利用することで最終回的な機能をさせようとしたのです。売れたせいで終わりませんでしたが、ね。
カリオストロは大公の治める国、つまり公国。でも大公夫妻が付け火っぽいので亡くなって、今は分家の伯爵家が仕切っている。クラリスは大公家の娘、悪役のカリ候が伯爵家。ちなみに爵位のおさらいをしておきますと、大公>公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵、です。
・ルパンといえども機関銃で撃てば当たるという、意外な所でリアル寄り。主人公だから当たらないなんて、そんなB級映画的なお約束は嫌いなのでしょう。うん、僕も嫌い。
・銭形がコメディリリーフのフリして有能で、これは理想的な立ち回り。後のルパンシリーズじゃ銭形はただのいじめられ役になってて、この風潮はキライだ。
・ちなみに、うちの車はFIAT500である。
・「あなたの心です」はクサふきんよりクサい。

 

紅の豚

紅の豚 [DVD]

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飛行艇というマイナーな乗り物を活躍させたいという、ギークの妄想を具現化した映画。20世紀初頭の発展途上な飛行機は、試行錯誤の様子が飛行機オタクにはたまらないそうで。この映画に出てくる飛行機も、エンジンの位置から数からバラバラ、翼の形もバラんバラん。オタクの世界が垣間見えます。
飛行艇の舞台となると、ある程度の必然でWW1後のイタリアになるワケで。豚は暗い時代を誤魔化すでもなくふてぶてしく生きてて、でも時々「いい奴は死んだ奴等さ」なんて悲しい台詞がぽろっと出てくる。時代背景がわかる齢になって、最近いいよ好き。
・水路から飛び立つときの水しぶき、でかすぎ。アニメならではのケレン味、大好き。
・主人公は不細工のふりしてるけど実は二枚目な中年オヤジで、マダムから美少女からモテモテってこりゃいよいよ中年の妄想全開であるな。

 

風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカ [DVD]
 

・真っ先に思い出されるのは、殺到する巨大ダンゴムシの群れとか、でろでろ溶けながらビームぶっぱなす巨神兵とか。映像的なインパクトが抜群。現代の目で見ると実は荒い仕上がりなんだけど、脳髄に焼き付くイメージを伝えるこの演出力
・あぁでもやっぱし、ユパ様の殺陣はもっと動いて欲しかったなぁ。
・ラストはナウシカちゃん王蟲に轢かれて絶対死んでるのに、ちゃっかり生き返るご都合主義。宮崎さんこういうの嫌いそうなのに。未完の大作を纏めるために苦心したってことだろか。こういうハッピーエンドにハッピー感じちゃう自分もいんだけどね。
・よく言われるけど、原作漫画は必読の事。

 

魔女の宅急便

魔女の宅急便 [DVD]

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・宮崎さんの活劇離れ大作戦。それでもやっぱり空は飛ぶ。
高山みなみ大活躍。二役するほど気に入られたのか。にしてはその後使われてないのは何なんだ。
・終盤飛べなくなる理由とか不明で強引だけど、魔女ならそんな事も有るのかもとか、なんか思っちゃうところがまたすごいところ。原作では初潮が原因ってちゃんとあるらしいよ。読んでないけど。
ユーミンの曲がかかるエンディングとか、曲の良さも相まってホンワカで泣きそうになる。泣くような話じゃないはずなんだが・・・

 

となりのトトロ

となりのトトロ [DVD]

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・日本人が思う田舎のイデア。田んぼと、立派な木と、なんか変なのが居そうな予感。現実に見た景色以上に、トトロの景色が理想の田舎として脳裏に焼き付いている。
・風ひとつを取っても、稲穂の動きが近づいてくる様子、木の葉の擦れる音、体に当たる感触、もしかしたら運ばれてくる匂いまで感じるかのような。圧倒的な演出力、宮崎駿の鋭敏な感受性を視覚化した映像は、まさに映画演出の理想形とすら思うのですが。
・以前、「よつばと!」がアニメ化されない理由について、作者のあずまきよひこ氏がブログで説明していたのを読んだ。「幼児の日常を描く話なのだから、不器用な仕草ひとつひとつを丁寧に描写する必要があって、アニメでそれをやるのはしんどい」てな旨だったが、トトロはそれを地でやってるよね。ストーリー上は不要なメイのしぐさひとつひとつが子細に描かれている。むしろストーリーは映画を成立させるための道具であって、細部の描写こそが目的なのだ。
・あと口の描写が凄い。あの歯茎むき出しの咆哮、キモさと紙一重だけど、あれこそがキャラクターに命を吹き込む鬼手。かわいい中トトロも葉っぱ飲み込むがぶー。美少女サツキもキュウリがぶー。
・でも、見た当時に現役で子供をやってた僕には、この作品は好きになり切れなかったんだよね。親達が思わず目を細める子供たちの子供っぽさ、そりゃー親には微笑ましかろうが、子供はそんな風に見られたいとは思ってない。そんな大人と子供の温度差を感じたのだ。そういう男子は多いんじゃないの?
・父親になった今見れば、あんな優しくて無邪気な男になりたいという感想も強い。

 

10うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [DVD]

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うる星やつら劇場版第2作、監督は第1弾に引き続き押井守。押井監督がやりたいことやりまくった結果こうなった。現実が虚構に浸食される話をコメディータッチでやってるが、あんな混沌を笑って受け入れる狂気は、逆に恐い。
・押井なんて知らなかったガキの頃に初めて見たけど、浮世離れした世界感に飲まれて朦朧としてしまったのを覚えてる。今見ても、何度見てもまだ飲まれる。傑作です。
・この押井臭がエンターテインメント性と両立されたのは氏の長い経歴の中でも片手の指で足りる程の回数しかないですが、ビューティフルドリーマーは貴重なその中のひとつ。ゼロから全部押井の手に掛かるとビーストモード入って意味わかんないのが出来上がるから、こんなふうに他人の原作でやった方がタガに嵌っていい。
・って押井ファンには良くても、うる星ファンの求める内容じゃないので評価は割れますわナ。当然俺は好き派。Love派。

 

11.WALL・E

ウォーリー [DVD]

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ピクサーアニメーションスタジオの9作目。ピクサーはディズニーの子会社。でもディズニー本体の作る作品とは桁違いにレベル高いんで、分けて考えた方が良いです。
・日本のアニメ好きにはアメリカ産CGアニメに拒否反応ある人多い。もったいないですよ。斯く言う自分もかつてはそうでしたが、食べてみたら超美味しかった。食わず嫌いでしたねぇ。
ピクサーは、可愛くないデザインのキャラを可愛く見せる。ポンコツロボットが冒頭10分で愛おしくすらなるですよ。(ゴキブリまで!)。これ明らかに、外見や偏見に囚われるなって思想の産物。日本の量産アニメみたいに、可愛いデザインに可愛い声ださせりゃ簡単だろうに、この映画ときたらあのバタ臭いデザインで、しかも喋らないと来たもんだ。自分で勝手に難易度VERY HARDに設定して、パーフェクトでクリアしてやがる!!驚異の演出力やでぇ。
・700年ごみ処理し続けてたって設定はちょっと切な過ぎて笑えない。火の鳥未来編のトラウマがフラッシュバック。こんな可哀想な設定作ったやつは悪いやつだ。いや、そのくらい感情移入しちゃったってことなんですが。

 

12.千と千尋の神隠し

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・今どき、ファンタジーを作るのは大変だ。世慣れた視聴者には動物が喋るなんて当たり前だし、奇天烈な生き物をデザインしたところで驚きゃしない。それでもこの映画は、違う世界に紛れ込んでしまった、って驚きを確かに感じさせてくれる。誰も観たこともない世界を構築して、体感させてくれる、これって本当にすごいことだよね。湯屋の建物や客の一人一人、細部まで満ち渡る想像力に驚嘆するばかりです。
・ストーリーは正直粗い。千尋湯屋にほりこまれる理由は理不尽だし、もう1~2回接客イベントがあった方が千尋の成長を表現できるし、クライマックスもぼやっとしてる。でも、感情的にとにかく納得させる剛腕な演出力があって、まぁ映画で大事なのはそっちの方だよね、という感じなのです。ともかく凄い映画なのだ、これは。
・スト-リーの因果関係の粗さは後期宮崎アニメの特徴ですが、千と千尋の場合は理屈の通らなさが異世界な臨場感にも思えるので、悪いばかりでもないです。ストーリーってのも基本は理詰めで作るもんであって、実は自由度の少ないものなんですよね。宮崎氏はそういう閉塞感を突破したいんじゃないかと思う。
・ハクの正体が凄くイイ。神道の発想ですよね、そういうのに人格を想定するのって。千尋が現実世界に戻っても(映画を見終わっても)異世界をすぐそばに感じるような余韻を残してくれますね。

 

13.風立ちぬ

風立ちぬ [DVD]

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・戦争とか病気とか、人間生きてりゃ理不尽なことは一杯起こる。宮崎さん近作の、物語のつじつまを放棄する傾向はそんなことを考えてたからだろうし、じゃあ人の伝記を描くのが一番今の作風に合うワケだ。人生ってのは理不尽だらけだけど、それでも今の自分を可能な限り生きる様はともかく感動的だ。
・思うところは山程あるだろうけど、敢えて多くを語らず背中を見せるだけ。宮崎駿、漢だねぇ。
・絵柄はリアル系なようで、動きのダイナミズムはなんともデフォルメのきいたもの。アニメーションの語源のとおり、命を吹き込まれた絵が躍動しています。静止画ですら、なにかしら躍動しています。宮崎氏の表現技法は未だ衰えることなく、むしろ進化を続けているのです。ホント、感動する。
・映画によって訴えたい事は、やっぱり年取ったなりに深遠なことなわけで、つまりエンタテイメントから離れていくんですよね。ラピュタとかのように多数派を楽しませる内容ではないですが、大人がゆっくりと鑑賞するべき、素晴らしい映画であります。

 

14.AKIRA

AKIRA 〈DTS sound edition〉 [DVD]

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サブカル臭が強くってもはや褒めるのが恥ずかしいですが、やっぱり重要な国産硬派SFの金字塔。監督は原作漫画の作者でもある大友克洋
・ガキん時に見て、正直全然意味わかんなかったけど、なんか褒めないといけない気になった。でもやっぱ心から感動したわけじゃないんだよね。感動しないといけないような気分に襲われただけで。それ以来、感動しそびれたまま今に至る。多少理解できるようになった頃には、攻殻機動隊の方にハマってたし。出会うべきタイミングで出会えなかった作品。傑作なのは間違いないんだが。
・体育の先生の「指導ォ!」は、もっときっちり描写して欲しかった。原作内でも屈指のギャグ。

 

15.東京ゴッドファーザーズ

東京ゴッドファーザーズ [DVD]

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今敏さんの監督3作目。
・おっさんとオカマのおっさんと家出娘が、捨て子を拾っていろんな偶然に右往左往する話。あらすじ聞いても絵柄見ても全然見る気しないのに、イザ見始めたら面白いんだわこれ。
・偶然が人生にもたらす影響は甚大だ。人は運命とか奇跡なんて言葉で意味を持たせようとするが、結局偶然は偶然に過ぎず意味はない。大事な人生が意味もなく左右されるのは理不尽で受け入れ難いが、残念ながら人生はそんなもんだ。
・偶然に右往左往する3人は滑稽で、切ない。まあ今回は奇跡だったって事にしときましょうか。クリスマスだもんな。

 

16.カールじいさんの空飛ぶ家

カールじいさんの空飛ぶ家 [DVD]

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・円熟のピクサー10作目。
・ともかく冒頭のじいさんの半生が涙を誘う。誘いすぎる。ここで感動がピーク叩いちゃってるんで、その後のストーリーが蛇足にすら思える。・・・が、ここから先がまた面白い。滝に向かうための冒険かと思いきや、滝付近にはわりとあっさり辿り着いて、そこからじーさんがどう振舞うかが本題だった。
・じいさんが家や滝に執着するのは十分すぎる理由がある。冒頭のアレで観客までエリーの思い出に執着してるのに、今守るべきものを見失うなと来るんだもんなぁ。複雑なテーマを選んだもんだよ。どんだけ大人の視点なんだ。
・風船がひとつなくなる度に感じる小さな喪失感。それは過去への執着。なんだこの表現力。

 

17.トイ・ストーリー

トイ・ストーリー スペシャル・エディション [DVD]

トイ・ストーリー スペシャル・エディション [DVD]

 

ピクサー映画第1作。伝説のはじまり。
・本来僕ぁアメリカ産CGアニメはあんま好きじゃなくて、日本産アニメの方が圧倒的に面白くあって欲しかったんだけど。現実は違って、最近のアメリカ産には完成度パないのが少なくない。ピクサー作品は特に別格で、その代表作たるトイストーリーともなれば、アニメに限らず映画一般が好きなら絶対見とかないといけないくらいの傑作なわけです。
・必要十分の説明で話が解り易くて、かつ展開のテンポがいいので、見てて退屈しない。というかずっと楽しい。この脚本の洗練され具合は、ピクサー作品ほとんどに共通する神業で、処女作たるこのトイストーリーでも既に完璧。
・とはいえ、PTAご推薦な優等生感はやっぱ苦手。足りてないのはバトルとSFと毒気。えっ、いらない?

 

18.ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

・3つの短編で人気を博したストップモーション・アニメウォレスとグルミット」シリーズ、満を持しての長編化。
・アニメの魅力は、普通は動かないものが動くということ。でもやっぱり、絵が動くくらいなら僕らもう慣れちゃってるんだよね。でも人形が動くとなれば、その根源的な魅力がまっすぐ飛び込んでくる。ひたすら目を楽しませる人形の一挙手一投足。
・一方、話はすげーしょーもない。しょーもないってもこれは手抜きじゃなくて、脚本を練りに練って贅肉を極限までそぎ落とした姿だ。この研ぎ澄まされたしょーもなさがグルミットシリーズの魅力なのだから、長編で話を膨らませるのは体質的に向いてないと思う。野菜畑も十分面白いんだけど、前に出てた短編はもっともっと凄かったじゃん。もうクラクラと目が回るほど。
・最近はひつじのショーンとかのTV連載を主戦場にしてて、長編にはあまり手を出さないご様子。長編不向きと見た僕の見立ては、製作者と意見あってるのかな?

 

19.人狼

EMOTION the Best 人狼 JIN-ROH [DVD]

EMOTION the Best 人狼 JIN-ROH [DVD]

 

・原作&脚本は押井守。監督は弟子の沖浦さん。
・元々は、漫画「犬狼伝説」を総括する映画を作る企画だったものと思われる。しかし制作が押井の手を離れたことで、そのクライマックスたるべきケルベロス騒乱に全く触れられないという事態に。
・だから、冒頭に言われる「新たな、そして最終的な役割」ってのは、劇中に描かれてません。オイ!
・アニメではなく映画と呼びたい作品で、アニメを目的としたアニメ群とは世界が違う。日本映画らしい丁寧さ(≒展開の遅さ)があって、悪く言えば冗長だけど、だからこそ結末には感情を揺さぶられずには居れない。途中ダレてもちゃんと見ろ。
・嘘だらけの二人、でも伏が圭を想ったこと、圭が伏を想ったこと、それだけは本物だった。悲しいねぇ。

 

20.トイ・ストーリー

トイ・ストーリー3 [DVD]

トイ・ストーリー3 [DVD]

 

・その名の通りトイストーリー3作目、ピクサー映画としては11作目。
ピクサーって、子供向けのフリをして、実は「昔子供だった大人」が真のターゲット。おもちゃが生きてるって設定、子供の時に見てたらこんなに面白い映画は無かったんじゃないかってくらいだけど、おもちゃの目線は、まさに子供を観察する大人の目線であって、子供の気持ちに同調するようにはできてないよね。
・3まで時が進んでついに、かつて子供だったアンディが大人になった。2でも語られた「いつか来る時」がついに来た。役目を終えたおもちゃたちは、ついに捨てられてしまうのか・・・ウワァン僕もう捨てちゃったYO!こんなの見てたら捨てれなかったYO!危ない危ない。
・こんな凝ったテーマを破綻なくストーリーに絡ませる脚本力は、マジありえない。

 

21.イノセンス

イノセンス スタンダード版 [DVD]

イノセンス スタンダード版 [DVD]

 

・押井がついに金と人員を好き放題使った、「攻殻機動隊」続編。果たして、出来上がった映像は正に鬼気迫る仕上がりとなった。かれこれ10年経った今に至るまで、これほどの映像は見たことがない。ジブリもディズニーも目じゃないぜ。
・ここで言う映像がスゴイってのは、単に金掛かってんなぁ、描き込み細かいなぁ、ってだけじゃなくて。画面の向こうに世界が丸々ひとつ広がってるかのように感じさせる映像だって事。それはつまり押井師匠が常々「映画的な映像」と呼ぶもの。
・しかしスト―リーが小さい。さあアニメ見ましョって人がまるで期待してない種類の映画だから、これは嫌われるよね。多数からつまらないと評されているのも致し方ないところかと。
・ところがこれは、これこそが、押井師匠の思う「映画のあるべき姿」をかなり体現した映画なのですな。映画の提示すべきものはまず世界観。映画内にある別世界の空気の描写こそが第一。氏の著作など読んで思想が理解できてくると、その考えは至極妥当なものに思えてくるし、その思想を具現化したようなイノセンスは素晴らしい映画だったような気がしてくるのです。毒されてるだけ??

 

22.ベルヴィル・ランデブー

ベルヴィル・ランデブー [DVD]

ベルヴィル・ランデブー [DVD]

 

おフランス産のアート感覚なアニメ。監督はシルヴァン・ショメさん。
・歪なデフォルメ絵には驚愕。こんなデフォルメ絵に対抗できるの、国産ではトリスおじさんくらいだな!まさに実写には絶対できない映像体験、アニメの価値を使い倒してる。すごいすごい。
・映像と音楽のシンクロに感心、セリフなしで語り切る演出力に驚嘆。これだけ才気が迸る映画、そうはお目にかかれません。
・ここまできたらストーリーなんてどうだっていいんだよ!
・オススメにこれ挙げたら映画ツウって顔ができそうなので、とりあえず見て自慢しよう。

 

23.機動警察パトレイバー 劇場版

EMOTION the Best 機動警察パトレイバー 劇場版 [DVD]

EMOTION the Best 機動警察パトレイバー 劇場版 [DVD]

 

押井守監督、人気シリーズの劇場版1作目。
・押井さん、この前にルパンの映画作りかけて趣味的にしすぎてポシャったそうで、その教訓からか本作では自制気味なご様子。シリーズのファンに手堅く応える努力を感じる。押井師匠にしてはこぢんまりだけど、キレイにまとまった映画と思いますです。
・それでも、古い街が復讐するなんてコンセプトで、主役がノアで舞台が方舟で犯人がエホバってんだから。ホントはもっと衒学的にしたかった感がアリアリ。

 

24.時をかける少女

時をかける少女 通常版 [DVD]

時をかける少女 通常版 [DVD]

 

・当時まだマイナーだった細田守監督の出世作。クチコミでじわじわ評判が広がった。非オタク層にアピールできる内容で、宮崎駿の後継を狙える逸材か!?と期待された。(当時は・・・)
・恋愛モノには興味ない無粋な僕でも、ちょいと切ない気分になっちまったよ。。
・未来人、現代人に告ってどうする気だったんだ?
・このタイトル、完全にツツイの手は離れたねぇ。あんなホドホドな中編小説がよくもここまで深堀りされたもんでありますよ。

 

25.耳をすませば

耳をすませば [DVD]

耳をすませば [DVD]

 

近藤喜文監督。ジブリの若手育成大作戦だったんだが、近藤氏はこの作品を残して夭折してしまう。その後、後継者不足の惨状は御存じのとおり。
・エも言われぬ焦燥感を駆り立てる、中学・高校生へのエール。自分の将来のために何かをせねばならい。恋愛もせねばならない。強烈。
・若者は観るべきだ。見て焦燥感を駆り立てられるべきだ。青春を焦って過ごすのだ。
・まーまーの職にありついて結婚もした僕だが、今でもこれを見ると落ち着かないものを感じてしまう。現実には、ココに描かれる程の何かを見つける人は少ないのだ。持たざるものに見せるのは、残酷ですらある。
・なおラストシーンは小っ恥ずかしくて悶絶。

 

26.レミーのおいしいレストラン

レミーのおいしいレストラン [DVD]

レミーのおいしいレストラン [DVD]

 

ピクサー8作目。子供向けに見えて大人の深い思慮を宿した、超高品質な映画。
・ネズミに着目したセンスって、WALL・Eでゴキブリをキャラにしたセンスと同じ。さらには、巨大ダンゴムシを神聖視したナウシカのセンスと同じ。つまり偏見や外見で命の価値を判断するなってこと。広く解釈すれば、これは差別の話だ。アメリカは黒人差別がリアルな問題だから、その辺を見据えてるのかな?
・チクリとトゲの残る結末は大人向けの味。ピクサーはファンタジーを作っても現実的で、地に足が着いている。
・動物種が違えば必要な栄養素が違うので快感を感じる味覚パターンも違うはず…などと余計な理系思考をしてしまうのは良くない癖。
・ちなみに原題は「Ratatouille(ラタトゥユ)」。いくら日本でなじみのない料理だからって、この野暮ったい邦題は・・・

 

27.ヒックとドラゴン

アメリカ3DCGアニメ界におけるピクサーの対抗馬、ドリームワークス作品。
・ドラゴンに乗って飛び回るってそりゃオトコノコ幻想盛り上がるわ。ドラゴンに生物学的な分類がついてるあたりがまた、夢が広がるっすね。
・ナイトフューリーのデザインちょっとドラゴンらしくないけど、カワイカッコイイ。
・最後の決着のつけ方は、作り手の覚悟を感じる。そう、それでやっとあいこだ。
・確かに戦争中の2国が争いをやめて協力し合うには、共通の敵を持つことが近道。でも現実にはその第3国にも人格があって、安易に滅ぼしてよい対象ではない。つまりファンタジーにのみ許された解決策であることに注意。現実では標的となった第3国も抗戦するし、争いが長期化すればやっと同盟を組んだ2国間にも裏切りの気配が立ち込め三つ巴となり、戦乱はいよいよ泥沼化する。

 

28.ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]
 

エヴァ新劇場版の第2作。ぼくらのエヴァが帰ってきた。素晴らしいアクションシーンと、吐き気を催すような悪意を満載して。
・魅せる動画を作る、ってことに掛けては相当意図があったようで。TV版を大枠なぞってるけど、超ダイナミックになったバトルシーンが熱い。VSイスラフェルで走るところとか特に。
・中盤までの日常シーン、アスカもレイもイイ子になっててほのぼの度倍増。でも、日常をイイものに描くのは、日常がぶち壊しになる終盤を胸糞悪く感じさせてやろうと目論んでのこと。この悪意を喰らえ。

 

29.塔の上のラプンツェル

塔の上のラプンツェル [DVD]

塔の上のラプンツェル [DVD]

 

・最近はディズニーアニメーションスタジオからも、ピクサーに勝るとも劣らない作品が出るようになった。ラセターさんの影響力は斯くも偉大であるか。「ボルト」がまさにピクサーって感じだったのに対して、こちらはディズニー伝統のお姫様モノをピクサー並みの脚本力でやってくれました。
ティモテティモテ
ラプンツェルはいい子に育ってよかったなぁ。だってあの条件で育ったら、奇子だよねえ!

 

30.アナと雪の女王

・で、異様に売れたこれ。
・文句なく面白い映画だけど、このアタリっぷりは…。商業的成功ってのは、微妙なことで差がつくのであるなぁ。僕は僅差でラプンツェルの方が好き。
・有名なレリゴーは、現実逃避の歌なのな。
・印象に残る曲が多いのは、ミュージカルとしては大きなアドバンテージ。少々ストーリー構成が粗いけど、そんなこともうどうでもいいのサ。
・氷の城が生える動き、超カコイイ。
・いい加減メディアの取り上げ具合がウザイですけどね。レリゴーも聞き飽きたし。でも、そんなことで作品まで嫌うとしたら、もったいない話なのです。

 

31.火垂るの墓

火垂るの墓 完全保存版 [DVD]

火垂るの墓 完全保存版 [DVD]

 

・トラウマ映画。存在価値としてはトップ10に入れないといけない義務感を感じるけど、もう見たくないっす。高畑さんに監督にさせるとこうなんだよ!
・やっぱ兄貴が我慢すれば良かったと思います。
サクマドロップス火垂るの墓デザインで売ってるけど、あれはやめてほしい。

 

32.スカイ・クロラ

スカイ・クロラ [DVD]

スカイ・クロラ [DVD]

 

森博嗣原作の小説を、押井守監督が劇場アニメ化。現時点で、押井がまともに作った最後の映画。
・飛行機の機動とか薬莢ばら撒きとか、ドッグファイトの描写がすごい。こと映像面に関しては、イノセンスの狂気じみた動画は今なお語り草だし、あれに追随できるのは同チームの作ったこのスカイ・クロラしかない。
・ストーリーも、イノセンスは若干アレだったけど、今回は森博嗣の傑作小説に沿って作ってるんだから文句なし…ではあるのだが。じゃあ全体で見て最高の映画なんかと言うと不思議とそうも言い切れないところがあって、映像と物語がなんか調和してない。
・映像派の急先鋒たる押井が珍しくストーリを語る映画を作ったけど、結局あんた映像がやりたいんでしょ、な感がミエミエ。作り手がストーリーに感情移入してないのが、ちぐはぐさの原因かと。
・押井師匠は相当自分を抑えて作ったとのことで、後でディレクターズカットを作らしてもらう約束があるんだとか。待ってます。

 

33.フランケンウィニー

・「コラライン」「フランケンウィニー」「パラノーマン」と、ホラー調のストップモーションアニメが同時期に立て続けにでた。どれも優秀で、製作者の個性の違いがでてて面白い。
・こちら「フランケンウィニー」はそのテの路線では大御所、ティム・バートンの作品。不気味な中にも上品さがあって、この人の芸術性の高さってやっぱスゴイ。
・色んなもののオマージュがあるみたいだけど、自分ホラーには造詣浅くて拾いきれないっす。
・むこうでガメラって知られてんだろか。あれゴジラのつもりなのかなぁ。バートンはオタクだっていうし、やっぱガメラかなぁ。

 

34.コララインとボタンの魔女

コララインとボタンの魔女 スタンダード・エディション [DVD]

コララインとボタンの魔女 スタンダード・エディション [DVD]

 

・かの有名な「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の監督ヘンリー・セリックの新作。ナイトメア~は世間的にティム・バートン作品って言われるけど、監督は違うぞ、ヘンリー・セリックさんだぞ。いまいちチメイド低い、かわいそうなヘンリー。で、そのヘンリーさんがバートンなしで撮ったこの作品は・・・全然いいじゃない。
バートンに似てるけど、もっときっちりホラー。カワイクて、グロテクスクで、なんて魅力的な世界観。ストップモーション・アニメの造形は歪なくらいが味があっていいよね。
・表情の豊かさが凄まじい。コレってつまり表情の数だけ人形作ったってことでしょ?ばかなの!?
・あっそうか!ナイトメア~は表情が動かせないからガイコツだったのか!エウレカ!!

 

35.パラノーマン ブライスホローの謎

・「コラライン」の動画を作ったライカ・エンターテイメントの作品。バートンもセリックもなしで撮ったこの作品は・・・やっぱりいいじゃない。
ストップモーションアニメはホラーにしないといけない申し合わせでもあるのか?
・ノーマン君の内向的で優しい世界の見方が好きです。そういう優しさで解決するのは素朴過ぎるけど、そういう風に話を作った人の性格とかすげー好きです。
・技術面での向上が感動的なレベル。いや技術と言うか、根性。コララインからさらに表情の豊かさが増してるじゃないか。ばかだね!

 

36.モンスターズ・インク

モンスターズ・インク [DVD]

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ピクサー映画4作目。相変わらず隙のない映画。断片的な妄想をまとまった世界観とストーリーに仕立て上げる手腕は、まさに脱帽であります。
・日本の子供にとっては、夜の寝室に居そうなのはオバケであってモンスターじゃないのだよ。そこんとこの感覚の違いに気付くまで何の話をしてるのか分からなかった。
・つまり、メタリカの「Enter the sandman」だよね!
ピクサーには子供を言葉が通じなくて手に負えないものと描く癖があって、つまり完全に大人目線なんだよね。このモンスターズ・インクでも感情移入するよう仕向けられてるのは子供じゃなくて毛むくじゃら(=大人)の方。これはもうピクサー全作品で一貫してることで、要はどれも子供向けに見えて実は大人向けの映画なのだ。つーか子供目線で見て、この子供の扱いって納得できるんだろか??

 

37.モンスターズ・ユニバーシティ

ピクサー映画14作目。前作メリダ、前々作カーズ2と立て続けに低調だったけど、華麗に復活。
・どんなに努力しても、どうにもならない事もある、という話。ひどい話だ。でもそれが現実。変えようのない自分は受け入れて、自分の出来る事を頑張るしかない。それで開く道もある。
・「夢を諦めない」だとか「努力すれば報われる」だとか安易に言わない。子供向きに見せかけてこの思慮深さはどうだい。この内容をポジティブに描く脚本力もすさまじい。
・インクに比べると、エンタテイメントとしては盛り上がりに欠けるでしょうか。それでも、メッセージの深さやそれを描写する手管の繊細さを咀嚼できる受け手にとっては、傑作と呼ぶべき作品になるでしょう。

 

38.イリュージョニスト

イリュージョニスト [DVD]

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ベルヴィル・ランデブーの監督シルヴァン・ショメさんの長編アニメ第2作。
・デフォルメは前作より控えめにしつつも目をひく表現がいっぱい。インパクト頼りじゃない、洗練された映像表現スバラシ。
・若さゆえの思慮のなさを美化しない。うん、若さってつまりそんなんだよね。でもじいちゃんはそれを否定しない。うらみ言も言わない。
・いいこと起こんない映画だなぁ!でもずっと心に残る、時折ふと見返したくなる、そんな映画。

 

39.涼宮ハルヒの消失

涼宮ハルヒの消失 限定版 [DVD]

涼宮ハルヒの消失 限定版 [DVD]

 

・あたしは中途半端なオタクなので、あんまり萌エ要素強いアニメはちょいと引くんです。ハルヒなんか典型で、案外といいSFではあるけど、結局そんなことよりカワイイ女の子がわちゃわちゃしてるのが人気の秘訣なんだよ引くわー、とか思っちゃいます。
・とか言いつつ見てんだけどね。すごく繊細&大げな演出してるので、なかなか侮れませんです。はい。さっきも言ったけど、ストーリーの骨子は結構パンチの効いたSFです。侮るなかれ。
・これ自体は良作なんだけど、このためにTVシリーズをエンドレスエイトで水増ししたよね。消失を2期に組み込んでれば、人気は維持できたと思います。

 

40.秒速5センチメートル

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

 

・若いオタクに大人気、新海誠監督の代表作。
・友達も恋人も、住む場所が離れて別々の時間を5年10年と過ごせば当時とは違う人間になっていくし、かつての関係性を維持してゆくのは難しい。それは薄情とかじゃなくて、当然のことなんだよね。切ないお話だけど。そういうことを肯定的に描いてるのは、逆に救われる思いがあります。
・思い返すと、「耳をすませば」は中学生の分際で婚約した。彼らはあの時点で超真剣でも、これから遠恋になってどうなることやら。ハッピーな瞬間で語り終えてしまう、それ自体がフィクションなんだよね。
・まぁ、この映画全体としては、男子中学生レベルの妄想全開なんでこの齢になると引く。
・背景が恐ろしく綺麗。世界を美しく描こうという妄執、これは見事な作家性だ。種子島にロケットの打ち上げ見に行きたくなるもん、これ。
・モノローグに表現を投げてるのは普通なら減点だけど、ここまでやればもう個性かな?

 

41.あしたのジョー

あしたのジョー2【劇場版】 [DVD]

あしたのジョー2【劇場版】 [DVD]

 

あしたのジョー劇場2作目。力石戦後~世界タイトル挑戦を描く。無敵のチャンピオン、ホセ・メンドーサに挑む展開が震える程カッチョイイ。
・作戦も何もなく、勝利すら目的ではなく、ただ燃えて燃えて燃え尽きるために闘うジョー。壊れてしまったカーロスを前に、それが自分の未来だと知ってなお逡巡もせず戦う様は、もはや破滅的で、怖い。この梶原一騎というメンタリティは今となっては冗談だけど、戦争が今ほど遠くなくて、何かに命を懸けるってことが本当に想像できた時代の理想だったのでしょうか。
・力石戦までの総集編に徹した劇場1作目に比べても、この2作目の方が思想とストーリーの関連が強力で、鬼気迫るものがあります。汗臭い出崎演出も円熟の域。
・シリーズのいちファンとして、カーロス戦にもっと時間を割いて欲しかったけどね。ホセ戦に焦点を合わせた構成なので、致し方なしでしょうか。

 

42.機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [DVD]

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [DVD]

 

・個人的には、ガンダム関連にあまり思い入れ無いんですけどne。地球を粛正するってのも話が極端すぎてリアリティ感じないっつーか。シリーズちゃんと見てれば違うのかな?
・シャアは結局アムロとタイマンしたいだけ。なんじゃそれだけど、人の本当の動機はその程度だったりするもの。悪くない。
・映画の合理性ではなくて、腹から出てくる感情が台詞になってる、この辺が富野節であるな。ムカつくガキ達の発言は妙に生々しい。アムロとシャアの会話は哲学的なようでやっぱ無茶苦茶。
・押井師匠はこれが好きなのだそうで、良さのいまいち分かってない僕は、まだまだなのかもしれません。

 

43.レゴムービー

・レゴがレゴでレゴの中をレゴのために大冒険するレゴCGアニメ。キャラだけじゃなく背景もレゴ。水滴もレーザーも爆発も全部レゴ。監督は「くもりときどきミートボール」のフィル・ロードクリストファー・ミラーだよレゴ。やや知名度低いですが、傑作です。割と、マジで。
ストップモーション風だけどCGだよ!
・間抜けな絵面だけど、語られてるテーマは何気に深刻。平凡な自分が天才たちに囲まれて、自分の平凡さを突き付けられて、じゃあ自分に何ができるのかと悩む主人公。顔のパーツが基本形だから、敵方から「顔が一般的すぎて特定できません!」なんて言われる始末。
・終盤明かされる、レゴ世界の真相については、わりとマジで感動した。そーなんだよ、オトナの遊びってこういう間違いを起こしがちなんだよ。そうだ子供出来たらレゴ買ってやろ。

 

44.PERFECT BLUE

PERFECT BLUE [DVD]

PERFECT BLUE [DVD]

 

今敏初監督作品。
・アニメで敢えてサイコホラー。ちょーコワイ。アニメでリアル系統やって、実写以上に怖がらせるんだから大したもんです。
・現実と妄想が入り混じる終盤はもう、見てる側まで朦朧としてくる。この手は今さんしょっちゅうやるけど、一番決まってるのはこのPerfect Blueのときだな。
・優秀だけど、コワイから2度と見ない。

 

45.Mr.インクレディブル

Mr.インクレディブル [DVD]

Mr.インクレディブル [DVD]

 

・珍しくバトルもののピクサー映画6作目。
ウォッチメンかと思ったらサザエさんだった。ヒーロー批判はアメコミでは流行りネタだけど、そろそろ一周してるから深追いは回避したのでしょう。
・いいアクションっぷりです。それぞれが特殊能力を生かして力を合わせる展開はやっぱ燃えますわ。見せ場分配のうまさはさすがのピクサー。オマケのフロズンも意外に活躍。
・アメ製アニメでちゃんとバトルやるのは珍しいけど、黒幕を殴らずに偶発事故でケリつけるあたりは、しょせん、って感じ。ぶしゃっといかんかい。

 

46.シュガー・ラッシュ

トイストーリーと同路線の発想でいかにもピクサーっぽいけど、ディズニーアニメーションスタジオ製。
・ゲームキャラも僕らの見てないところで生きてて、彼らなりにドラマがあるって設定が、どうしても魅力的なんだナ。最初この映画のプロモーションみたとき、ちょっと好きになれない気がしたんだけど、あれって今の子供への嫉妬だったんだなぁ。自分が子供の時にこれをやってくれたら、超嬉しかったと思う。ガキども羨ましい。
・マンションのやつらに一杯食らわせるシーンは欲しかったなあ。あいつらムカツクまま終わっちゃった。

 

47.ハウルの動く城

ハウルの動く城 [DVD]

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・物語の因果関係が釣り合わない後期宮崎アニメ。「千と千尋」でも相当やってたけど、ハウルはいよいよ変。もー伏線もクソもない。とっ散らかっちゃってる。たぶん、宮崎さんは予定調和に飽きて、ストーリーの方法論なんか無視したいんだろう。
・城の登場シーン、がよんがよん歩く動きが超イカス。足が不釣合いに細いデザイン、狙いましたねー
・城内部の描写される場所が少ない。だからスケール感不足に感じる。宮崎アニメの建築って、いつももっと魅力的だったジャン。ラピュタとか湯屋とか。
・この企画、細田監督で作りかけて一度頓挫したとかで、出来上がるまでにゴタゴタしたらしい。作りの甘さはそのへんが遠因なんだろか。

 

48.崖の上のポニョ

崖の上のポニョ [DVD]

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・地球滅亡クラスの天変地異が起こってるのに、ポニョが人間になれるかの方が大事みたいに話が進む。原因と結果の重みが全然釣り合ってないこの違和感。「千と千尋」で大概、「ハウル」でもやり過ぎだったのに、こりゃ輪を掛けてひどいな!思考回路が常人離れしすぎてて、もうようわからんですたい。
・そんななのに最後まで楽しめるように仕上がってるのは、動画作りの地力の違い。キャラクターだけでなく背景までも生き物のように躍動する画面、隅々にまで命が宿ったかのよう。これぞアニメーション!
・素晴らしい映像と意味不明なストーリーの組み合わせ、どっちを重視するかで評価はまっぷたつ。世間的にはストーリー重視派が多いから不評だけど、そんなことないよ、と言いたい。すごいところはすごくすごい。

 

49.クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

・泣けると評判のクレしん映画。原恵一監督。
・高速人生フラッシュバックは基本感動的なんだよなぁ。「カールじいさんの空飛ぶ家」とか。「つみきのいえ」とか。ひきょうや。
・「俺の人生は、つまらなくなんかない!」平凡なサラリーマンが言うのは価値がある。そうだ、結婚して子供できて平和な家庭を築くのは、つまらないことじゃないんだ。それはサイコーなことで、たくさんの人がサイコーな人生をしてるって事なんだ。
・泣ける泣けるって言われ過ぎてちょっとキライ。作り手側も泣かしてやろうって気が満々なのがわかって、そういうのもちょっとキライ。ひねくれててスイマセン。

 

50.マイマイ新子と千年の魔法

マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]

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・これは、ものすごくいい映画です。地味すぎて興行的には上手くいかなかったんだとか。だが、こういうチャレンジが許されただけでも、日本の客層の質の高さは誇るべきものです。
・メッセージは確かに受け取ったけど、このストーリーからどうそれを伝えてくれたのか、分析するのが難しい。分析するのも無粋な気がするなぁ。良さを伝えにくいなぁ。すっげーいい映画なんだけどなぁ。
・子供が子供らしく遊ぶことはすごく大事。でも、子供に遊ぶことを教える大人も、実はすごく大事。遊ぶことは全てを乗り越える力になるのだ。
・俺も子供ができたら、遊びを教えまくってやるぜー。オトナの遊ぶ力をなめんなよー!

 

今回はここまで。以降の順位は下記リンクにて。

tiltowait9.hatenablog.com

 

tiltowait9.hatenablog.com

 

虫を写真に⑤

飛行機の撮影ポイントにしてる場所は草むらが近いので、シャッターチャンスを待つ間虫を撮ってたりもします。出しそびれそうなので、この辺で蔵出し。こっちに集中しすぎて飛行機の接近に気付かないという悲劇も幾度かありました。

 

キボシトックリバチ。やっぱりハチに寄って撮れたときの感動って別格。

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トックリバチの名前の由来、徳利状の子供部屋。上のヤツのんかはわかりませんがね。

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花に囲まれてメルヒェンチックなハラビロカマキリ

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たぶんホソヒラタアブ。小さくて見落としそうなコだけど、写真にしてみればなんと可憐な。

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ホウジャク。ようやくピントのあった写真が撮れた…が。トリミングしてもこのサイズだし、背景ごちゃごちゃしてるし、不満だらけ。彼らをもっときれいに撮るのが当面の目標のひとつ。

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ナナホシテントウ。ザ・日の丸構図。

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<追記>
後日、Canon kiss X4+タムロンの70mm-300mmの望遠装備で再チャレンジ。望遠端でフルサイズ換算480mm、多少撮れるものが増えた。

オオスカシバかな。ホウジャクの代わりに。上の写真よりずいぶんマシだ。

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アゲハ。チョウを見れるように撮れるのも初めてかも。

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