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本と、その他諸々のこと。理系的なこと。

剣道における応じ技の使い分けについて

出小手とか出鼻面とか、応じ技、使い分けられてますか?ちなみに私は無理でした。剣道しなくなって久しいが、今になって思考が整理されてきた。今剣道再開したら超強いんじゃないかと妄想が捗るがまあ現実そんなことはないだろう。とりあえずまとめておく。

下の図は、相手方の一連の打突動作に対する、応じ技のタイミングをまとめたもの。相手方の矢印は単純にその動作をなしている時間軸を示すが、「俺」側の矢印は少し意味が違って、有効打突になりうる打突発動の瞬間を示す。

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相手方の打突動作を「振り上げる」「振り下ろす」の2挙動に分けて図にしたものの、実際には僅かなタイムスパンでしかなく区分は無理なのだが…。生物の反射運動には(脊椎反射だとしても!)有限の時間間隔を要するので、相手方の打突動作を視認してから出鼻面や出小手で応じるなんちゅうのは不可能で、相手方の動作前半で応じる動作を起こせているなら、実質は相手が動き出す前に察知していて、かつこちらの対応も確定できているということ。対して、相手方の打突動作の後半から発動させる技は、相手の打突開始を視認してから発動してどうにかしているタイプなので、質的に大きく異なる。ということを言いたい。

 

・出鼻面

一本を取れるタイミングが最も広く、相手方の技の種類に対しても適用範囲が広いのが特徴。まずは出鼻面を打つことを想定して駆け引きを行うべき。
特に、相手側が打突前の仕掛けをしている段階で発動した出鼻面は、相手側が本チャンの打突動作を始める前に決まってしまう、先々の先による理想の決まり手である。実例として、先日の全日本大会より、前田選手vs竹下選手。前田選手の1:32~、竹下選手の11:32~。出鼻面の名手同士による応酬。(4:49~の竹下選手の面は、出鼻面でなく飛び込み面。)

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発動が相手方と同時~やや遅れるタイミングであっても優位な相面となり、一本にしてしまえるのが魅力。また相手方の技が面でなくてもどうにかなるのが大きなメリットで、よしんば面が当たらずとも相手の仕掛けを潰してしまえる。強い出鼻面があるとイメージさせるだけでその後の駆け引きを大いに優位に進めることができるので、序盤で1発くらい見せておきたい。
リスクといえば出鼻を捉えたつもりが相手方の誘いに乗ってしまった形になるのが最大のリスクで、そりゃもう出小手返し胴されるがままである。(下で紹介する動画の、内村選手にやられる竹下選手のように…)

 

・出小手

美しい技である。相手方より先に発動し、技の起こりを完ぺきに捉えた小手の見事さといったらない。
出鼻面に比べると、少々発動が遅くなっても決めてしまえるのがメリットで、面を誘った場面からは出小手が定石。また外した場合は即ひっついて、後打ちをもらうリスクを低くできるのも出鼻面に対する利点の一つ。

一例として、先日の全日本の内村選手vs竹下選手の内村選手(8:50~)。厳しい攻めから面を誘い、相手方とほぼ同時に発動。床を叩く動作は正剣ではないが…おもくそ叩き込んだ感が爽快。

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有用な割に比較的習得しやく、中学生くらいまで猛威を振るう。
対して、相手の技が面でないと当たらないのがシンプルなデメリット。また、なにせ相手方の手元が上がっていないといけないので、先々の先には使えない。
出小手狙いバレバレの初級者は誘い出されて相小手面の餌食。
ところで出小手や抜き胴は後の先とされがちだが、相手をコントロールして放つそれらは、先の先と呼ぶべき技だと思う。

 

・抜き胴 ~ 返し胴

体を切り裂く動作が超カッコいい。最強のメリットだが太刀筋が複雑で初級者には困難な技である。
こちらの動きが大きいので、相手に対応されてしまう可能性が高いのがデメリット。対策としてギリギリまで引き付けてから発動させる必要がある。相手の起こりが完全に読めている場合でも、同時~以降に発動するよう待たなければならない(面か小手なら相手より先に発動していい)。タイミングはシビアだが、面を除ける動作が組み込まれているので、被弾のリスクが少ないのが実用上のメリット。(相手が面でなく小手だった場合、喰らいます。先日の全日本決勝の内村選手のように…)

実例はこれも上の動画(内村選手vs竹下選手)で、9:05~内村選手の2本目が見事。勝負!の掛け声から一気に間合いを侵略し、面を誘って返し胴。発動は1本目の出小手よりわずかに遅いが、それ故に完璧に捕らえている。

 

・返し面、擦り上げ面、余し面、など。

相手の技の起こりを視認してから発動する技たち。これが後の先。相手の技を捌いてからの打突なので被弾のリスクが小さいが、相手方も避けるチャンスがあり結構決めにくい。相手の技の起こりを十分察知できている場合は出鼻面か出小手のほうが確実なので、自分が誘ったのでなく相手方が自主的に飛び込んできたところを仕留める技と理解するとよろしかろう。実例としてはまた先日の内村選手、vs齋江選手の2:30~。遠間からのやや強引な飛び込み面に対し、見事な返し面。内村さんにはもう面打っちゃだめだ。多分この人は、脊椎反射で返し面を出せる。

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仮面ライダーを見る

子供が仮面ライダーを楽しむ年頃になり、今季やっている仮面ライダー「ジオウ」を最初から一緒に見始めた。子供向けと高をくくっていたが、実際子供向けではあるものの、しっかり楽しめている自分がいて要は自分は思ってたより子供なんだなぁと思った。率直に言って妻が見ている朝ドラを一緒に見るより遥かに楽しい。男は歳とってもガキなのだ。

ちなみに自分がヒーローもの現役のときに見た仮面ライダーは「BLACK RX」、平成ライダー初代の「クウガ」が登場したときはもう中学生で背伸びしたい年頃が興味を持つこともなく、それ以来まったく見ないで今まで来てしまった。自分が仮面ライダーを楽しめることに今更気づいてしまって、慌てて過去の仮面ライダーを見直している。

 

仮面ライダー BLACK(1988)

第1話「BLACK!!変身」
 

・RXを鮮明に覚えているので、BLACKも知っているつもりだったが…見直してわかったことに初見だ。ガキ時代の記憶はあてにならない。

・今見るにはかなりきつい。映像だけでなく、ストーリーも、役者の演技も。演技については、リテイクのコストが今より高かったのかもしれない。何事も過去の遺産をもとにブラッシュアップされているものである。いや真剣に馬鹿にしたい意図はなく、これが当時のフロンティアだったってことを言いたい。映像はともかくストーリー作りや演技すら進化の途上にあるってのは理解されてない部分だと思うので、過去の歴史を知れるのはオタク的に価値がある。

・決め技が「ライダーパンチ → ライダーキック」のコンボのみなのは古典の王道だが、オチが固定されてるって話作りを致命的に縛るんだよね。昔からぼんやり感じてたけど、やっぱりこの方式には限界があると思った。普段の放送でもそれなりにピンチの場面を作るので並の怪人にもそこそこ苦戦するわけで、敵幹部クラスがいつもより強いことを表現するのが難しい。新しい技で倒すとか戦略で倒すとかは話のフォーマットとして無いので、偶発事故で終わったりして肩透かし感ひどい。続けて見れば、RXでこの問題に解決を試みてるのがわかります。

・てつをマジ男前。イマドキのナヨナヨした若手俳優とはぜんぜん違うぜ。まぁ、歌はあれだが。信じる奴がジャスティス。

 

仮面ライダー BLACK RX(1989) 

第1話「太陽の子だ!RX」

第1話「太陽の子だ!RX」

 

・私が現役でみた唯一のライダー。これも今見るにはちょいと厳しいけど、変身しただけで自分ちょっとテンション上がるので、やっぱりヒーローってってスゴイと思った。

・ロボライダー&バイオライダーの設定が無敵すぎてネット的にはネタにされるが、改めて見れば番組の範疇で違和感はない。現代は能力バトルってやつが方法論化されすぎたんだよ。明確に志向したのはジョジョ第三部(1989~)、方法論まで落とし込めたのは幽遊白書テリトリー編(1993~)くらいからで、主人公側が特殊能力で戦うのは当時は珍しかった。その黎明期に思いつく限り強い能力を主人公に与えるのは当然だし、剛のロボライダー&柔のバイオライダーって組み合わせは合理的ですらあった。スキがなさすぎるって思われるのは現代の慣れた受け手には仕方ないところ。能力バトル黎明期の鬼子だったのだよ。
思い返せば石ノ森章太郎御大はサイボーグ009で時代を遥か飛び越して能力バトルをいち早く始めた御方。御大が無敵の能力をこのタイミングで提示してしまったというのは、中々感慨深いではないか。

 

仮面ライダー クウガ(2001)

EPISODE 1 復活

EPISODE 1 復活

 

・ 空白期間をおいて復活した仮面ライダー、平成シリーズの第一弾。主題歌には「ゼロから始めよう」「伝説は塗り替えるもの」「俺が越えてやる」などなど挑戦的なフレーズが並ぶ。歴史あるシリーズを改めて始めんとする造り手の熱意は明確、その意気や良し。

・バイクに乗って登場し、ベルトで変身して、怪人と戦って、キックで斃す。真面目に考えれば失笑モノの仮面ライダー的要素を、一定のリアリティが求められる現代劇の中で成立させるという企画意図は実に共感できる。企画にここまで明確な目標を提示し実現したというのは、社会人目線で関心する。

・劇中で「仮面ライダー」の名称が一切出ない。このネーミングも、よく考えたら現代的にはキツいよねぇ。仮面を着けてバイクに乗る人、仮面ライダー。・・・。語の与える印象は時代によるので石ノ森先生は悪くないけど、現代の感覚でキツいのは確か。作品タイトルとして未だにこの名前が使えるというのは、この名前が語源を越えてヒーローの代名詞にすらなっているという価値を示しているものの、リアリティを持たせたい劇中で発するにはちょっと…というジレンマがあるわけで、以降のシリーズでも「仮面ライダー」の呼称を使うにはそれなりの配慮が見られます。

・オダギリ氏もさることながら、一条刑事も相当なイケメンと思うのだけど、その後の活躍ぶりにこうも差があるのは芸能界の苦労が忍ばれますなぁ。

 

仮面ライダー W(2010) 

 ・クウガを見て、現行のジオウを見てるので、中間くらいの年代で人気のあるWを見てみた。年代的には中間だが、もはや古臭さは感じない。2001~2010年の間にこんなに時代が変わったのかぁ。それでもジオウとCG技術の差は歴然。つうか低予算の週間連載レベルでできることとしては、ジオウのCGってすげぇのかも。ゲーム機で言えば、クウガはPS初代、WがPS3の時代。PS3PS4の差って小さい気がするけど続けてみるとやっぱり違う。テクノロジーは日進月歩であるなぁ。

探偵物語にライダーがめり込んでいるドラマ、話自体で起承転結ある魅せれる形に仕上げているので、ひとまず面白い。このくらい仕上がった脚本を週間連載するって昔は無かった。テクノロジーじゃないけど、これも時代を追って番組を製作する何かの技術が変わってるんだよな。

・終盤は戦闘力インフレ気味。序盤は能力のバリエーションと使いこなしで勝つような形にできてたので、これが続いてくれた方がスキだったけどねー。

剣道における手の内について。或いは茶巾絞りの正体。

剣道の手の内について訥々と思考していたところ、シンプルかつ論理的な理解にたどり着いた。せっかくなので記録しておきたい。

きっかけはホーリーランドという漫画だった。ご存知だろうか、、、まぁ知らなくても構わない。柔道、空手などなど各種の格闘技経験者がケンカで戦う内容で、それぞれ特有の技術について、理屈っぽい解説が入るのが見どころだった。この中に剣道も登場して、剣道未経験者の筆者さんなりに、剣道の手の使い方が素人とは異なるという考察をしていた。この内容、剣道経験者にはどう感じられるだろう。

 

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ホーリーランド 7 (ジェッツコミックス)
 

さてさて。左右の手の間に回転中心を置いて手の位置関係で振るので可動域や速さがスゴイ、という論旨だが。ちょっと違うと感じた剣道経験者の方は多いのではないだろーか。いや実際こんな事しないし…。私も最初はそう思った。でも本当に違うだろうか?

(これをテコと呼ぶか?について、物理屋的な疑問はある。いやそれよりも、面フェイントからの胴を「面抜き胴」と呼んでいるのが一番気になる。)

 

小さな振りでキレのある打突のできる人をよく観察してみるとわかるが、打突の瞬間左手を引いているのだ。左右の手の間に回転を作っている。というか思い直せば、自分も知らんうちにやっていた。そのように教えられた人はほぼいないだろうが、長くやってる人の多くが無意識のうちに、この手の使い方にたどり着いている(特に上手な女性剣士に顕著だと思う。腕力に頼れない分、男性より合理的な動作に到達しやすいのやも)。
試合用の小さな振りではメインエンジンだし、素振りの大きな振りでも肩・肘の動作に加えて剣を加速させる強力なブースターになっている。森恒二やるじゃん!

だがここで思考をやめては理解が浅い。回転で加速する手段はもうひとつある。それが手の内だ。

掌の中に回転中心を見て、小指で引きつつ親指の付け根で押す。手の内側だけでも、回転を増す力を加えることができる。f:id:tiltowait9:20180911000723j:plain

 振り上げた時、小指の第三関節は開いている。親指付け根の押し込みに合わせて、開いた小指をぐぃと握り込む。手首で振っているのでないことは強調したい。指の一本一本を柔軟に開閉し、掌の中で回転させている。

もちろん、右手でも同じ。 

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「竹刀は小指で振る」と教えられる理由がここにある。小指が回転力の源だ。対して回転力に寄与できない人差し指は添えるだけ…むしろ振り上げ時に握ったままでいると、剣の動きが手首の可動域に縛られる。邪魔なのでもう握ってもいない。

実際には、「左右の手の位置関係」「左の手の内」「右の手の内」、三つの回転の力を同時にかける。体得すれば下のような肩も肘も使わない振りだけで、風切り音が鳴る程に速く振れる。f:id:tiltowait9:20180911001146j:plain

「両手の位置関係で振る」の観点があるので左右は対称ではなく、左手は小指側で引く力、右手は親指の付け根で押し込む力、が相対的に重要にになる(小手を着けた状態ではここまで精妙な指使いができないので、特にそう)。振り上げたときに木刀から浮く指が、左手は人差し指1本なのに対して右手は中指まで2本浮いているのは、その影響。

ところでこの「左右同時に小指を締めつつ親指の付け根で押す」という動作、剣道経験者諸氏なら今さら言われなくても、もう教えられているんじゃないだろうか。そう、茶巾絞りである。打突の瞬間に両手を絞り込むとキレが増すという、誰もが教えられたであろう言い伝えだ。

剣道もいまだ古典武道の空気を残していて、師範の教えになぜ?とは問いにくいもの。往々にして誰も答えは持ち合わせておらず、実践経験から間違いないんだからだまってやれ!という感じになり、教えられた方は従わないのであった。私なりに、茶巾絞りに効果があるのは実感できているが、その理屈について納得行くものには出会ったことがなかったので、自力で考察してみた次第。

2018年夏に出会った知らない昆虫

休みは子供と遊ぶ以外の選択肢はなく、まだ子供が虫取りに行く歳でもなく、ひとりで虫撮影にも行けない日々。それでも知らない虫にはたまに出会うし、そんなときは人目も気にせずスマホで撮影するようにしている。イマドキはスマホのカメラもなかなか優秀で、後で同定できる程度の写真は撮れる。いい時代だ。自慢するほどの写真でもないものの、せっかく同定した名前の記録としてブログ化しておく。普段の生活でもこのくらいの虫には出会っているという自戒も込めて。

 

コフキゾウムシ。少し藪に入ったところ。スマホで撮るには小さすぎる。

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オオアオゾウムシ。同じく少し藪の中。

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オジロアシナガゾウムシ、別名パンダゾウムシ。職場にて。圧倒的に別名で呼びたい、本名は特徴の本質を捉えてなさすぎだろう。

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ベニカミキリ。公園にて。知らない子たちがクモだと騒いでいた。こんな美しい虫を、、、どこを見ているガキども。

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ヨツスジハナカミキリ。自宅前にて。直感的にトラカミキリと呼びたいが、それはまた別にいるよう。

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ゴマフカミキリ。自宅前にて。ちょっと美しさに欠ける。

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オオコフキコガネ。色合いがあまりに地味で、ふつう出会っても名前を知りたいとは思うまい。

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サクラコガネ。職場にて。ふだんならカナブン系ですませるところを、がんばってみた。

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このあたりは同定が難しいが、スズバチかな。交尾中のレアな場面、逃げるより交尾を優先していたようで撮りやすくてありがたかった。

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ナミルリモンハナバチ。神戸の実家にて。被写体の美しさのおかげだが、スマホにしてはなかなかの写真ではなかろーかと自画自賛

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折り紙4:秀麗な折り紙

 折り紙本の紹介を引き続き。

最近になって、わりと面倒な類の折り紙本が国内でもちらほら出版されるようになってきていて、そのなかでもわりとポピュラーなのが山口真氏編の「端正な折り紙」ですが、ここでご紹介するのはその続刊「秀麗な折り紙」。

秀麗な折り紙

秀麗な折り紙

 

「端正~」も「秀麗~」も1枚折りにはあまり拘らない方針のようで、大胆に2枚折りにして難易度を下げてる作品も多い。そこは好みの分かれるところで、悪いとまで言えないものの、折る気を削がれてるのが率直な感想。なお、表紙にデンと載ってるのは伝説の作品「ティラノサウルス全身骨格」、正方形折り紙を21枚を使う大作で、ここまで来るとユニット折り紙の亜種とでも考えたほうがいいかもしれない。逆に感心するし折ってみたい気もするけど、工程が長大すぎて折りきる覚悟がまだ足りてない。

文句を先にってしまったが兎に角折ってみたいと思ったものが数点あって購入したんだし、実際折ってみて見事だと思ったのでそこはご披露しておく。折ったのは全て不切正方形一枚折りだ。

 キングギドラ。凸の多いモチーフにこんなのもあったか!アツいお題である。持て余してた金色おりがみの用途に最適、と思ったが25cm角サイズの紙ではカオの表情付けまでするのはキビシかった。本の推奨どおり35cmサイズがほしいな。f:id:tiltowait9:20180501022907j:plain

 

シン・ゴジラ。尻尾を大きく作るところに設計者(神谷チャンピオン)の意思が伺われます。ギドラに対抗して銀紙で折ったら、メカゴジラ化した。f:id:tiltowait9:20180427003613j:plain

 

アノマロカリス節足動物感あふれる仕上がりに大満足。わたくしアノマロカリスには目がないのである。写真には見えてないが、裏ではあの個性的な口もちゃんと表現されている。この作品が載っていたことがこの本を買ったと言っても過言ではない。だれかオパビニアやハルキゲニアも作ってくれんかな。f:id:tiltowait9:20180423000315j:plain

 

アーミーナイフ、前川淳氏の作。なんちゅうモチーフですか、前川先生。14等分した格子状の折り目を畳み込んゆく幾何学感の強い手順で、ナニゲに難しかった。それと僕もビクトリノックスが欲しくなった。f:id:tiltowait9:20180504184529j:plain

ティラノサウルス全身骨格は…いつか折ってブログに載せてやるんだ…足りないのは技術じゃなくて熱量なんだ…

 

折り紙3 : Origami incects

前川氏以降(正しくは吉澤氏以降でしょうか)折り紙というのは凄まじく進歩したけれど、ガチの折り紙師はもうあっちの世界に旅立ってしまっていて、私のような折り紙好きの一般人+α 程度の人間が楽しめる、「悪魔」と同等~それ以上くらいの折りごたえの折り紙本って、今でもそう多くなかったりする。おかげで洋書まで探すことになる。 

Origami Insects (Dover Origami Papercraft)

Origami Insects (Dover Origami Papercraft)

 

 Eテレの番組「スーパープレゼンテーション」にも出たラングさん(Robert J.Lang)の著作。今どきは折り紙も日本人の専売特許ではないのだ。洋書といっても図はわりかし丁寧なので言語の問題は心配しなくてもいい、悪魔が難なく折れるくらいに慣れていれば、読解はできる。…が、悪魔が可愛く見えるくらい過酷である。奇を衒ったフォルムでもないのに、なんだこのキツさは。リアリティのある頭身にするのは、こんなに酷なのか。さんざん苦労した工程を「裏も同様」とあっさり指示されて度々心が折れる。なにせ昆虫だから、左右対称なのは当然だが…

以下、苦労して仕上げた作品たち。

Praying mantis、カマキリ。本書を買って最初に挑戦したのがこれ。あまりに沈め折りを連呼するので悲しくなった。どうにか最後まで漕ぎ着けたものの、カマの表情付けのとか超適当だし、なにかと残念な仕上がり。今のところ折り直す気力が沸かない。f:id:tiltowait9:20180319004705j:plain

 

Hercules beetle、ヘラクレスオオカブト。この本の中ではまだ簡単なほう。カマキリの後にチャレンジして、どうにか仕上がったことでちょっと自信が持てた。脚の細さに昆虫感が満ちている。f:id:tiltowait9:20180306012306j:plain

 

Dragonfly、トンボ。脚が厚ぼったくなりすぎでもう表情付けできてない。f:id:tiltowait9:20180322002715j:plain

 

Cicada、セミ。なんとつぶらな瞳。顔の先端や目を破らず折りきるのは至難。写真はなんとか破らずに仕上がっているけど、これはたぶん3匹目だと思うから…f:id:tiltowait9:20180406172217j:plain

 

Paper wasp。いわゆるハチノスを作る蜂をこう呼ぶらしい。あれ植物の繊維を刻んで作ってるから、確かに紙みたいなものだね。紙で折られるべき名前をしている、とのこと。なお翅と触覚はインサイドアウトしてるんだけど、両面同色の紙を使っているので伝わらない。f:id:tiltowait9:20180327001153j:plain

 

Stag beetle、クワガタムシ。大アゴに枝分かれを作るのがニクい。欲を言えばもう少しアゴが誇張されたフォルムの方がかっこいいんだけど。f:id:tiltowait9:20180415232518j:plain

 

Scorpion、サソリ。本書のトリを飾る作品。ハサミ2本+脚8本+尻尾1本と、とりあえず凸部を増やしてやろうという目論見あらわ。ハサミと尻尾を大きく取るために強引な設計が敢行されている。f:id:tiltowait9:20180418004821j:plain

 

などなど。最初こそ「なんじゃこら、やってられるか!」と憤慨したものの、やってれば不思議と慣れるもので、最終的にはどれも1回目で折りきれるくらいに上達した。難しいからこその満足感というのは間違いなくあって、今はもう簡単な折り紙では満足できなくなっちゃったかも。シンプルな造形に留める魅力も理解できるものの、技術の高度化というのもまた、退けがたい魅力なのだなぁ。

ちなみに使用した紙は全てこちら。

エヒメ紙工 工作用紙 両面薄葉紙 八ツ切 赤 100枚入 ONCA-05
 

「薄葉紙」ってのは靴を買ったときにクッションで入ってるような極薄の紙のこと。こちらは薄葉紙にしては張りがあって、丈夫さと薄さの兼ね合いで複雑折り紙には丁度よい。正方形ではないので、折り紙化するためにカッターと定規で正方形に切り出しているが、丁寧にやれば寸法精度は十分確保できる。

 

 

tiltowait9.hatenablog.com

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折り紙2 : トップおりがみ

先の記事でご紹介した「ビバ!折り紙」は、前川淳氏の理論と作品を笠原邦彦氏が本にまとめたもの。 

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これにはいくつか続刊があって、そこでは前川氏だけでなくいろいろな作家の作品が、編者の笠原氏の感性によって紹介されている。まぁ、全部廃刊なのだが。今回はシリーズ2作目「トップおりがみ」の話。 これも思い出の一冊。

トップおりがみ (ビバ!おりがみシリーズ (2))

トップおりがみ (ビバ!おりがみシリーズ (2))

 

前著で複雑化の道を開いたのだからその道を邁進するかとおもいきやさにあらず、ユニット折り紙や、多面体作図、表裏一体折りなどなど、トリッキーなアイデアの紹介に紙面が多く割かれている。ユニット折り紙など、今では布施知子さんあたりがかなり複雑なことをやっておられるが、その可能性を提示したのはこの本あたりが端緒のよう。

 ユニット折り紙の単純な例、そのべユニット6枚(3色)からなる立方体。f:id:tiltowait9:20180115225659j:plain

 
同じくそのべユニット6枚の立方体だけど、紙の裏を見せることで2色にしている。f:id:tiltowait9:20180116145702j:plain


そのべユニット12枚からなるくす玉。ネット徘徊で見つけた、この本には載ってなかったオシャレそのべユニットを使用。f:id:tiltowait9:20180116144919j:plain

こんなパターンもある。さっきのくす玉を、凸を凹みに転じて組んだ場合。f:id:tiltowait9:20180116234800j:plain骨組みみたいになって随分と印象が変わり、これまたおもしろい。

 

少々幾何学な話になるが、このユニットくす玉の巨大化には際限がない。ユニット3枚が絡まる凸形状の底面は正三角形をなすので、ここに注目すれば、まず正三角形の面からなる多面体は構成できる。さらにこの三角形を立体的に組み合わせる2次ユニットを考えれば、2次ユニットの底面は正方形・正五角形・正六角形にすることもできる。こうなれば考えうる多面体はだいたい構成できることになるのであった。上の写真にあるのは正三角形の凸が8点で、正四面体と理解できる。
(この視点では、先に登場した立方体は正三角形4面に囲まれた正四面体である。ややこいね)

そして、軍拡競争よろしく肥大化するくす玉。f:id:tiltowait9:20180119114648j:plain上段右から順に、
 そのべユニット30枚からなる正20面体。(凸1つからなる正三角形が20面)
 そのべユニット36枚からなる正6面体。(凸4つからなる正方形が6面)
 そのべユニット90枚からなる正12面体。(凸5つからなる正五角形が12面)
そのべユニットを量産する工程は一種の精神修養だ。本の中では理論値として900枚からなる多面体も紹介されているが、これはさすがにどうかしてる。美しさとしては、右上の「30枚正20面体」がピークじゃなかろーか。

 ユニット折り紙はこのへんで置いといて…
それ以外にも志向を凝らした作品が並ぶ。例えば川崎敏和氏によるバラ、その道では「カワサキローズ」と有名なやつだ。f:id:tiltowait9:20180131013941j:plain複雑系折り紙とは頭の使い方が違う、立体的に曲線的に仕上げる折り紙。美しい。

こんなのも。同じく川崎敏和氏の巻き貝。f:id:tiltowait9:20180325001603j:plainネジネジと折り上げる工程が楽しい。川崎博士のアイデアは一味違う。


もちろん複雑系も紹介されている。例えば、ジョン・モントロール氏の作による「オサムシ」。f:id:tiltowait9:20180202065806j:plain昆虫戦争のはしりの時代だろうか。脚6本に加え触覚2本と翅2枚が折り出された、典型的な昆虫折り紙だ。

オサムシの折図の後には、こんなページがあった。

f:id:tiltowait9:20180309011745j:plain「応用は楽でしょう。」じゃねぇ。簡単に言いつつクワガタに折り変えた作例が写真だけで紹介されてて、つい同じものを折りたくなったが、実は背中のヒダを沈め折りするなどなどしていて、再現は簡単じゃなかった。


 本書のオオトリ、ステゴサウルス。これもジョン・モントロール氏の作。f:id:tiltowait9:20180120114916j:plain背中のヒダがたくさん、左右ズレて配置されるよう折り出す工程は実に技巧的で、よくこんなこと思いつくなぁと感心する。短足で可愛らしいし、この人の作品は複雑ながらも、古典的な折り紙のデフォルメ感を残しているのが好き。